著者 : 藤村裕美
作家ブルースは、ドブレットと名乗る謎の男に身辺に付きまとわれて神経をとがらせていた。彼を心配する友人の頼みを受けて、新聞記者グレンヴィルはドブレットの住みかを突き止めるが、件の人物は翌日行方をくらませ、空き家からはパリに出立したはずのブルースのスーツケースが発見される。そして部屋からは首と両手首のない遺体が…。謎に次ぐ謎、黄金期本格の妙味溢れる傑作。
濃霧に包まれた晩秋のロンドン。帰庁途中のマクドナルド首席警部は、深夜の街路で引ったくりから女性を救った後、車を警視庁に置いて帰宅した。翌日、彼は車の後部座席に、悪魔の装束をまとった刺殺死体を発見する。捜査に乗り出したマクドナルドは、同夜老オペラ歌手の車に、ナイフと『ファウストの劫罰』の楽譜が残されていたことを掴む。英国本格黄金期の傑作、本邦初訳。
吹雪に閉ざされた屋敷では、折しも遺産争いの真っ最中。遺言も風変わりなら、集まった一族もこれまたちょっとおかしな人ばかり。この大騒動のとどめとばかりに弁護士が殺された。サンディたちはお酒や睡魔や恋の病に悩まされながらも、犯人を追って徹夜で奮闘するのだが、その周囲では事件もお構いなしの騒ぎが続くのだった!好評『ハネムーンの死体』に続く、笑うしかない第二弾。
その朝、休暇を返上して警察本部に出頭したフィンチ首席警部を待っていたのは、いささか風変わりな事件だった。かつては富をほしいままにしたアストン家。その広壮な屋敷で、同じ夜に二人の人間が自然死を遂げたのだという。不自然きわまりない状況の背後に、フィンチが見いだした意外な真相とは…。鮮やかな描写を駆使して周到な謎解きを展開する、女流本格ミステリの粋。
ロサンゼルス空港のギフトショップに勤める普通の女の子と、何の因果か石油王の三男坊として生まれてしまった不運な青年。あまりにかけ離れた世界に住むこの二人が、ある日空港で発覚した殺人未遂事件をきっかけに、悪党どもと壮絶な争奪戦を演じる羽目になる。めざすブツはただひとつー豚の貯金箱。女流サスペンスの名手がユーモアたっぷりに描く、とっておきの冒険物語。