著者 : 近藤史恵
犬の最期を看取る「老犬ホーム」で働くことになった智美。初日から捨て犬を飼うことになってしまったり、脱走事件があったりと、トラブル続きの毎日だ。若い犬を預ける飼い主を批判してオーナーに怒られたり、最期を看取らない飼い主や、子供に死を見せたくないと老犬を預けた親に憤り…。ホームでの出来事を通じ、智美は、苦手だった人付き合いや疎遠な家族との関係を改めて考え直し始める。世知辛い世の中に光を灯す、心温まる物語。
ドーピングの発覚で失墜した世界的英雄が、突然ツール・ド・フランスに復帰した。彼の真意が見えないまま、レースは不穏な展開へ。選手をつけ狙う影、強豪同士の密約、そして甦る過去の忌まわしい記憶…。新たな興奮と感動が待ち受ける3000kmの人間ドラマ、開幕!
南町奉行所の定町廻り同心・玉島千蔭は、猿若町の中村座から三階役者が首を吊ったと知らせを受ける。早速かけつけた千蔭は、骸があった場所でその死に不審を抱く。調べを進める千蔭の前に明らかになってきたのは、芝居の世界に横たわる漆黒の「闇」だった(表題作「土蛍」)。人気シリーズ、待望の第五弾は、珠玉の短編四編を収録。読者を唸らせる時代推理小説の大傑作。
ふとしたきっかけでメンバー不足の自転車部に入部した正樹。たちまちロードレースの楽しさに目覚め、頭角を現す。しかし、チームの勝利を意識しはじめ、エース櫻井と衝突、中学時代の辛い記憶が蘇る。二度と誰かを傷つけるスポーツはしたくなかったのにー走る喜びに突き動かされ、祈りをペダルにこめる。自分のため、そして、助けられなかったアイツのために。感動の青春長編。
お伊勢参りを果たした猫の話をめぐって二人の娘がしたある賭けとは?「旅猫」。深川の口入屋の気丈な女主人の元に、刃傷沙汰で死んだ夫が猫に乗り移って現れた?「風来屋の猫」。猫の目の動きから時間を計る研究に没頭する男の思わぬ活躍?「猫の目時計」。ほか江戸を舞台に猫にまつわる話を気鋭の女性作家5名がつむいだ珠玉の短編集。
人気アイドル、謎の自殺ー。彼女の死を悼む暇もなく、蓮美は激動の渦に巻き込まれる。蓮美からのいじめに悩む様子がブログに残されていたのだ。まったく身に覚えがなかったが、マネージャーにもファンにも信じてもらえず…。すべてを失った蓮美は、己の無実を証明しようと立ち上がる。「サクリファイス」シリーズの著者が描き出す、ガーリー冒険譚!疾走感×ミステリー!!
下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マル。フランスの田舎で修業した変人シェフの三舟さんは、実は客たちの持ち込む不可解な謎をあざやかに解く名探偵。田上家のスキレットはなぜすぐ錆びる?ブイヤベース・ファンの女性客の正体は?ミリアムおばあちゃんが夢のように美味しいヴァン・ショーを作らなくなったわけは?シェフの修業時代も知ることができる魅惑の一冊。
「どうして人の命の重さには違いがあるの?」東京で初めての出産をまぢかに控えた遼子。夫の克哉が、突如、ドバイへ赴任することになったため、遼子は大阪の実家に戻り、出産をすることに。実家に帰ると、両親と妹・美和の間に、会話がないことに気がつく。そして父は新築したばかりの自宅を売却しようとしていた。実家で何があった?明らかになっていく家族を襲った出来事とはー。『サクリファイス』の著者が「命の重さ」を描く渾身ミステリー!!
職を失った木崎淳平は、鬱屈した心を抱えてハワイ島にやってきた。長期滞在型のホテル・ピーベリーは小さいけれど居心地が良く、他に四人の日本人旅行者がいた。だが、ある夜、客の一人が淳平に告げる。「楽しみにしてろよ。今におもしろいものが見られる」不吉な予感の通り、客の一人が溺死し、やがてもう一人ー。様々な気候を併せ持つハワイ島の大自然と、人生の夏休みに絡め取られた人々の心の闇。巧緻な筆致で衝撃の真相へと導かれる。一気読み必至の傑作ミステリー。
団体戦略が勝敗を決する自転車ロードレースにおいて、協調性ゼロの天才ルーキー石尾。ベテラン赤城は彼の才能に嫉妬しながらも、一度は諦めたヨーロッパ進出の夢を彼に託した。その時、石尾が漕ぎ出した前代未聞の戦略とはー(「プロトンの中の孤独」)。エースの孤独、アシストの犠牲、ドーピングと故障への恐怖。『サクリファイス』シリーズに秘められた感涙必至の全六編。
1年間限定で自転車部に所属することになった正樹。走る喜びと恐怖の間で葛藤しながらも、レースに挑んでいく。走ることが祈ることであるかのように…。「サクリファイス」シリーズ最新長編、新たな舞台は大学自転車部。
社長命令で、突然ニューヨークシティマラソンに参加することになった安部広和。かつて家庭教師をしていた社長の娘・真結を監視しろというのだ。(「純白のライン」三浦しをん)ニューヨークで、東京で、パリで。彼らは、ふたたびスタートラインに立ったー。人気作家がアスリートのその後を描く、三つの都市を走る物語。
シェフの内山が勤める高級フレンチレストランに毎晩ひとりで来店する謎の美女。黙々とコース料理を口に運ぶ姿に、不審に思った内山が問いかけると、女は意外な事実を語り出して…(「マリアージュ」)。立ちはだかる現実に絶望し、窮地に立たされた人間たちが取った異常な行動とは。日常に潜む狂気と、明かされる驚愕の真相。ベストセラー『サクリファイス』の著者が厳選して贈る、謎めく8つのミステリ集。書き下ろし短編収録。
ファミレスでバイトをしているフリーターの久里子。常連にはいつも同じ窓際の席で何時間も粘る国枝という名の老人がいた。近所で毒入りの犬の餌がまかれる事件が連続して起こり、久里子の愛犬アンも誤ってその餌を食べてしまう。犯人は一体誰なのか?事件解決に乗り出したのは、意外なことに国枝老人だった。
“龍神の神子”として異世界「京」へ召喚された少女、元宮あかねは、怨霊や鬼と戦う日々を送っていた。しかし、神子には外出を控え、力を回復しなければならない「物忌み」という日がある。外出できないあかねは、神子を守る八人の男たち「八葉」に、「京」の話をしてほしいとせがむ。彼らは、あかねの知らない自分たちの日常や過去のことを語り始めるー。女性に大人気!ネオロマンスゲーム「遥かなる時空の中で」初のノベルをミステリ作家・近藤史恵が描いた傑作、ついに文庫化。
十五年前、大物歌舞伎役者の跡取り息子として将来を期待されていた少年・音也が幼くして死亡した。それ以降、音也の妹・笙子は、自らの手で兄を絞め殺す悪夢を見るようになる。自分が兄を殺したのではないだろうか?誰にも言えない疑惑を抱えて成長した笙子の前に、音也の親友だったという若手歌舞伎役者・中村銀京が現れた。二人は音也の死の真相を探ろうと決意するがー。封印された過去の記憶をめぐる、痛切な恋愛ミステリー。