著者 : 鏑木ゆみ
アパートメントの前でセーラが横暴な婚約者に別れを切りだした。とたん、激昂した彼に乱暴されそうになり、部屋へ逃げ込むと、そこにはカウチに優雅に寝そべる、見知らぬ男性ベンがいた…。ベンは同居する友人の兄で、アパートメントの持ち主だという。大富豪のベンは、婚約者から救ってくれたばかりか、なぜかその日のうちに、セーラに結婚を申し込んできた。しかも官能的に微笑みながら。逞しい肉体で彼女を抱擁して。真意のわからない、だがハンサムなベンに翻弄されて、セーラは喘ぎながら「だめ」と、彼の熱い腕を振り払った。
異国の小さな村で、ジュリアは看護師として慎ましく暮らしていた。かつての喧噪がまるで嘘のようだ。5年前、ジュリアは大病院で忙しく働きながら、恋人である優秀な外科医ネイサンとの結婚を目前にしていた。ところがジュリアの祖母が重病にかかり、彼女は悩んだ末に、さらなる飛躍を目指すネイサンの負担にならぬよう、真実を告げずに黙って彼のもとを去ったのだ。私の選択に間違いはなかったはず。強がるジュリアだったが、村で偶然彼の姿を見かけた瞬間、切ない想いがよみがえった。しかし、ネイサンはまるで人が変わったように彼女を責め…。
彼女を弄んで捨てたはずのリードが、なぜここにー?まだ16歳だったヘレンは、20も年上の男性と恋に落ち、たった一夜の過ちで妊娠した。だが、彼は忽然と姿を消し…、遊ばれたと遂に悟らざるを得ず、ヘレンは娘を独りで産んだのだ。未だ心の傷が癒えないヘレンは、一人の若い男性と知り合い、ある日、バミューダにあるという彼の実家へ招待を受ける。広大な邸宅に驚くヘレンは、金融界の大物の父親を紹介されると、声にならぬ悲鳴をあげた。それはあの、リードだった。忘れもしない。しかし、リードはヘレンを覚えていなかった。
「僕は妻に金を出すと約束した。妻を抱くのは当然のことだ」ロレインがいつまでも拒むので、傲慢な夫は腹を立てている。「結婚前からバージンじゃなかったくせに、なぜもったいぶる」彼は知らない。私の体が無垢なことも、この胸に秘めた思いも。堪えきれない涙がひと筋、ロレインの頬を伝った。病室で一人、苦しむ妹の治療費のためなら何でもする覚悟だった。けれど、大富豪の夫ハルに惹かれるとは夢にも思わなかったのだ。しかもある“秘密”を、夫に絶対に知られてはならない。自分がハルの妻ではなく、彼女の双子の妹だということを。
ギリシア富豪の屋敷でナニーとして働くケイトは、ある日、尊大な当主ダモンに驚くべき提案をもちかけられた。「ぼくと結婚してくれないか?もちろん寝室は別で」耳を疑うケイトに、彼は説明した。結婚する気はさらさらないが、母に結婚を急かされ困っている、姪のナニーであるきみが相手なら母も納得するだろう、と。折しも気の進まない結婚を父に迫られていたケイトは、1年の期限付きという条件で、彼の提案を受け入れることにする。だが挙式後、バハマへの新婚旅行を強制されてしまったケイト。まさか彼と衝動的に情熱を交わすことになるとは夢にも思わず…。