著者 : 赤尾秀子
部屋はただの空間ではなく、精神の表出、知性の産物でもある…われわれは部屋をつくり、部屋はわれわれをつくる。それがオスカーの信念だった。神経質で完璧主義の音楽家である友人オスカー宅で、二匹の猫を預かり留守番をすることになったぼく。スタイリッシュなフラットでの気ままな日々が待っているはずだったが、思いもかけない展開に…。そこここで見つかる友人の細かい注意書き。フローリングには万全の注意を払ってほしい、コースターなしで床に飲み物を置かないこと。猫をソファには絶対上がらせないこと。ピアノで遊ばないでほしい…等々。次第に追い詰められていくぼく。恐ろしくもおかしいカフカ的不条理世界。悪夢のような八日間の果てにオスカーから聞かされたのは?ベティ・トラスク賞受賞作。
第一次大戦後の英国。国民を知力でランク分けするという大胆な政策を打ち出す脳務省に務めるキティは、脳務大臣のニコラスと密かに愛を育んでいたが、脳務省の権力が増大していく中、二人の愛は迷走する…百年の時を経て蘇ったフェミニスト・ディストピア小説!
ホワイトハウスの厨房を視察するため外国からシェフたちがやってくる!知らないレシピや文化を学びたいけれど、急に決まった晩餐会の準備もあるし、ホワイトハウス全体の支出削減のために人手不足だし…忙しいエグゼクティブ・シェフのオリーを助けようと、エグゼクティブ・ペイストリー・シェフのマルセルが視察団のガイド役を引き受けてくれることに。彼が作り出すのは甘く美しい飴細工に絶品のホットチョコレート。すばらしいデザートは国境を越え、誰もが感嘆のため息をもらして味見をしていたところ、突然マルセルが倒れてしまった。事故か病気か、それともおかしなものがデザートに紛れこんでいた…!?
AIの独立に揺れるラドチ圏から、遠く離れた星系国家。有力政治家の娘イングレイは後継争いで大逆転を狙い、政敵の秘密を握る人物を脱獄させる。だが引き渡されたのは別人だった。進退窮まった彼女はなりすましをさせるという賭けに出るが、想定外の事態が次々重なり、ついには異星種族をも巻きこむ危機に…。ヒューゴー賞、星雲賞など計13冠“叛逆航路”ユニバース新作登場!
ホワイトハウスの厨房に大仕事が舞いこんだ。長年にわたって関係のよくなかった国が和平会談に同意したので、それに先立ち国賓晩餐会を開催するというのだ、一週間後に!オリーたちは世界のリーダーにおいしい料理でくつろいでもらうことを目指すが、スタッフ間での問題が発生しー。総料理長としての試練に挑む一方で、プライベートの悩みも抱えるオリー。恋人ギャヴとの結婚を決めたはいいけれど、手続きに予想以上に時間がかかることがわかったのだ。ギャヴの友人に頼んで事を進めようとするも、友人は不可解な事件に巻き込まれてしまう。いつになったらおちついてしあわせをかみしめられるのか!?
夏の休暇で、恋人といっしょに実家へ帰省したオリー。でも母の口から、幼い頃に亡くした父の死についての意外な真相を明かされ、和やかな休日は一変。銃で殺されたうえに犯人もまだ捕まっていないなんて!戸惑いながらも、オリーは父への愛を力に、未解決の事件に踏みこむ決意をする。一方、ホワイトハウスでも予想外の事態が。夏休み中の大統領の息子ジョシュアに料理を教えることになったまではよかったものの、オリーだけで参加するはずだったフード・エキスポにジョシュアがどうしても行きたいと言ってゆずらない。やむなくオリーたちは変装し、大勢の人でごった返す会場へと向かうがー!?
予期せぬ事故でシャトルから放り出された、女性宇宙飛行士のカリスと料理人のマックス。恋人同士であるふたりには、酸素がそれぞれ90分ぶんしか残っていなかった。ふたりはどのように出会い恋に落ちたか、そしてなぜ現在のような状況に至ったかについて振り返る。漆黒の宇宙空間をゆっくりと確実に落下していく絶望的な状況で、必死に生存の可能性を探りながら…。“ゼロ・グラビティ”下で展開するSFラブストーリー。
異例づくし。まさしくそれが、総料理長オリーの今回の任務だった。というのも大統領夫人が催す数千人規模の巨大誕生日パーティのため、厨房の外へと飛び出し、会場選びから手伝うことになったのだ。同じく担当スタッフに選ばれたのは、式次室長のピーター。彼とオリーが犬猿の仲なのはホワイトハウスの誰もが知るところ。なのにまさか、ふたりそろって秘書官の遺体を発見することになろうとは!?それ以来、何者かに命を狙われるようになったふたりは、危険と隣合わせでパーティの準備を続行することに。いつもは皮肉屋のピーターも、今回ばかりは弱気な一面を見せはじめ…!?
ゲストの食の好みやアレルギー、出身地など経歴をくまなく調べあげて提供するホワイトハウスのディナーは安全なうえに、どこよりも美味しい完璧な料理。ところが、ディナーを口にした連邦政府の高官があろうことか死亡!総料理長のオリーは事件を聞きつけたマスコミに糾弾され、厨房スタッフは全員、ホワイトハウス関係者から犯人扱い。厨房は完全封鎖に追いこまれてしまった。春の復活祭まであとわずか。これでは一万個以上のイースター・エッグの準備ができない!間に合わせるための唯一の道は事件の真相を暴き、厨房の嫌疑を晴らすこと。けれどオリーが捜査に首を突っこめば、恋人であり大統領の護衛官であるトムの解雇につながる。八方ふさがりのオリーが仲間たちと取った大胆不敵な行動とは!?
ブレクは宇宙戦艦のAIであり、その人格を4000人の肉体に転写して共有する生体兵器“属躰”を操る存在だった。だが最後の任務で裏切りに遭い、艦も大切な人も失ってしまう。ただひとりの属躰となって生き延びたブレクは復讐を誓う…。デビュー長編にしてヒューゴー賞、ネビュラ賞など『ニューロマンサー』を超える英米7冠制覇、本格宇宙SFのニュー・スタンダード登場!
「世界でもっとも重要な台所」と呼ばれる、ホワイトハウスの厨房で働くオリーは、小柄ながら腕と舌は確かなアシスタント・シェフ。彼女の任務は、大統領の朝食から晩餐会にいたるまで献立を吟味して、期待以上の料理で彼らの胃袋をつかむこと。ところがある日、ホワイトハウスに不法侵入した男をフライパンで打ちのめしたせいで、彼女は国際手配の殺し屋から命を狙われることに!いっぽう厨房では、たった一週間で重要な国賓晩餐会のメニューを決めるという前代未聞の事態が発生。オリーは、夢だった総料理長の座を射止めるためにもこの大ピンチを乗り切れるのか!?ホワイトハウスの舞台裏で大活躍する料理人を描くシリーズ第一弾!アンソニー賞受賞作。
大親友の披露宴の料理を任されたシャーロットが考案したのは、ブルーベリー&チーズのアイスで、ほっぺたが落ちる出来映え。でもまさか、その新作アイスを凶器にした殺人事件がおこるなんて!しかも、アイスの入った容器で撲殺された男性はシャーロットの恋人の妹ジャッキーをつけねらっていた暴力夫だった。素性を隠してひっそりと暮らしていたジャッキーの居場所を、彼はどうやって突き止めたの?なぜ、殺されたの?やっと安住の地を見つけたジャッキーと幼い娘を大切に想う一心で、捜査に乗り出すシャーロット。しかし、母娘に迫る魔の手の正体をつかめないまま、アイスクリーム・パーラーで第二の死体が見つかって…!?
アメリカ中西部はミネソタ州スタンダード・スプリングズ。人口:4317。このスモール・タウンで最大のイベント、年に一度の“連続殺人記念祭”の季節がやってきた!毎年、町で起こる殺人事件はたったの一件。どういうわけか犯人が捕まることなく20年も続いている。大した危機感もなく、平和がしみついている人々は、恐怖を知りたい、味わいたい。ぞっとするような叫び声をあげる少女を“絶叫クィーン”の座に据え、祭りのパレードは最高潮に達する。デビイは、そんな異様な町に暮らす女子高生。今年がクィーンになるラストチャンスなのに、「恐怖が感じられない」と困り果てる日々。…ところが本番目前に、最大のライバルが戦線離脱!?コンテストの結果は?保安官は今年こそ犯人逮捕なるか?『葬儀よ、永久につづけ』の著者が再び放つ、奇想天外な田舎風アメリカン・コメディ。
一九四一年、風雲急をつげる上海。一人の少女が合衆国へ脱出した。四十年の歳月を経て彼女の元に届いた古めかしいトランク。その中には、米国権力中枢にくいこんだ史上最大のスパイ「ダンテ」の秘密が隠されていた!ロマノフ家の財宝、ゾルゲ事件の真相…錯綜する歴史の闇から浮かびあがる衝撃の真実とは。
リゾート小惑星シルヴァーサイドがついに完成した。華やかな開幕セレモニーにつめかけたあまたの名士や貴婦人たちのなかに、われらが快盗マイジストラルの姿もあった。狙いは、銀河に名高い宝石《エルトダウンの炎》。だがこの宝石を狙っているのは彼だけではない。宿命のライバル、フウ・ジョージも、この警戒堅固な小惑星に乗りこんできていたのだ。エレガントな快盗の胸のすく活躍をえがく人気沸騰シリーズ第2弾。
機略縦横、神出鬼没、絶世の美女に甘い恋をささやきながら狙った宝は断じて逃さない。それが、異星人コーサリイの支配下にある銀河貴族社会で、ひときわ人気の高い《公認盗賊》ドレイク・マイジストラルだ。だがこの快盗でさえ、今回の獲物には手こずっていたー。銀河帝国の命運を左右する究極の“秘宝”を盗みだすというのだから。全宇宙が注視する中で、虚々実々の駆引きの幕は切って落とされた…。シリーズ開幕篇。
謎の存在が作りあげた人工天体〈中院〉から、マンダラのように伸び広がる神秘の星域〈眷属〉。この空間の特殊なパワーが、ついに人類の超光速飛行を可能にした。人類は地球を捨て、果てない宇宙へと飛び出した。だが、その前途に思わぬ強敵が立ちふさがったー神出鬼没でなみの武器では倒せない怪物が、平和なコロニーや宇宙船を血の海に変えはじめたのだ!この事態を解決すべく、分子破壊銃を手に掃討作戦を開始した不死者の総括官コルランは、恐るべき真相に一歩、また一歩と迫ってゆく…壮麗な宇宙を舞台に新鋭が放つSFアクション!
突如、調査隊一行を襲った高重力世界人たちの反乱を避け、カイたちが冷凍睡眠に入ってから、どれほどの時が過ぎたのか。ここは金色の翼竜が空を舞い、大型竜が跋扈する惑星アイリータ。この謎に満ちた星で、長い眠りから覚めた調査隊メンバーを待ちうけていたのは…?人気女流作家が失われた恐竜たちへの追慕をこめて描く傑作シリーズ第2巻。
2032年、金色の後光にも似た環状体で直径40マイルにもおよぶ謎の物体が、太陽系を通過していった。それから1年後、地球は“ハロー”と名づけられたその物体が残していった“シード”によっておおわれた。シードはあらゆる都市、町、村の中心に陣どり、強力なアルファ波を放って、人々を恍惚状態のうちに虜にしたのである。かくてシードは地球文明の幕をおろすことにみごとに成功した。人類に残された最後の希望は月の植民者たちームーンメンであった。トレントン博士にひきいられたかれらは、シードから地球をとりもどすべく、ケーキウォーク作戦を発動させたが…。