著者 : 近藤史恵
下町の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルのスタッフは、変人シェフ三舟さんとスーシェフの志村さん、ソムリエールの金子さん、ギャルソンの高築くんの四人。コロナ禍で厳しい状況の飲食店業界、“パ・マル”でも、テイクアウトメニューを考えたり、料理教室を始めたり…。そんななかで、料理教室で起きた気まずい出来事、ひとり分のテイクアウトを買いにくる男子中学生の謎、自身のレストランにスタッフが定着しない理由がわからず悩む他店のシェフ、高築くんのいとこのプロポーズ計画等々、名探偵シェフのまわりには相変わらず謎や相談ごとがいっぱい。全七編を収めた待望のシリーズ第四弾。絶品料理の数々と極上のミステリをどうぞ!
失ったものと手に入らなかったものについて、お話しします。クラスメイトの稚拙な行動の理由。パリに降り立った彼女の秘めた思い。忘れ得ぬ在りし日の祖母の姿。他人のものばかり欲しがるあの子。いるはずのない住人の気配。甘やかに秘密を分かち合う二人の女。宿命的な死に蝕まれた村。妻と別れた男に訪れた非日常。言い訳はいらない。もう、とりつくろえない。隠された真実に気づかせてくれる珠玉の作品集。
世界のさまざまなカフェメニューを提供する、カフェ・ルーズ。円が営むカフェもコロナ禍の影響を受けていて……。日常のちいさな事件や、モヤモヤすることを珍しいお菓子が解決していく。「こんなカフェに行きたい!」の声続々のコージーミステリー第二弾。
大きな料理屋「しの田」のひとり娘である真阿。十二のときに胸を病んでいると言われ、それからは部屋にこもり、絵草紙や赤本を読む毎日だ。あるとき「しの田」の二階に、有名な絵師の火狂が居候をすることになる。「怖がらせるのが仕事」と言う彼は、怖い絵を描くだけではなく、普通の人には見えないものが見えているようだ。絵の犬に取り憑かれた男、“帰りたい”という女の声に悩む旅人、誰にも言えない本心を絵に込めて死んだ姫君…。幽霊たちとの出会いが、生きる実感のなかった真阿を変えていく。
シャルロットは七歳の雌のジャーマンシェパード。お利口だけれど、普段はのんきな元警察犬。彼女と一緒にいると、いろんな事件に遭遇する。向かいの家には隠されたもう一人がいる?偶然関わることとなったドッグスクールの不穏な噂とは?それでも、シャルロットと出会えて本当に良かった。謎に惑い、犬と暮らす喜びに満ちた、極上のコージーミステリー!
大阪で七十年続く和菓子屋「凍滝」の二人姉妹、小梅とつぐみ。姉の小梅は店を継ぐため、毎日和菓子づくりに励む働き者。大学生の妹・つぐみは自由奔放。家業を古臭いと嫌っている。ある日、四十三年前に亡くなった曾祖母の魂が何故かつぐみの身体に乗り移り、「ある手紙をお父ちゃんの浮気相手から取り戻してほしい」と告げてきたーある和菓子屋の家族が織りなす、明治と令和を繋ぐ物語。
唯一無二のホラー漫画家・楳図かずおを特集! 「恐怖漫画」の第一人者として他の追随を許さない漫画家・楳図かずおは、一九五五年に貸本漫画家としてデビューする。 六一年に短篇「口が耳までさける時」を発表して以降、次々にホラー漫画を世に送り出し、読者の背筋を凍りつかせた。 ストイックに恐怖を追求する作風は、漫画にとどまらずジャンルを超えた表現者に多大な影響を与えている。 九五年に完結した『14歳』以降、漫画執筆を休止しているものの、色あせない楳図作品は新たな読者を惹きつけ続けているのだ。 そしてこの度、初期名作を一気に味わえるホラーシリーズ「こわい本」が角川ホラー文庫から刊行開始された。 唯一無二の恐怖世界を御堪能あれ! 強力な連載陣もお見逃しなく! ●特集 楳図かずおホラーワールド 【インタビュー】激白! 楳図かずおインタビュー「楳図式ホラーの流儀」 【漫画】復刻! 「のろいの面」楳図かずお 【告知】注目! 「こわい本」刊行開始! 【寄稿】耽溺! 楳図ファンが選ぶ戦慄の一作 伊藤潤二、大槻ケンヂ、小野不由美、片岡愛之助、児嶋都、近藤ようこ、高橋葉介、ピエール瀧、ヒグチユウコ、諸星大二郎 【コラム】仰天! 楳図かずおの軌跡 【コラム】熱唱! UMEZZレコードガイド 【コラム】堪能! UMEZZ映像作品ガイド 【エッセイ】熱愛! 綾辻行人「今さら「ラブレター」なんて……」 ●小説 京極夏彦、小野不由美、有栖川有栖、山白朝子、澤村伊智、近藤史恵 ●漫画 諸星大二郎、高橋葉介、押切蓮介 ●論考/エッセイ/インタビュー 京極夏彦、荒俣宏、東雅夫、加門七海、村上健司&多田克己、鈴木優作 ●グラビア げみ、芳賀日出男、佐藤健寿、怪食巡礼 ●怪談実話 岩井志麻子、牛抱せん夏、しのはら史絵 ●お化け友の会ひろば ナカニシア由ミ、伊藤慎吾、河野隼也、岩名謙太、Apsu Shusei etc……
小説家の織部妙は順調にキャリアを積む一方、どこか退屈さも感じていた。そんなある日、“美人作家”として話題の新人、橋本さなぎの処女作に衝撃を受ける。しかし、文学賞のパーティで対面した橋本の完璧すぎる受け答えに、なぜか幻滅してしまう。織部の興味を惹いたのは、橋本の秘書である初芝祐という女性だった。初芝への気持ちを持て余す織部は、やがて「橋本さなぎ」の存在に違和感を抱くようになる。その小さな疑惑は開けてはならない、女同士の満たされぬ欲望の渦への入り口だった…。「第13回エキナカ書店大賞」受賞作家の最新作。
「怪と幽」4号では、時代を超えて読み継がれる名作から一部の世代に多大な影響を与えた奇書までーー子どもたち、そしてかつて子どもだったすべての人々に贈るこわ〜い本を特集。子どもたちが初めて出会う「おばけ」を作り上げた、せなけいこ氏のおばけ哲学から、今年で30周年を迎える「学校の怪談」シリーズの常光徹氏へインタビュー、初めて絵本を手掛けた佐野史郎氏と有栖川有栖氏の対談、総勢18名の作家らが選んだ「私のトラウマ本」など、盛りだくさんでお送りします。特別企画として、国際日本文化研究センターの所長を退任された小松和彦氏へのロングインタビューを掲載。強力連載陣も健在です! ●特集 こわ〜い本 ぼくらはお化けと育った 【グラビア】「せなけいこ流おばけの作り方」 【インタビュー】常光徹 「『学校の怪談』と子どもたちの三十年を振り返る」 【対談】佐野史郎×有栖川有栖 「子どもたちに恐怖を」 【アンケート】「私のトラウマ本」 押切蓮介、乙一、加門七海、貴志祐介、小松和彦、近藤史恵、佐藤健寿、真藤順丈、高橋葉介、多田克己、恒川光太郎、東雅夫、平山夢明、松村進吉、宮部みゆき、村上健司、夢枕獏、綿矢りさ 【寄稿】黒坂真由子 「せなけいこのおばけ哲学」 【レポート】「令和の子供たちに訊く! こわ〜い本」 【寄稿】黒史郎 「少年少女雑誌はオカルト記事の宝庫」 【競作】澤村伊智 「赤い学生服の女子」 、芦沢央 「冬に真実は伝えない」 ●特別企画 国際日本文化センター所長御退任記念ロングインタビュー 小松和彦の軌跡 ●小説 京極夏彦/小野不由美/近藤史恵/山白朝子/恒川光太郎/真藤順丈 ●漫画 諸星大二郎/高橋葉介/押切蓮介/波津彬子 ●論考・エッセイ 荒俣宏/東雅夫/加門七海/多田克己、村上健司 ●グラビア 七原しえ/芳賀日出男/佐藤健寿/怪食巡礼 ●怪談実話 朱雀門出/丸山ゴンザレス/田辺青蛙 ●お化け友の会ひろば インタビュー 荒俣宏「妖怪伏魔殿」 インタビュー 南條竹則『ゴーストリィ・フォークロア』 インタビュー 清野とおる『東京怪奇酒』 寄稿 三輪チサ「枚方怪談サークル」 寄稿 方南町お化け屋敷「オバケン」 寄稿 香川雅信「 驚異と怪異 -モンスターたちは告げるー」 寄稿 東洋大学「妖怪 meets SPORTS」 レポート ドラえもん50周年展「ゾ〜ッとするこわい話」 etc
生活に不満はないけど、不安はある。家事手伝いの岩居久澄は、心のどこかに鬱屈を抱えながら日々を過ごしていた。そんな彼女に奇妙なバイトが舞い込んだ。祖母の代わりに芝居を見に行き、感想を伝える。ただそれだけで一回五千円もらえるという。二つ返事で了承した久澄は、初めての経験に戸惑いながら徐々に芝居の世界にのめり込んでいく。歌舞伎、オペラ、演劇…。どれも楽しい。けれど、久澄には疑問があった。劇場でいつも会う親切な老紳士。あの人っていったい何者…?
氷野照明に勤める奈良瑛子が近所で見つけたのは、カフェ・ルーズという小さな喫茶店。そこを一人で切り盛りしているのは、かつての同僚・葛井円だった。海外の珍しいメニューを提供する素敵な空間をすっかり気に入った瑛子は足しげく通うように。会社で起こる小さな事件、日々の生活の中でもやもやすること、そして店主の円の秘密ーー世界の食べ物たちが解決のカギとなっていく。読めば心も満たされる“おいしい"連作短編集。