著者 : 近衛龍春
家を永らえるため、残された道は。信長、秀吉、家康によって最大の岐路に立つ、実在した五人の勇者たち!身命を賭して貫くべきことありー。助けた信長に冷遇される、朽木元綱。兄信長に斬られた信勝の嫡男、織田信澄。家康に挑む遠江の椿姫、お田鶴の方。伊達政宗に翻弄される、和賀忠親。祖父幽齋の教えを糧にした、細川興秋。『九十三歳の関ヶ原 弓大将大島光義』『家康の女軍師』の著者が家を護る激闘を鮮烈に描く、歴史傑作五篇。
近江国の戦国武将・浅井長政に仕える脇坂甚内安治。その後、浅井を離れ織田信長の部将・羽柴秀吉のもとで頭角を現す。本能寺の変を経て、賎ヶ岳の戦いでは敵の首を獲り、“七本鑓”の功名を立てる。大名となった安治は秀吉から水軍編制を命じられ、小田原攻め、朝鮮の役で奮闘。そして、一族の命運を分ける関ヶ原の戦いへー。戦国時代を豪胆に、かつ綱渡りで生きぬいた武将の生きざまを描く歴史長編!
九州・肥前に本拠を置き、豊後の大友氏・薩摩の島津氏と覇権を争う戦国大名・龍造寺氏。その重臣として、主君・隆信に近侍した鍋島信生(後の直茂)は、戦場では忠孝にして勇猛、抜群の知略で版図の拡大に貢献する。やがて、隆信は肥前を統一、さらに国外に手をのばし、“五州二島の太守”と称するに至るがー。戦国期から徳川の世にかけて、幾多の苦難を戦い抜いた、「葉隠」武士道の原点にして佐賀藩藩祖・鍋島直茂の大いなる生涯!
「お屋形様と、ともに天下を取らん」商家の女番頭としての機転を買われ、徳川家に奉公することになった卯乃。湯殿に突然現れた刺客から家康を救ったことを機にその側室となる。さらに持ち前の胆力と戦況を読む力から女ながらに影武者を命じられ、関ヶ原、大坂冬之陣、夏之陣と三度戦場に参陣。家康の身替わりとなり、真田信繁と刺し違えることをも覚悟するがー。唯一無二の生涯を描く傑作歴史小説。
信長、秀吉、家康から弓の名人と認められた実在の老将大島光義。鉄砲より優れた連射技と一射必殺の狙撃の凄腕で名を上げ、八十四歳の時、八坂の五重の塔の最上階天井に十本の矢を射込んでみせた。九十三歳で関ヶ原に参陣、生涯現役を貫いた剛直無双の士だったが、激動の時代に大島家を守り抜いた臨機応変の人でもあった。史書に「百発百中」と記され、九十七歳で没した傑物を描く力作歴史小説。
「賎ヶ岳の七本槍」として天下に名を馳せ、朝鮮出兵では鬼神のごとき働きをした加藤清正。豊臣秀吉没後は石田三成と対立し、心ならずも徳川家康に接近する。だが清正の思惑ははずれ、関ヶ原で大勝した家康は専横を極めていく。秀吉の遺児・秀頼を守るため、清正が打った次の一手とは!
関ヶ原の戦いで異彩を放つ、義の星。慶長五年、関ヶ原の戦いで退路を断たれた島津勢は、絶対絶命の窮地にあった。もはや敵陣突破のみが最後の手段となった時、その先鋒にたつ男がいた。その男の名は、島津中務大輔豊久。後に島津を救った男として語られる者の、知られざる半生が、いま明かされる。
流浪の身から黙々と戦い続け、「賎ヶ岳七本鑓」の一人として勇名を馳せた加藤嘉明。加藤清正、福島正則らと少年時代から戦功を競い合い、三木城の攻防を皮切りに山崎合戦など、秀吉の天下統一への戦いで力を振るう。関ヶ原合戦後は家康に“沈勇の士”と重んじられ、会津四十万石の大名へと上り詰めた。水軍の将、築城の名手としても活躍し、乱世の終焉を見届けた男の激闘を描く!
徳川に忠誠を誓い、所領を失った井伊家を再興させ、戦国の世を駆け抜けた「赤鬼」井伊直政。家康を守り抜き、豊臣との戦いを前に散った“戦場の人生”が、いま生き生きとよみがえる!“おんな城主直虎”に育てられた闘将・直政の熾烈な生涯。圧巻の筆致で、「家康を天下統一に導いた男」を描く長編歴史小説!
幼少期に真田信繁(幸村)に命を救われた海野六郎は、その生涯をかけて信繁に仕えることを決意する。忍びの能力を持ち、上田合戦、小田原合戦、関ヶ原の戦い、そして大坂冬・夏の陣の「真田丸」と“最後の突撃”まで、朋輩・望月六郎と共に信繁の右腕として戦場を駆け抜ける六郎。“二人の六郎”の目を通して日本一の兵・信繁と真田家の興亡を描く、傑作歴史エンターテインメント!
一時は四国一円を平定し、全国の武威を轟かせた土佐の戦国大名・長宗我部氏。その強豪が歴史の渦に巻き込まれ消滅した史実を、最後の当主・盛親の生涯から辿る大河小説。一族の骨肉相食む争い、非情な粛清、して滅亡。歴史小説家・近衛龍春が膨大な史料をもとに奏でる長宗我部家の鎮魂家。
関ヶ原の戦いに敗れ、土佐二十二万石を喪失した盛親。寺子屋の主に身を落として隠忍すること十四年。ついに巡ってきた大坂の陣で敗北するも、自刃せず生き恥を晒してまで虜となることを選んだ、その真意は何だったのか。長宗我部の家名を賭け、最後まで戦った男の生涯を追う傑作歴史小説。
史上最速の剣、ここに誕生!-闇討ちにあった父の仇討ちを果たすべく、身体の小さな林崎甚助は、その不利を覆すために「居合」という新しい剣の技を編み出す。仇・坂上主膳を追い、都へ向かった甚助だったが、主膳は京を牛耳りつつある松永久秀の家臣となっていた。奸智に長けた久秀をも相手にせねばならなくなった甚助の仇討ちは、成就するのか。傑作剣豪エンタテインメント小説。
天正十年、織田信長軍に攻められた武田家は、天目山の地で滅亡した。死の間際、武田勝頼は配下の忍び・諏訪次郎らに、小山田信茂、穴山梅雪斎、木曾義昌など武田家を裏切った武将に恨みを果たすよう言い遺す。闇殺、忍び同士の死闘、裏切り…。諏訪忍び「車衆」の仲間とともに困難な遺命を成し遂げようとする次郎の凄絶な“生”を描く戦国忍者エンターテインメント!
川中島、上野、小田原、三方原合戦…。三尺三寸の「青江の太刀」を馬上から操り、信玄の快進撃を支えて智将の父・幸隆とともに武田家中で確固たる地位を築いた剛将・真田信綱ー。最期は勝頼をかばい設楽原で壮烈な討死を遂げるも、信綱なくして“戦国の真田家”はなかった。謀将で名高い弟・昌幸が心より尊敬し、甥の勇将・幸村が「己の目標」と憧れ続けた男の激闘の生涯を描く!