著者 : 西村寿行
3歳のとき、何者かにさらわれた過去をもつ人妻・草木礼子が、再び姿を消した。警察で手に余る事件を請け負う元刑事・鳴神一介は、去来正成を相棒に解決に乗り出した。その道すがら出会った超嗅能力犬・頑鉄の「脳嗅」で図らずも少女売春組織を摘発し、さらにもう一人、行方知れずの音無千尋の捜索依頼を受けるのだが-。3歳まで礼子はだれだったのか?礼子を養女にした黒石文蔵、そして突然現われた女「アキラム」の目的は?心鏡流の杖をふりかざし次々と謎に挑んでいく二人は、40余年前、千尋の祖父が関わった旧陸軍の極秘研究と、今なおつきまとう亡霊の正体に目を瞠った。時の陥穽に滑り落ちた人間の闇を描く長編ハード・サスペンス。
密出国を謀った二人のソビエト領事館員が、海上保安庁に逮捕された。だが、何者かの圧力によって二人は釈放され、釈放に反対した警備救難監・後世が死体で発見された。次々と保安官が殺される。犯人の目的は何か?海上保安庁最大の危機。元海保・特別警備監の関守充介は、海保を守るため特命追跡監として、敢然と立ち上がった。最高潮“渚シリーズ”第四弾。
元刑事中館進市が撲殺され、現場から愛犬のクロベエが消えた。四年前、中館とクロベエは殺人犯逮捕に一役かったが、犯人の美笹貴信は仮出所し、父が組長の暴力団美笹組小頭として羽振りをきかせていた。美笹組員が次々と黒犬に吠み殺された。クロベエの復讎か?だが人殺し犬は法によって薬殺される。美笹組は懸賞金を賭け、犬と人間の死闘に世論は沸いた(表題作)。他五篇を収録。
刑事安芸新八の妻・真澄は、一人息子の守介を連れて郷里の新潟県十日町に向かっていた。途中、豊富な金の産出で賑わう国分村に立ち寄った際、飢えた七人の少年に襲われ、守介は撲殺され、真澄は性交奴隷として飼われるはめに…。行方を追う新八も村人の罠に落ちた。復讐に燃え、鬼と化した夫と妻の凄絶な怨念を描く著者渾身のハード・バイオレンス衝撃作。
明治半ば、警視庁警部・戒能兵馬は、上司斬殺という無実の罪で投獄。北海道釧路集治監に移された戒能は、地獄の硫黄鉱山で使役に。復讐を胸に脱獄し、途中、手負いの狼を助ける。原野を彷徨う彼らを、拒捕斬殺の使命を帯びた追跡者の容赦ない攻撃が…。暗黒の北海道開拓史を背景にした復讐と慕情のサバイバル・ロマン。
そいつは、とうとうやって来た!それは人か魔物か。刑事の露無は、北海道の知床で物の怪に襲われた。魔物が住む世界へ行かぬかぎり、死が待っている…。物の怪の国への扉を開け!露無もまた魔人と化した-。
樹霊の生命の叫びを聴け!偉大なる知性を秘めた全能の〈父母の樹〉は滅びの時を悟って永い眠りから覚め、異能の少年・広久に使命を与えた。植物の逆襲がいま、はじまる…。警鐘のハードロマン巨篇。
誘拐された男女を奪還すべく行動を開始した伊能と中郷の“死神コンビ”。その捜査線上に浮かんだのは、20年前に消えた一人の特殊工作員だった。地の涯を舞台にいま、凄惨な殺戮の嵐が吹きすさぶ。烈風のハードロマン巨篇。
掏摸の亀造、元博徒の三四郎、そして元刑事の源吉は、あてのない旅を続けていた。ある日、亀造が中国人の男から財布を掏ったところ、中には諜報戦の鍵を握る機密文書が隠されていた。各国の諜報部員が入り乱れての機密文書争奪戦が始まった!レイプの嵐吹き荒れる長編ハード・アクション小説の痛快作。
上高地観光のバスが、渓谷で次々に銃撃され、3台が断崖を落下、死者105、負傷者54名の大惨事となった。だが狙撃犯・沼田光義はアルコール酩酊で心身耗弱状態、長野地裁は無罪を言い渡した。自らが溺れたアルコール中毒に、無罪を許す法とは何か!?心身耗弱は偽装か?母と妻娘を殺された真琴悠平は、人類の名において沼田を裁くことを決意、沼田の過去を追い始めた…。長篇問題作。
隼という名の犬を飼い、一人で狩りをしていた老猟師の家をある日巨熊が襲い、嫁や孫そして隼をもその鉄の爪にかけた。巨熊をはじめ、巨大な犬鷲、長大な牙を持つ猪の3大巨獣と老猟師の対決が迫るころ、1匹の白い紀州犬が迷い込み、老猟師は2代目“隼”と名付けた。老人と犬の哀しいまでの愛を描いて動物小説の巨匠の原点ともいえる処女長編。