著者 : 酒寄進一
警視庁の内部でも、捜査先でも次々と問題を起こし、身動きが取れなくなっていく刑事ラート。そんな中、不可解な状態の女優の屍体が発見される。屍体に施された異様な細工は何を意味するのか…?ナチスが政権を獲得する前、人々が自らの信念に忠実でありえた最後の時代、ラートはいかにして刑事としての矜持を示すのか。現代ドイツ・ミステリの豊饒を体現する、傑作警察小説。
空軍基地跡地の燃料貯蔵槽から人骨が発見された。検死の結果、11年前の連続少女殺害事件の被害者だと判明。折しも、犯人として逮捕された男が刑期を終え、故郷に戻っていた。彼は冤罪だと主張していたが村人たちに受け入れられず、暴力をふるわれ、母親まで歩道橋から突き落とされてしまう。捜査にあたる刑事オリヴァーとピア。人間のおぞましさと魅力を描いた衝撃の警察小説!
2001年5月、ベルリン。67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。被害者は大金持ちの実業家で、新米弁護士のライネンは気軽に国選弁護人を買ってでてしまう。だが、コリーニはどうしても殺害動機を話そうとしない。さらにライネンは被害者が少年時代の親友の祖父であることを知り…。公職と私情の狭間で苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で公訴参加代理人になり裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが、法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。コリーニを凶行に駆りたてた秘めた想い。そして、ドイツで本当にあった驚くべき“法律の落とし穴”とは。刑事事件専門の著名な弁護士が研ぎ澄まされた筆で描く、圧巻の法廷劇。
1929年、春のベルリン。ゲレオン・ラート警部が、わけあって故郷ケルンと殺人捜査官の職を離れ、ベルリン警視庁風紀課に身を置くようになってから、一ヶ月が経とうとしていた。殺人課への異動を目指すラートは、深夜に自分の部屋の元住人を訪ねてきたロシア人の怪死事件の捜査をひそかに開始するが…。今最も注目されるドイツ・ミステリが生んだ、壮大なる大河警察小説開幕。
怒涛の日々を送るベルリン警視庁のラート警部。ベルリンを震撼させる殺人事件の謎、消えたロシア人歌姫の消息、都市に暗躍する地下組織、ひそかにベルリンに持ち込まれたとささやかれる莫大な量の金塊の行方…。予測不能の成り行きで、絶対絶命のピンチに陥ったラートに光明は射すのか?転換期の首都と人を鮮やかに活写する、傑作大河警察小説。ベルリン・ミステリ賞受賞作。
150年前のスイス。山奥の貧しい農家に生まれたジョルジョは、優しい家族や友達に囲まれ、元気一杯。ところが厳しい日照りの年、どこにもお金がなくなって、ジョルジョが人買いに売られることに…そして、その先にはもっとおそろしいことが待っていたのです。スイスで昔実際にあった少年たちの売買を題材に、愛と友情を描いた名作。
ミラノで貧しい煙突掃除夫として働くジョルジョ。秘密結社「黒い兄弟」の仲間に入り、強い友情で結ばれます。そんな時、「黒い兄弟」のリーダーで親友のアルフレドが病気に…「ジョルジョ、君に秘密を話すときがきた…」。辛い境遇にくじけず、勇気をもって生きるジョルジョの波瀾万丈の物語、感動の後編。
SFか?現実か?新生ドイツの話題作。西暦2016年のドイツ。17歳の高校生カールは小さいときから自分が養子であることをきかされていたが、実の両親捜しを進めていくうち、出生にまつわる怖ろしい秘密を知ることになる。