小説むすび | 著者 : 長野徹

著者 : 長野徹

怪物怪物

知られざるエッフェル塔建設秘話、流行り病に隠された恐るべき真実、砂漠での謎の任務に出立する若い医師……幻想と寓意とアイロニーが織り成す未邦訳短篇集第三弾 〈なんてこった! おれたちは入っちまった!……〉謎のメッセージを残し、地球の周りを回りつづける人工衛星の乗組員が見たものとは?……人類に癒しがたい懊悩をもたらした驚愕の発見を語る「一九五八年三月二十四日」、古代エジプト遺跡の発掘現場で起きた奇跡と災厄を描く「ホルム・エル=ハガルを訪れた王」、屋根裏部屋でこの世のものとは思われない、見るもおぞましい生き物に遭遇した家政婦兼家庭教師の娘が底知れぬ不安と疑念にからめとられてゆく「怪物」など、全18篇を収録。 もったいぶった男 天下無敵 エッフェル塔 テディーボーイズ 一九五八年三月二十四日 可哀そうな子! 偽りの知らせ ホルム・エル=ハガルを訪れた王 ラブレター 五人の兄弟 最後の血の一滴まで イニャッツィオ王の奇跡 挑発者 二人の正真正銘の紳士ーーそのうちのひとりは非業の死を遂げたーーへの有益な助言 密告者 夕べの小話 流行り病 怪物

現代の地獄への旅現代の地獄への旅

『タタール人の砂漠』以来、ブッツァーティ本は出れば必ず買って読む。すべて訳されて、読み尽くすその日までは。--山尾悠子 ミラノ地下鉄の工事現場で見つかった地獄への扉。地獄界の調査に訪れたジャーナリストが見たものは、一見すると現実のミラノとなんら変わらないような町だったが……。美しくサディスティックな女悪魔が案内役をつとめ、ジャーナリストでもあるブッツァーティ自身が語り手兼主人公となる「現代の地獄への旅」、神々しい静寂と詩情に満ちた夜の庭でくり広げられる生き物たちの死の狂宴「甘美な夜」、小悪魔的な若い娘への愛の虜になった中年男の哀しく恐ろしい運命を描いた「キルケー」など、日常世界の裂け目から立ち現れる幻想領域へ読者をいざなう15篇。 後期の作品には、それまでになかった新しいテーマや傾向も見出される。そのひとつが、恋愛、より正確に言えば、愛の妄執をテーマにした作品群であるが、そこには作者の実体験が色濃く反映している。(中略)恋愛体験以外にも、彼の人生にとってはかりしれないほど大きな、そしてかけがえのない存在であった母親や、あるいは人生の苦楽を共にした友人や同僚たちとの死別といった実人生に関わる要素が作品に取り上げられるようになるのも特徴である。そして、そうした傾向と並行しながら、作者自身が語り手や主人公として作中に登場したり、物語の背後に老いや死の意識が顔をのぞかせたりするようになってゆく。--「訳者あとがき」より 【収録作品】 卵 甘美な夜 目には目を 十八番ホール 自然の魔力 老人狩り キルケー 難問 公園での自殺 ヴェネツィア・ビエンナーレの夜の戦い 空き缶娘 庭の瘤 神出鬼没 二人の運転手 現代の地獄への旅

魔法にかかった男魔法にかかった男

現代イタリア文学の奇才ブッツァーティ待望の未邦訳短篇集ーー初期から中期にかけて書かれた20作品を収録。1篇をのぞく19篇が初訳! 誰からも顧みられることのない孤独な人生を送った男が亡くなったとき、町は突如として夢幻的な祝祭の場に変貌し、彼は一転して世界の主役になる「勝利」、一匹の奇妙な動物が引き起こす破滅的な事態(カタストロフィ)「あるペットの恐るべき復讐」、謎めいた男に一生を通じて追いかけられる「個人的な付き添い」、美味しそうな不思議な匂いを放つリンゴに翻弄される画家の姿を描く「屋根裏部屋」……。現実と幻想が奇妙に入り混じった物語から、寓話風の物語、あるいはアイロニーやユーモアに味付けられたお話まで、バラエティに富んだ20篇。 【収録作品】 チェーヴェレ 騎士勲章受勲者インブリアーニ氏の犯罪 変わってしまった弟 新しい警察署長 剣闘士 家の中の蛆虫 リゴレット エレブス自動車整備工場 個人的な付き添い 巨きくなるハリネズミ 魔法にかかった男 機械 ヴァチカンの烏 新しい奇妙な友人たち あるペットの恐るべき復讐 大蛇 偶像崇拝裁判 勝利 聖アントニウスの誘惑 屋根裏部屋

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