著者 : 赤松利市
新橋の立ち呑み居酒屋「あじろ」の常連でマドンナだった真由美が、突然失踪してまう。心配した常連客と店主が彼女を捜し始めると、その美貌と笑顔からは計り知れない邪悪な一面が見えてくる。偽りの職業、パパ活斡旋、恐喝……常連の和歌子は彼女の本性を知って逡巡するのだが、真由美は殺されていたことがわかり、あじろに不穏な空気が漂いだした。犯人は常連客の誰かなのか。平和で楽しいはずの酒場の人間関係に何があったのか。大藪春彦賞作家の鬼才が描く、人情と愛情の居酒屋サスペンス!
怪物が、生まれるーー。 巨大産業「パチンコ」。 金に魅せられ、男たちは狂乱する。 路上生活から62歳で作家デビューした 最後の無頼派作家・赤松利市の到達点。 母が殺された。父の手によってーー。 朴マンスは、父・ヨンスクによって母が殺された14歳の夜を忘れない。 父は事故だと言い張るが、マンスは信じない。 心に誓った。父を許さない、と。 決意したマンスは、先輩・井尻の「助言」に従い、父が経営するパチンコ店に見習いとして就職する。 父は、姫路市内でチェーンを展開するパチンコ長者になっていた。 周囲に社長の息子であることを隠しながら下働きをするマンスには、ある計画があった。 父を地獄に叩き落とす、凄烈な計画がーー。 パチンコ店を舞台に、金に魅せられた怪物たちの騙しあいが始まった。
新宿二丁目で夜遊びに興じる川島大吾。独身で趣味は仕事。男女の駆け引きのないニューハーフのショーパブに嵌っている。平成三年、あぶく景気が弾け、いつも指名するカスミも店を辞めた。当時はまだ日陰の存在だったニューハーフに頼る家族も故郷もない。老後の心配をするカスミに、ニューハーフのリタイアハウスのプランを告げる大吾だったが……。 狂騒のなかにも哀感があった平成バブル。 夜の街に囚われた、男、女、ニューハーフ、ジャパゆきさんの、果ての果て。
ようこそ、恐怖の“肉食系”ミステリーへ この島は何かがおかしいーー 大手新聞社を定年退職した夜、連れて行かれたショーパブで一人の女性と出会った鮎子。 アサミと名乗る彼女はショーの演出を手がける立場で、出演ダンサーのオーディションを近々行うという。そのオーディションに立ち会って欲しいと、鮎子は初対面にもかかわらずなぜか頼み込まれる。 禁断の出会いをきっかけにアサミに翻弄される鮎子。新宿、浅草、バリ島を舞台に、アサミに心身をとりこまれた先で彼女が体験したのは、想像を絶する「宴」だったーー ようこそ、大藪賞作家が仕掛けた、世にもおぞましい“美食”の狂宴へ……! 【注意】全てが伏線。一行たりとも目を逸らしてはいけない。
浅草で働く大隅一郎は、喫茶店の店主・小川からアルバイトの咲子の相談に乗ってくれと持ちかけられる。「父親の借金返済のために愛人にしてほしい」と咲子に言われて心を躍らせる。同衾を果たした末に、「あなたの子供を産みたいの」と懇願されてしまうーーもう一度だけ恋がしたくなる、大人の暴走特急恋愛小説!
東南アジアでの巨大リゾート開発推進のため日本のスーパーゼネコンから現地役員として「島」に乗り込んでいた青木は、資金として投入された莫大な裏金の一部を着服して会社を離れ、計画が頓挫した後も島で隠遁生活を送っていた。現地で飼い殺しにされている元同僚の西村から、カジノを中心とする新たな開発計画の存在を聞いた青木は、その利権に食い込むため動き出す。 一方で青木は、島の男の二番目の妻になっていた日本人の女ミチコを「飼って」いた……。 金、酒、官能、暴力、逆転に次ぐ逆転……すべてが“過剰”な物語。
「遺言」余命幾ばくもないお婆さんは、娘の咲子への遺言をレコードに吹き込むことにした。ところが、ご近所連中の悪口をまくし立てるばかりで一向に本題に入らない。録音時間はあとわずか。娘に伝えたいこととはいったい?「白蟻女」長く苦楽を共にした夫の通夜、夜伽する妻・恵子の前に現れた、ちょっと間の抜けた若い女の幽霊。「思い出をめちゃめちゃにしてやる」と彼女が口にした途端、なんと恵子は新婚旅行の日に戻っていた。しかも当時の姿で!反発しながらも賑やかに過去を辿る彼女たち。そして、回想の先に待つ奇跡とは?
「現時点で判明している被害者は六名です」 東日本大震災に匹敵する災禍「アウターライズ」に見舞われた東北だったが、規模に比して抑えられた被害状況を公表した。 どんな対策が行われたのかと注目が集まる中で突如、宮城県知事が“独立宣言”を行った。 そこから三年、一切の情報が遮断された国へと変容した東北に、 ジャーナリストたちが招かれる。 あのとき被災地で何が起きたのか、 そして新たな国の誕生を、我々はどう受け止めるのか。
ヒステリックな母親がもたらすストレスは、大西恵子の精神を蝕んだ。苦痛から逃れるため薬物摂取に至り、彼女は壊れるばかり。父親の浩平は娘のために決意した。「どっかに逃げよう」十五歳の恵子は父と共に神戸へ赴き、慈愛に満ちた日々が心を癒していく。平穏な生活の合間、病の完治を期して訪れたクリニック。主治医の方針で二人は本心を綴ったレポートを提出することに。だが、暴かれる本音と醜悪な思惑が、幸福な生活に影を落とす。新たな問題作となる無慈悲の人間ドラマ。
初長編『鯖』が第32回山本周五郎賞候補 ブレイク必至! 今、最もキテル鬼才が放つ、狂乱の疾走劇 大阪でニューハーフ店「さくら」を営む桜は63歳のトランスジェンダーだ。 23歳で同じくトランスジェンダーの沙希を店員として雇い、慎ましくも豊かな日々を送っていた。 そんなある日、桜の昔の男・安藤勝が現れる。 今さらと思いながらも、女の幸せを忘れられない桜は、安藤の儲け話に乗ることを決意。 老後のためにコツコツと貯めた、なけなしの1千万円を用意するが……。 大阪発。愛と暴力の旅が、今、始まった。 嬲り、嬲られ、愛に死ね!
これはうんこの話ですが、本当に美しい物語ですーー。62歳住所不定、話題作連発の奇才が描く昭和のノスタルジック・ファンタジー。下肥汲みの貧しい家に生まれた美しき少女・純子は、家業を手伝いながら、遊女だった祖母に「男を虜にする女になれ」と手練手管を教わって育つ。いつしか時代は高度経済成長期へ移ろい、村には水資源に大問題が勃発するのだった。
愛する娘は“ボーダー〞だった! 63歳にして新人。異能の作家が実体験を基に描く、正真正銘の問題作! バブルのあぶく金を摑み、順風満帆に過ごしてきたはずだった。やがて事業は破綻し、境界性人格障害の娘を連れた大西浩平は東北で土木作業員へと転身。再起を賭し、津波避難タワー建設へ奔走するも、それは奈落への序章に過ぎなかった。圧倒的な孤独、極限の恐怖、そして、絶望の頂へーー。あなたは、この現実を直視できるか。
一号機が爆発した。原発事故の模様をテレビで見ていた木島雄介は、これから何かが変わると確信する。だが待っていたのは何も変わらない毎日と、除染作業員、原発避難民たちが街に住み始めたことよる苛立ちだった。六年後、雄介は友人の誘いで除染作業員となることを決心。しかしそこで動く大金を目にし、いつしか雄介は…。満場一致にて受賞に至った第一回大藪春彦新人賞受賞作。
「犯人はここにいる全員です」--リゾート旅館の総支配人が惨殺され、従業員6人が自首した。だが、彼らの供述には「あやふやな殺意」しかなく、なぜ被害者が殺されたのかわからない。経営再建を担うキモデブ総支配人、完全違法な長時間労働、自己啓発セミナー、従業員が慕う妖艶な美人女将……容疑者達の供述からは予想外の事実が浮かび上がってきた。第一回大藪春彦新人賞を受賞した奇才が放つ衝撃の犯罪小説!
紀州雑賀崎を発祥の地とする一本釣り漁師船団。かつては「海の雑賀衆」との勇名を轟かせた彼らも、時代の波に呑まれ、終の棲家と定めたのは日本海に浮かぶ孤島だった。日銭を稼ぎ、場末の居酒屋で管を巻く、そんな彼らの生を照らす一筋の光明。しかしそれは崩壊への序曲にすぎなかったーー。 第1回大藪春彦新人賞受賞者、捨身の初長編