著者 : 薄井ゆうじ
19世紀末に足跡が発見されて以来、何度も目撃されているというヒマラヤの住人・イエティ。自然の摂理に従ったその生き方は潔く、哀しい。「何のために生きるのか」を問うニュー・ファンタジー。
仄かに光る蛍葉に人工雨が降りそそぐ。実験都市タヒチに突如現れた一匹の鼠が完全無菌状態を目指すコンピュータ“ハンターシステム”に、微妙だが致命的な誤作動を誘発したー。生きるために、外の世界を見るために彼らは行動を起こした!!新しい人類へと進化する少年たちを描く近未来小説の傑作。
グラフィックデザイナーの僕は、猫の手をコンピューター画像で作るという仕事の依頼を受ける。五回の試作を経てようやく完成した後、耳、しっぽ、ヒゲと、次々に依頼が続く。それらは依頼主のプログラマーによって、コンピューターの中で飼う「電子猫」となり、販売され大ヒットとなるのだが…。ヴァーチャルペットの世界を先取りし話題となった、著者初の長篇小説。
すぐ目の前に大きな黒塗りの車が止まっていて、私はその後部座席に押しこまれた。助手席に江津子がすわって、痩せた運転手に言った。「ストックホルムへ」車が走り出したとき私はやっと、自分がどこかへ連れ去られるのだと気がついた-私は監禁された。彼らを嫌悪し、そして愛した“私”の物語。長編ミステリー。
イラストレーター森田康一は、共同事務所『鮮酔館』の発起人であり、いまや中心人物でもある。そこではフリーランスのデザイナーやカメラマンが、昼夜の別なく精力的に仕事をこなしている。フリーには文字通り自由がある反面、様々な限界もある。クレジットカード一枚作るのも、住宅ローンを組むのもたいへんだし、大きな仕事も取りにくい。何より、病気やスランプで無収入になったらどうするか…。『鮮酔館』を会社組織にしよう。そう決意したときから、森田の人生は大きく変わっていった。
吹雪の遭難中に出会った女との、夢のような、甘美な、不思議な体験。彼女に瓜二つの夏子の出現。結婚、夏子の出奔。そして吹雪の夜から十三年目の再会…。新しい愛のかたちを告げる会心のファンタジー。