著者 : 葵居ゆゆ
竜族の最後の生き残りルートヴィヒは、いつか人間の伴侶を持ち、平和に生きることを夢見ながら、ガーネ山の洞窟で両親の残した宝石を糧に身を隠すように暮らしていた。宝石の守り神であり、体液がすべて宝石になる神秘の存在としてガーネリア国の信仰の体象だった竜族は、いつしかその神聖性を失い、大きな戦争を機に、危険で滅ぶべき存在と思われるようになっていたからだ。ところが絶対に人間知られるはずがない神聖な棲み処に、ある日見知らぬ男が現れる。警戒心をもたないルートヴィヒは、ひと目で彼を好きになるが、その男・エリックは対照的に、自分の家族を奪った竜族を憎んでいると言い放ちー。孤独で無垢な竜・ルートヴィヒの一途な恋の行方は!?
貴族のハーレムにオメガを派遣する、ミュラー家に生まれたジルは、落ちこぼれとして幼なじみの獣人貴族・アルバートのもとに嫁ぐことが決まっていた。しかしある時、突然現れた国一番の獣人貴族、ジークフリード家の三男・ディエゴがジルを預かりたいと申し出る。意思に関係なく派遣されることが決まり境遇を悲観するジルだったが、思いがけず真摯に向き合おうとしてくれるディエゴの優しさに、一緒に過ごす時間を心待ちにするようになる。そして、共に訪れた町の小さな宿屋でジルは初めて発情期を迎えてしまいー。しかし、ディエゴの兄・トネリアはふたりの関係をよく思っておらず…。
どうしてオメガに生まれたんだろうー。上流貴族のハーレムにオメガを派遣することで繁栄したミュラー家。そんなミュラー家に生まれたオメガのジルは自分の運命を受け入れられずにいた。オメガらしく振舞えず、家族からも見放されて育ったジルは、追い出されるように幼馴染の獣人貴族のアルファ・アルバートのもとに嫁ぐことが決まる。オメガという運命は変えられなくても、優しいアルバートに嫁ぐことが幸せなのだと自分に言い聞かせ過ごす毎日。そんな時、ひとりの獣人がミュラー家を訪れる。国一番の名門貴族ジークフリード家の三男ディエゴだった。ミュラー家の異端児・ジルをハーレムに迎えると勝手に決めてしまう傲慢なディエゴに反発するジルだったがー。
別れはね、すべきときに、しなくてはいけないんですよー。関わる人に不幸を招く疫病神体質で、大学進学を機に親戚宅を出た譲吉。だが上京当日に下宿は燃え、再会した幼馴染のすず子の家は突風で半壊してしまう。途方に暮れる譲吉が紹介されたのは作家・七雲静宅。出入りする小学生の舞人は静の兄だというし、副業の薬処の客は人じゃない。譲吉を招き入れたのは「不幸を呼び込んで静を死なせてほしい」からー!?