著者 : 長辻象平
怪僧隆光の権勢が強まるにつれて、厳しさを増していく生類憐みの令。度重なる発令によって、三つ姫さまの命をつなぐ新鮮な鯛の入手を危ぶんだ川田久保家の家老稲葉主膳は、御納屋奉行の鮎貝伝八郎にまたしても高難度の課題を与える。そんな中、かつて伝八郎が暮らしていた長屋の腕白“あぶ”こと文吉に犬殺しの疑いがかけられたとの知らせが舞い込んだ。文吉の身を案じた伝八郎は本所に駆けつけるが…。さまざまな難局に立ち向かう若侍の活躍を爽快に描く、好評書き下ろしシリーズ第二弾。
時は元禄四年、親の代から浪々の身の鮎貝伝八郎は、本所竪川沿いの長屋に住む貧乏暮らし。そんな伝八郎のもとに、突然初老の武家が訪ねてくる。尾張藩の家老稲葉主膳と名乗ったその男は、伝八郎を奉行職で召し抱えると言う。思いもかけない仕官話に伝八郎は甘い考えで飛びつくが、そこには予期せぬ落とし穴が…。食えない家老の無理難題に翻弄されながらも、主家を取り巻く陰謀に立ち向かう伝八郎の剣が爽快に舞う!渾身の書き下ろし時代小説の新シリーズ第一弾。
越前の甲冑師だった長曽祢興里は、齢五十を前に江戸に出て、刀鍛冶を目指した。だが自己流で鍛えた無骨な刀身は売れぬ、と刀屋は冷たい。興里の刀の真価を見抜いたのは、鬼姫の異名をとる旗本家の美貌の娘邦香だった。なんと死体を重ね、興里の刀を振り下ろしてみせた。鬼姫との出会いが興里の道を開くか。
邦香の父の試斬家鵜飼十郎右衛門、弟子の正太、刀屋の幸助らの支援で、興里は虎徹と名を変え、刀匠として名を上げていく。その虎徹を自ら吉原に招いた当代一の花魁勝山の真意とは?由井正雪の隠し資金、伊達家のお家騒動と、刀造りを究めんとする虎徹の行く手には幾多の波乱が待ち受ける!
えいえいえい。鰯あっての、元禄の世。お犬様が闊歩した華やかな時代を支えていたのは、鰯の大豊漁だった。干鰯(ほしか)問屋の用心棒・半九郎が、美貌の女主人を助けながら大活躍!注目の新・時代小説。