著者 : 西村寿行
警視庁に、奇妙な通報があった。 石廊崎で起きた女性ダイバーの溺死は、事故ではなく殺人であるという。 妻の裏切り以来、刑事としての情熱を失っていた鳴海は、特命を受け、大病院の看護師であった被害者の調査を開始する。 医療過誤、製薬会社との癒着、患者の自殺関与ーー。 病院内部の黒い疑惑を追うが、取り憑かれたように奔走する鳴海刑事に、強大な圧力がふりかかる。 人間の尊厳を問い、病院組織の暗部に切り込む社会派ミステリの傑作。
気象環境研究所のエミリーは、生物全てが突然死したシルクロードの村を調査するため赤い国に入国し消息を断った。彼女は収容所で性奴隷となっていた。時宗首相は親戚にあたるエミリーの救出を仙石文蔵ら超人四人組に依頼する。地獄から奇跡的に救出されたエミリーは強い正義感から今度は森林破壊調査のため南米アマゾンへ向かう。そこでは大国のエゴが絡む恐るべき実験が進んでいた…。ハードロマン巨篇、仙石文蔵シリーズ白熱の第4弾!
強欲成金の親子に殺人予告状が送付され、道楽息子が殺された。戦慄した父親は暴力団に警護を頼むが、四十人近い組員もろとも皆殺しにあう。さらに財団連会長に新たな殺人予告状が届く。警視庁は万全の警備態勢を敷くが、娘になりすました何者かが侵入し、会長は殺害された。重大事案発生に、時宗首相は仙石文蔵を頼る。文蔵の戦時中国での因縁に絡む犯人像が浮かんだ。ハードロマン巨篇。
赤い国が建造した最新鋭原子力潜水艦“赤い鯱”がオホーツク海で米国原潜のレーダーに捕捉された。米軍艦隊は総力を上げて追跡するが、巨大原潜は悠々と姿を消した。軍事優位逆転の事態に米国防総省は戦慄する。「赤い鯱を捕獲せよ」-仙石文蔵をリーダーとする四人の超人集団に白羽の矢が立った。深海潜水艇に乗り込んだ四人の男達は小笠原海溝へと潜航するが…大長篇ハードロマン。
夜の国道で道路の中央に蹲っている少年がいた。彼は、一緒に暮らしていた老人が死ぬ間際に残した言葉を守り、飼っていた蟹が海岸で産卵しようと移動するのを、命がけで守ろうとしていたのだった。それを知ったドライバーたちは、最後まで少年が見守れるように動いた。しかし、蟹と少年にはさまざまな難敵が襲いかかってくる(「妖獣鬼」)。人間の孤独や哀しみの深奥に迫った、傑作動物小説集。
音のでない呼び笛。人には聞こえないが犬には聞こえるゴールトン・ホイッスル。秋津四郎の娘良子はその超音波を捉える聴覚を持っていた。ある冬の朝、愛犬鉄を連れて散歩に出た良子は交通事故で記憶を失う。同じ日、事故現場近くで男性の他殺死体が発見された。そして数日後、良子は何者かに誘拐されてしまう。鉄とともに探索に旅立つ秋津。父と娘を結ぶのはたった一つの犬笛だけだった…父娘の絆を謳った感動の名作復刊。
赤石岳山麓でペンションを経営する治宗は、夫婦の破局が因で愛育していた仔猪・ゴンタを山に放った。4年後、突如、南アルプス山中に巨猪が出現。それはかつてのゴンタだという。付近に出没し、荒れ狂う手負いのゴンタ。人生に傷ついた治宗は、山狩りからゴンタを救出することに自らの再生を賭けるが…。人間の心に潜む哀しみと、動物への限りない愛を描く巨編。
南アルプスで男女の死体が発見されたが、遺体は死後十日間で白骨化していた。同じ頃、環境庁鳥獣保護課の沖田のもとに中部山岳一帯における鳥獣の異常繁殖を告げる調査報告が相次いだ。沖田は理学博士・右川を訪ね、百二十年に一度というクマザサの結実が、それを餌とする鼠の大量繁殖をもたらしているとの指摘を受ける。関係官庁は対策要請にも耳を貸さず、ついに大惨事が発生する。壮大な長篇サスペンス。
時空間を支配し、全人類の奴隷化を狙う幻覚鬼・醜男。思念力でそれを阻もうとする鯱軍団。キリスト教とイスラム教を相撃させる世界終末戦争が迫る!長編国際冒険ロマン鯱シリーズ、待望の最新刊。
警視庁の敏腕刑事・徳田左近は定年間際に警察庁に引き抜かれ、都道府県警すべてに亘る未解決事件の再捜査を担当している。彼の身近で不気味な動物虐待事件が続いた。庭で餌づけしていた鳩が両足を切断された数日後、榧ノ木山への登山道で、木の幹に鎖で繋がれ放置されたアイリッシュ・セッターの餓死死体を発見した。異常者の愉快犯…血統書を手掛かりに徳田は執拗に犯人に迫る(表題作)。ハードロマン集。
余命半年を宣告され、旅に出た石文高士。だが、偶然手に入れることとなった1枚のMOディスクが、何もなく終わるはずだった石文の人生を変えた。ディスクを求め次々に襲いかかる謎の組織“裏警察”。最後の命を闘いにかけた男の逃走劇が始まった!-平凡な人生を送ってきた男が巻き込まれた“非日常”の恐怖を描く表題作「牡牛の渓」。