著者 : 郷原宏
「誘拐犯の娘が新聞社の記者に内定」。週刊誌のスクープ記事をきっかけに、大手新聞社が、20年前の新生児誘拐事件の再調査を開始する。社命を受けた窓際社員の梶は、犯人の周辺、被害者、当時の担当刑事や病院関係者への取材を重ね、ついに“封印されていた真実”をつきとめる。第49回江戸川乱歩賞受賞作。
年老いた俳人・片岡草魚が、自分の部屋でひっそりと死んだ。その窓辺に咲いた季節はずれの桜が、さらなる事件の真相を語る表題作をはじめ、気の利いたビアバー「香菜里屋」のマスター・工藤が、謎と人生の悲哀を解き明かす全六編の連作ミステリー。第52回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門受賞作。
うだるような暑さのなか、住民はまんじりともしない不安な一夜を過ごしていた。閑静な住宅街に押し入って銃を奪った3人組が、駆けつけた警官を射殺して逃走したのだ。賊は現金には手をつけておらず、銃器だけが狙いのようだった。捜査を始めたピンチョン捜査官は、事件にからむテロ組織の存在を知るが…。東部の田舎町を舞台に、頑固者の中年捜査官が凶悪な敵を相手に獅子奮迅の活躍をみせる、人気沸騰のシリーズ最新作。
ピンチョン捜査官の身辺で事件が相次いだ。別れた妻が館長を務める図書館で司書が殺され、さらに恋人のアンナが何者かに誘拐されたのだ。二つの事件にはどんな関連が?自分に恨みを抱く者が復讐を企てているのか?アンナの安否を気遺いながら必死の捜査を続けるピンチョン。しかし彼を嘲笑うかのように犯人は次なる殺人を…。頑固者の捜査官と狡知にたけた誘拐犯との熾烈な闘いをサスペンスフルに描くシリーズ最新作。
麻薬取引の現場を押さえようとした警官が殺された。一人はショットガンで、もう一人はパトカーごと谷底に突き落とされ無残な骸をさらしていた。警官たちは誰しも憤りで体が震えた。こんな田舎町にまで麻薬組織が手をのばしているとは。組織を陰で操る大物密売人を暴き出すため、検事事務所のピンチョン捜査官は捨身のおとり捜査を決意した。退職願望を持つ中年捜査官が難事件に立ち上がる姿を描く注目のシリーズ第三弾。
閑静な住宅街に警官の悲鳴が轟いた。彼が目にしたものは、子どもの腐乱死体と半狂乱の母親の姿だったのだ。警察は母親を逮捕したが、実は彼女も頭に傷を受けており、昏眠状態に陥ってしまう。彼女が妊娠していた事実をつかんだ郡検事事務所のピンチョン捜査官は新聞記者のアンナとともに事件の核心に迫るが…。難事件に挑む頑固者の捜査官の後ろ姿を情感豊かに描くアメリカン・ミステリ賞最優秀警察捜査小説賞受賞の傑作。
無線機ががなりたてる。「三号車へ。殺人の通報があった。現場へ急行せよ」保安官助手のギルは辟易しながらパトカーを駆った。どうせ酔っ払いか、いたずら電話に決まっている。しかし現場に到着したギルは呆然とした。無残な姿で横たわっているのは自分の妻だったのだ…。警察を嘲笑うかのように、警官の妻惨殺事件は続いた。そして、捜査に乗り出した地方検事事務所の特別捜査官、ホイット・ピンチョンの身辺にも、犯人はその魔手をのばしてきた。東部の田舎町を舞台に、タフで頑固な捜査官の執念の捜査を詩情豊かに描き出す新警察小説登場。