著者 : 藤石波矢
厚生労働省で働く若手官僚の鷹野は、激務の中で仕事への理想も失い無力な自分に思い悩んでいた。ある日、陳情に来たNPO団体から、非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストを持ち込まれ、自分と同じ25歳の青年に関心を抱き、その死の理由を調べ始めるー。一方、30代後半に差し掛かり夫との関係性や将来への不安を抱える切り絵作家の女性、幼なじみを助けたことでいじめの標的になった中学2年生の学級委員長の男子は、それぞれのフィールドで精いっぱい日々を送っていた…。現代社会をもがき生きる苦難と希望を描く、人生讃歌の物語。夭折の歌人が唯一遺した短歌集原作の映画を完全小説化。
平凡なサラリーマン・藤堂光弘。夫を愛する専業主婦・藤堂咲奈。二人は誰もが羨む幸せな夫婦…のはずだった。あの日までは。光弘は気づいてしまった。妻の不貞に。咲奈は気づいてしまった。夫の裏の顔に。彼らは表面上は仲のいい夫婦の仮面を被ったまま、互いの殺害計画を練りはじめる。気鋭の著者二人が夫と妻の視点を競作する、愛と笑いとトリックに満ちた“殺し愛”の幕が開く!
父を火事で亡くした心的外傷から、身近な人の死を予知夢に見るようになってしまったみちるは、誰にも言い出せずに怯えふさぎこんでいた。手を差しのべてくれたのは従兄の一美兄ちゃんだった。「信じるよ。一緒に予知を覆そう」そして高校生になった彼女は再び夢を見る。校舎屋上、血塗れの刃、最後に見えたのは…一美兄ちゃん!?後悔と痛みを乗り越え前を向く、学園青春ミステリー。
同棲相手との未来に迷うフリーター、街を警らする女性警察官、恋に悩む大学生小説家に、駆け出しやくざや、八方美人の会社員。父娘の隔絶から麻薬強奪事件まで、この街は事件で満ちている!すれ違う彼らが起こす些細な波紋と、生じる驚きのドミノ倒し。神様が押すのは偶然という名の奇跡のスイッチ。気がつかないだけで、誰もが物語の主人公だ。大都市を疾駆する一夜限りの物語!
高校の文化祭、一緒に見た夕焼け、秘密の写真…。私が見つめる大好きな人は、いつも別の人を見ていた。十二年の歳月を経て、同窓会で再会した彼のもとに、届くはずのないフイルムが届いた。「ねえ知葉くん、いつかまた話せたら、私のこと好きだったのか、教えてほしい」-秘密を抱えたまま大人になった私たちの、止まっていた時がいま動き出す。温かい涙が零れる青春恋愛ミステリ。
「今からあなたを脅迫します」。私は犯罪を絶対に許さないーはずだった。なのに、脅迫で事件を解決する悪人に惹かれている。そんな私の前に姿を現した、脅迫屋・千川が追い求めた恋人の仇。それは人の善意を利用し、罪に問われることなく悪人を殺害する組織だった。敵の罠に落ちた私たちが対峙する善意と悪意。その狭間で揺れ動く、私の最後の脅迫と、復讐の銃弾の行方は…!?
気鋭の監督・連城の映画撮影現場に「制作部」として参加している万理。制作部とはプロデューサーの下であらゆる雑用をこなす裏方の中の裏方。今日の万理はロケ地の道路使用許可申請のため警察署にやってきた。連城監督の才能には惚れているけど、現場は何かと波乱含みだ。ロケ地候補の古民家を訪れた日、プロデューサーから女優の変更を告げられた連城は監督を降りると言い出し…。次々起こるトラブルを万理は解決できるのか!?
「わ、私は脅迫屋の仲間ではありません!」。ごく普通の女子大生…のはず。なのに、ひょんなことから脅迫屋・千川、無愛想な泥棒・目黒、ギャルハッカー・栃乙女たちと知り合い、彼らの悪事を止めるため奔走することに。結婚詐欺師の息子、親友を脅迫してほしい脚本家、千川が追う組織へとつながる男。事件に首を突っ込むうちに、お人よしお嬢様は脅迫屋一味へ引き込まれ!?シリーズ最新刊。連続ドラマ化!!
「三分間だけ、付き合って?」。目の前に置かれたのは、砂時計。怪しいナンパ師・スナオと私は、公園の植え込みから生えた自転車の謎を追ううちに、闇金業者と対決することに。ところが、悪党は不可解な事故死を遂げ、その現場で目撃された謎の男はーって、これ、脅迫屋の千川さんだ!殺しはしないはずの悪人・脅迫屋の凶行を止めようとする私の前で、彼はさらなる殺人を!?
彼女が消えた。一冊の本とともに。小学校の教師をしている研介。一冊の本が届いた日、恋人が失踪した。本の贈り主は彼女の「忘れられない初恋相手」か?田舎町に暮らす中学生の本好き女子は、敬愛する小説家の家で不登校児と出会った。彼は祖父の著書をばらばらにする謎の行動をしており、初めは馴染めなかったが、徐々に交流を深めていく。第1回ダ・ヴィンチ「本の物語」大賞・大賞受賞作と、短編「かなたの小説」を収録。
十七歳の日登志は死のうと決めた。だが、まさかのひったくりに遭い、練炭と遺書入りの鞄を盗まれてしまう。計画の立て直しを図るなか、以前から目をつけられていた岸塚に呼び出される。彼は、恋人の睦美がいなくなったため、捜す手伝いをしろと命令してきた。栃木の実家に帰ってきた瑠梨は、高校時代からの友人・神山からの不審な電話を受け宇都宮駅に向かう。瑠梨がそこで見つけたのは、ビルから飛び降りたのか血を流し倒れている神山の姿。ほぼ意識不明ながら彼が瑠梨に差し出してきたのはー「遺書」だった。どんでん返しの切ない青春ミステリー。
「今から君を脅迫する」。きっかけは一本の動画。「脅迫屋」と名乗るふざけた覆面男は、元カレを人質に取った、命が惜しければ身代金を払えという。ちょっと待って、私、恋人なんていたことないんですけど…!?誘拐事件から繋がる振り込め詐欺騒動に巻き込まれた私は、気づけばテロ事件の渦中へと追い込まれー。人違いからはじまる、陽気で愉快な脅迫だらけの日々の幕が開く。
一冊の本が届いたある夏の日、恋人の品子が失踪した。本の贈り主は彼女が以前話していた「忘れられない初恋相手」なのか?後半の仕掛けにうなること間違いなし!大注目の新人による青春小説×ミステリー。第1回ダ・ヴィンチ「本の物語」大賞受賞作。