著者 : 鎌田敏夫
広告代理店に勤めている由紀恵は、渋谷近くの格安のマンションに引っ越した。かつてその部屋でOLが殺されたことがあったのだ。入居する折、大家に「部屋に鏡を置かないこと」という忠告を受けるが、一ヶ月後に姿見を買ってしまう。そんなある夜、鏡に“OLの凄絶な殺人現場”が映る。一方、同居人の八重は人が変わったように男を連れ込むようになった。その部屋には女と男の深い悲しみと怨みが残っていたー。恐怖と感動の結末、書き下ろし長篇ホラーの傑作。
長い黒髪をぬらし、汚れた着物姿で山道を歩いていた私を一人の警官が助けてくれた。私の名前は小夜子。それ以外の記憶はない。私はなにものかに導かれて新宿にたどり着いたが、そこには山梨で私を助けてくれた警官がいて、私にこう告げた。「きみは死んだ人間なんだ。人の後ろに立つと、その人間の怨みの中にきみの怨みが入ってしまう」とー。人間の心の闇を描き出す長篇ホラーの傑作。
「女にモテることを人生の言訳にしているかぎり、あなたは一流の選手にはなれない」プロ野球選手・佐伯達夫が二軍のポジションを奪われそうなときだった。プロ野球担当の新聞記者・坂井千晴にこの言葉を投げつけられたのはー。達夫の不振はそれからも続いた。ある夜、達夫は千晴を求める。最初は千晴も断るが、遂に達夫と一夜をともにした。以来、達夫の活躍は目覚しく一軍に昇格。恋でも愛でもない二人の関係は続くが…。常識や習慣に囚われない自分たちだけの関係で生きる男と女を瑞々しく描いた珠玉の短編集。
結婚してもいいと思っていた恋人にふられた。突然の左遷で仕事も取り上げられた。気づいたら頭には十円禿。人生で最愛の日だった29歳の誕生日。30歳までにはぜったい幸せになってやる!恋を仕事を人生を、あきらめない、投げ出さない。強がりながらいつも前向きな主人公典子を山口智子が演じて深い共感を呼んだ大ヒットドラマをもう一度。20代最後のクリスマス、あなたは誰と。
運命が、私と美弥を会わせてくれたんだと思う。そして、あなたとも…。『29歳のクリスマス』で女たちの心情を絶妙に描いた脚本家・鎌田敏夫が、3人の男と女の、果てしなく揺れつづける心を綴った。
女のくせにー若くして出世した涼子には、男たちの反感が集まっている。欲望を下敷きにした憎しみ。卑屈さの混じった好意。警察という男社会で、それでも必死に突っ張っている。そんな涼子が出会った謎の女。冷たい美貌と完璧な肉体を持ち、エレガントでいて野性的。可愛い女じゃない、硝煙と香水の似合う女たちが出会い、そして事件が起きたー。強がって生きている女のための物語。
29歳の誕生日に失恋、仕事も挫折。おまけに十円禿まで。そんな時、突然現れた超三高男の強引なプロポーズ…。ふとしたことから始めた心優しき男友達と女二人の奇妙な共同生活の中で、恋愛・友情・仕事・結婚など、都会で強がりながら生きるOLがぶつかる難問をユーモラスに活写。深い共感と高視聴率で話題をさらった人気ドラマの、あのせつない感動を再び。芸術選奨文部大臣賞・向田邦子賞ダブル受賞。
突然のキスにとまどい、反発しながらも、どうしようなく惹かれていく女心。次々と降りかかる厳しい現実と過去の残像の中に、見失いそうになる「幸福」の二文字。20代最後のクリスマスを、誰と迎えることになるのか。それぞれの選択の時がついに訪れる…。二つの賞に輝く名脚本から生まれた究極のラヴ・ストーリー。テレビとはひと味違う。
もう少し早くめぐり逢っていれば-。互いにひかれあいながらも、すれ違う恋の予感。熱い抱擁のかわりに、スクリーンをみつめるだけの一夜。心を乱す『ナインハーフ』から旅立ちの『マンハッタン』まで、恋愛映画の醍醐味を全編にちりばめた、ロマンチックな大人の純愛。