著者 : 蓮見恭子
「オリンピックに一緒に出ようね」幼なじみの神崎水葉との約束を胸に、アーティスティックスイミングにすべてをかける高校二年の陣内茜だが、練習中に大怪我を負う。挫折の日々のなか、茜はいつも独りぼっちの同級生・西島由愛と親しくなる。しかし、茜とのペアを復活させたい水葉は、二人の関係に嫉妬をー。手さぐりの青春を瑞々しく描く感動作!
「あなたの人生が変わります 万年筆よろず相談」そんな看板を掛ける「メディコ・ペンナ」は、神戸の街の一角にある万年筆のお店である。もしゃもしゃした白髪交じりの頭をした店主は、年齢不詳でぶっきらぼうだが、万年筆の補修を任せたら随一。万年筆の状態から持ち主の悩みや苦しみまで読み解き、静かに答えを導いてくれるのだとか。就職活動がうまくいかず、「メディコ・ペンナ」でアルバイトをすることになった大学生の砂羽は、それぞれの悩みを抱えるお客と触れ合う中で、自分自身の人生の迷いにも向き合いはじめー。万年筆に詰まった“人の想い”、が心に沁みる、疲れた背中を押してくれる物語。
東京オリンピックの女子マラソン競技日本代表選考会であるMGCがもうすぐスタートする。12人の選手中、優勝候補は5人。ハーフマラソンアジア記録を持つ須藤千春。初マラソン日本最高記録保持者だが、メンタルに不安のある真鍋結衣。170センチ近い長身で、暑さと坂に強い橋口樹里亜。アフリカ系の日本人選手である寺岡レオナ。夫でもあるコーチと娘に支えられて挑む花房智香。一発勝負の選考会で、オリンピック代表の座を手にするのは誰だ!?
倉本歩は港ケ丘高校一年。テレビで見た同い年の庄野瑞希の走りに圧倒され、彼女のように走りたいと陸上部に何とか入部するが、他の部員たちについていくのも大変だ。ある日、その瑞希が同じ高校に進学していることを知る。しかし、憧れた彼女にかつての面影はなくー。走ることが大好きで、仲間を思い、笑い、時に泣き、駆け抜けていく少女たちの青春駅伝小説。
四女一男。宇奈月家の面々は、それぞれ家から独立して生活していた。そんな彼女らを激しく動揺させる出来事が起こる。子を持てない末女が母を代理母にしたいというのだ。禁忌とも思われる依頼が、宇奈月家の暗部を抉るきっかけとなる。
実業団「ワトー電器」所属でオリンピックを目指していたマラソン選手・千吉良朱里は、突然チームが休部となり、浪華女子大学で創設される駅伝部に監督として就任要請を受ける。すでに選手としてのピークを過ぎた朱里は、指導者としての道を歩む決意をするが、新設されたばかりの駅伝部は部員ゼロからの状態でスタートしなければならず…。スポーツ小説の名手が大学女子駅伝の世界をリアルに描いた青春小説の傑作!
茶碗、豆皿、丸ちゃぶ台。ここは想いが集う場所ー生活を立て直すため、大阪・堺市にある夫の実家「島市古道具商」へ引越し、義父・市蔵と同居することになった透子一家。14年間、社会に出ていなかった透子は、慣れない店暮らしに失敗ばかり。それでも道具や集う客の想いに触れて、透子もいつしか人生を見つめ直し始めー。どこか欠けた人たちの瑕も、丸ごと受け入れてくれる場所。古い町家で紡がれる、モノと想いの人情物語。
全国中学校駅伝大会ー中学3年生の庄野瑞希は大会記録を更新する走りでチームを逆転優勝に導く。しかし、周囲の期待に押し潰され、走る意味を見失った瑞希は、陸上をやめるつもりでいた。一方、福岡・門司港で、倉本歩はテレビの中の瑞希の美しく力強い走りに魅せられる。「あの子のように走りたい」その一心で新進気鋭の港ケ丘高校陸上部に入部するが、部員は歩よりはるかに速い選手ばかりでー。二人の奇跡的な出会いが、新たな風を紡ぎだす!スポーツ小説を多く手掛けてきた著者が少女たちの葛藤と成長を描く、胸を熱くさせる青春小説!
空手部の選抜出場を応援する校内のポスターが、何者かによって破られた。それは掲載されている主将・結城の写真を狙っての犯行だった。だが目撃者の証言によると、犯人は彼女本人だという。その場にいたはずもなく、犯行に全く身に覚えのない彼女は、あることをヒントに真相に気づくのだが…(「被写体は初夢の彼方に」より)。驚愕のラストが待ち受ける青春ミステリー、待望の文庫化!
池袋署管内で、病院勤務のソーシャルワーカーが殺された。駆けつけた所轄刑事の隆志が聞き込みをすると、被害者の周囲に謎の若い女性の存在が浮かび上がる。さらに現場で異物を発見した隆志は、被害者と外国人グループとの接点を疑う。通訳捜査官の語学力を利用し、潜入捜査を図った隆志は、薬物を盛られ危機に陥ったところを国際犯罪捜査官・蛭川タニアに救われる。二人は組織を超え、都会に渦巻く薬物犯罪に立ち向かうがー。
池袋署管内で、女性のバラバラ死体の一部が発見された。暴行痕から中国人犯罪説が浮上する中、警視庁組織犯罪対策部が捜査に合流。本庁警部補タニアの違法と思える捜査ぶりに、所轄の通訳警官・隆志は違和感を抱く。聞き込みの結果、被害者は他人の保険証を持った女性とわかった。しかも出産直後のー。背後に外国人代理出産ビジネスの存在を疑うタニアは、潜入捜査も辞さず、隆志を巻き込み、強引に中国人医師に迫るがー。
九月、阪神競馬場。レース中に一頭の馬が暴走し、落馬事故が発生。勝利した女性騎手・夏海は、事故の裏で馬の所属する厩舎内で、馬主と調教師が対立していたことを知る。折しも落馬した騎手の父親が厩舎で何者かに襲われ、重傷を負った。親子は狙われたのか?幼馴染みの騎手のため、トレーニング・センターや阪神競馬場で事情を探っていた夏海は、元同僚や新人騎手に会う中である疑いを抱きー。新鋭の描く競馬ミステリー。第30回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞。