著者 : 藤沼貴
一八一二年初冬。パルチザン隊とナポレオン軍の攻防。解放軍突入の朝、ペーチャは若い命を散らす。その屍がピエールの目を奪い、耳には老兵プラトンへのとどめの銃声が残る。死者の川を渡り、いま生者の帰るべき先は?戦争とはー平和とは?全篇完結!
敵軍侵攻!大火のモスクワを一家で引揚げるナターシャは重傷のアンドレイと再会し、赦しを乞い、死の日まで付添う。ナポレオン暗殺を誓って変装し町をさ迷うピエールは逆に放火の嫌疑で逮捕され、フランス軍の捕虜隊で一人の年老いた農民プラトンと出会う。
不吉な彗星の年。軍務に戻ったアンドレイは父と妹に敵接近を急報するが、退避日前に老公爵は死去、マリアは領地農民の反抗に遭う。戦争の本質を探ろうとピエールはボロジノへ発つ。いまや貴族も農民もなく、全ロシアの危機が始まろうとしていた。
妻の死後、田舎に隠棲する傷心のアンドレイを甦らせたのはナターシャだった。だが若さゆえの過ちから少女は誘惑者の手に。苦境を救おうと奔走するピエールが冬空に見たのは、ナポレオンとの再対決を予感させる、巨大な一八一二年の彗星だった…。
アウステルリッツ戦で負傷し行方不明だったアンドレイが帰還した夜、妻リーザは男子を出産し死亡する。ピエールは愛のない結婚をして妻の不貞で決闘へ。ロストフ家の恋する若者たちは…様々な人生の一方でナポレオンはロシアを屈辱の講和へ導く。
人はなぜ変わってしまうのか?罪と罰とは?人は堕落し、何かがきっかけとなって立ち直る。老作家は、痛みと苦しみを経て愛によってよみがえる人間の内面の復活をひたむきに問う。問いは問いを生み、容易に答えは出ない…。19世紀の終焉を目前にし、リアリズムを徹底した果てに、トルストイはついにそれを突き抜けた。
一八〇五年夏、ペテルブルグ。上流社会のパーティに外国帰りの奇妙な青年ピエールが現れる。モスクワでは伯爵家の少女ナターシャが名の日の祝いに平和を満喫。一方従軍するアンドレイ、ニコライらに戦火は迫りー対ナポレオン戦争を描いて世界文学史に輝く不滅の名作!新訳。
愛の理念のもと、人間の復活とは何かを問う後期の大作。老トルストイは世の中にはびこる虚偽と悪に鋭く厳しい眼差しを向ける。殺人事件の陪審員として法廷に出たネフリュードフは、容疑者の娼婦が、かつて自分が誘惑して捨て去った叔母の家の小間使いカチューシャであることに気づき、良心の呵責にさいなまれる。
一八一二年初冬。パルチザン隊とナポレオン軍の攻防。解放軍突入の朝、ペーチャは若い命を散らす。その屍がピエールの目を奪い、耳には老兵プラトンへのとどめの銃声が残る。死者の川を渡り、いま生者の帰るべき先は?戦争とはー平和とは?新訳、全篇完結。
敵軍侵攻!大火のモスクワを一家で引揚げるナターシャは重傷のアンドレイと再会し、赦しを乞い、死の日まで付添う。ナポレオン暗殺を誓って変装し町をさ迷うピエールは逆に放火の嫌疑で逮捕され、フランス軍の捕虜隊で一人の年老いた農民プラトンと出会う。新訳。
不吉な彗星の年。軍務に戻ったアンドレイは父と妹に敵接近を急報するが、退避目前に老公爵は死去、マリアは領地農民の反抗に遭う。戦争の本質を探ろうとピエールはボロジノへ発つ。いまや貴族も農民もなく、全ロシアの危機が始まろうとしていた。
妻の死後、田舎に隠棲する傷心のアンドレイを甦らせたのはナターシャだった。だが若さゆえの過ちから少女は誘惑者の手に。苦境を救おうと奔走するピエールが冬空に見たのは、ナポレオンとの再対決を予感させる、巨大な一八一二年の彗星だった…。
アウステルリッツ戦で負傷し行方不明だったアンドレイが帰還した夜、妻リーザは男子を出産し死亡する。ピエールは愛のない結婚をして妻の不貞で決闘へ。ロストフ家の恋する若者たちは…様々な人生の一方でナポレオンはロシアを屈辱の講和へ導く。
一八〇五年夏、ペテルブルグ。上流社会のパーティに外国帰りの奇妙な青年ピエールが現れる。モスクワでは伯爵家の少女ナターシャが名の日の祝いに平和を満喫。一方従軍するアンドレイ、ニコライらに戦火は迫りー対ナポレオン戦争を描いて世界文学史に輝く不滅の名作!新訳。