著者 : 近藤史恵
“ビストロ・パマル”のシェフ・三舟の推理が、思わぬ温かな真相を導く「割り切れないチョコレート」、息子から恋人がストーカー被害に遭っていると相談された探偵が、事件に立ち向かう「鏡の家のアリス」。そして、駅に伝言を残すことで気晴らしをしていた主人公が、奇妙な騒動に巻き込まれていく「ドルシネアにようこそ」など、読んで癒される、だけど心に深く響く、極上な作品だけを集めたアンソロジー。
シャルロットは六歳の雌のジャーマンシェパード。警察犬を早くに引退し、二年前、浩輔・真澄夫婦のところへやってきた。ある日、二人が自宅に帰ってみると、リビングが荒らされており、シャルロットがいない!いったい何が起こったのか。(表題作)いたずら好きでちょっと臆病な元警察犬と新米飼い主の周りで起きる様々な“事件”-。心が温かくなる傑作ミステリー。
はじめたばかりの猟で遭難してしまった潮田亮二、35歳。相棒の猟犬と途方に暮れていたところ、無愛想な猟師・大高に助けられる。かねてからジビエ料理を出したいと考えていた潮田は、大高の仕留めた獲物を店で出せるよう交渉する。しかし、あっさり断られてしまいー。夢を諦め、ひっそりと生きる猟師。自由奔放でジビエへの愛情を持つオーナー。謎の趣味を持つ敏腕サービス係。ふつうと少し違うけど自分に正直な人たちの中で、潮田は一歩ずつ変わっていく。人生のゆるやかな変化を、きめ細やかに描く、大人の成長物語。
あの男が戻ってきた。三度の優勝を誇ったもののドーピングで全てを失った。ドミトリー・メネンコが。ざわめきの中、ツール・ド・フランスが開幕。墜ちた英雄を含む集団が動き始める。メネンコの真意。選手を狙う影。密約。暗雲を切り裂くように白石誓は力を込めペダルを踏む。彼は若きエースを勝利に導くことができるのか。ゴールまで一気に駆け抜ける興奮と感動の長篇エンタテインメント。
連作ではなく、単発でしか描けない世界があるー9人の人気女性作家が、それぞれの持ち味を存分に発揮し、今大変注目を集めている「捨てる」をテーマに豪華競作!女性作家ならではの視点で、人の心の襞をすくいとり丁寧に紡がれた9篇は、いずれも傑作ぞろい。さまざまな女たちの想いが交錯する珠玉の短編小説アンソロジー。収録作「ババ抜き」日本推理作家協会賞受賞!
どちらかがどちらかを殺した?-。夏休みのある日、海辺の小さな町の高校生・光介の家に、母の姉・芹とその娘の双葉がしばらく一緒に暮らすことになった。光介は芹から、二十五年前の祖父母の死が、実は無理心中事件であったと聞かされる。カメラマンであった祖父とそのモデルを務めていた祖母。二人の間に何が起こったのか。切ない真相に辿り着いたとき、少年はひとつ大人になる。
世界一華麗な怪盗「ルパン」。鮮やかに美術品を盗み出しながら、弱きものを守り、女性を愛する紳士ー。その優雅かつ誇り高き姿に憧れ、胸を躍らせた過去を持つ人気作家陣が集結し、当時のときめきを筆に込めて書き上げた、オマージュ小説アンソロジー!
歴史ある女子校・凰西学園に入学した真矢は、怖がりの花音と友達になる。ひょんなことから、ふたりは「出る」と噂のピアノ練習室で、虚空から伸びる血まみれの白い手を目撃してしまう。その日を境に、ふたりが手をつなぐと、不思議なものが見えるようになった。保健室のベッドに横たわる首がないびしょ濡れの身体、少女の肩に止まる白いなにか、プールの底に沈むもの…。いったいなぜ、ここに出現するのか?少女たちが学園にまつわる謎と怪異を解き明かす、6篇の青春ミステリ・ホラー。
人気アイドル、謎の自殺ー。彼女の親友・蓮美は呆然とするが、その死を悼む間もなく激動の渦に巻き込まれる。自殺の原因が、蓮美のいじめだと彼女のブログに残されていたのだ。まったく身に覚えがないのに、マネージャーにもファンにも信じてもらえない。全てを失った蓮美は、己の無実を証明しようと立ち上がる。友人の死の真相に辿りついた少女の目に映るものは…衝撃のミステリー。
夫以外に、恋い焦がれる人がいる。梨園の御曹司、岩井芙蓉に嫁ぎ、充実した日々を送っていたはずの美咲。ある晩、美咲は自宅の不審火が原因で昏睡状態に陥ってしまう。芙蓉と人気実力ともに伯仲する女形の中村国蔵は、探偵の今泉文吾に火事の再調査を依頼する。国蔵は美咲から「夫に殺されるかも」との電話を受けたというのだ。眠り続ける美咲が恋した人は誰なのかー。火事の真相は?名探偵、今泉文吾が解き明かす!
「あのね。よく聞きなさい。昨日、団地で男の人が殺されたの」知っている。わたしが殺したのだ。母は続けてこう言った。「警察に里子ちゃんが連れて行かれたの」友梨、真帆、里子。大人になった三人の人生が交差した時、衝撃の真実が見える。傑作長編エンタテインメント。
はじめてのひとり暮らし、旅先、迷路、父か母か。そして、俺の人生を狂わせた、憎いあいつを殺してしまうか…。誰もがいつでも迷っている。迷うほどに、心を揺さぶる。短編の饗宴。最強の作家集団、四たび集結。全作品書き下ろし。
東京で初めての出産を間近に控えた遼子。だが突如、夫が海外に赴任することになったため、実家のある大阪で里帰り出産をすることに。帰ってみると、どこかおかしい。仲が良かったはずなのに誰も目を合わせようとしないし、初孫なのに、両親も妹も歓迎してくれていないような…。私の家族に何があったのか?
平凡で、この先ドラマティックなことも起こらなさそうな日常。自分で購入した1LDKのリビングとソファで得られる幸福感だって憂鬱のベールがかかっている。そんな瑛子が近所で見つけたのは日当たりが良い一軒家のカフェ。店主はかつての同僚・円だった。旅先で出会ったおいしいものを店で出しているという。苺のスープ、ロシア風チーズケーキ、アルムドゥドラー。メニューにあるのは、どれも初めて見るものばかり。瑛子に降りかかる日常の小さな事件そして円の秘密も世界のスイーツがきっかけに少しずつほぐれていくー。読めば心も満たされる“おいしい”連作短編集。
流行作家のマンションに集まった、同級生男女たちの思惑は?閉店してしまった地方書店。出版社の若手営業マンは割り切れなかった…。大学の同好会で熱心に絵画制作に打ち込む彼女。同学年の僕は彼女の情熱に…。学園祭で催された降霊会。何か企みがあるのではないか…。路線バスの降車ボタンをめぐる乗客同士の謎の競争。勝者は誰だ?逆行性健忘症で警察に保護された男には、二人の妻がいた!?六編のどんでん返しが、あなたを離さない。
下町の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルは、スタッフ四人、カウンター七席、テーブル五つ。フランスの田舎を転々として、料理修業をしてきた変人シェフ三舟さんの気取らない料理と、身も心も温めてくれるヴァン・ショーは大人気。そして、実はこのシェフ、客たちの持ち込む不可解な謎を鮮やかに解く名探偵でもあるのです。豚足をめぐる少年と母親の再婚相手との物語、おしゃれな大学教師が経験した悲しい別れの謎、消えたパティシエが残した言葉「マカロンはマカロン」とは?…等々、胸を打つ話ばかり。ブーダン・ノワール、豚足料理、マカロン、ベリーのタルト…メインディッシュもデザートもきっとご満足いただけます。絶品料理の数々と極上のミステリをどうぞ!