著者 : 門井慶喜
明治38年に来日し、建築家・実業家として活躍したW.M.ヴォーリズ。彼は日米開戦の前夜、日本に留まり帰化することを選んだ。そこには華族の身分を捨てて結婚してくれた妻や、彼を温かく受け入れた近江の人々への強い想いがあった。終戦を迎え、ヴォーリズは天皇制存続に関わる、ある重要な政治的局面に関わることにー。“ふたつの祖国”を持つ彼ゆえに成し得た、戦後日本のための決断とは。俊英による感動の歴史長編。
榎本釜次郎武揚。日本最大最強の軍艦「開陽」を擁して箱館戦争を起こした男。旗本出身ではあるが、海軍伝習所に学び、三年半ものオランダ留学を経験した男。科学者であり、技術者であり、万国公法に通じた法学者ー幕末から維新を駆け抜けた、「武士の鑑」か「武士の風上にも置けぬ」裏切り者か。真にあるべき「新しい日本」を唯一捕りに行った、不屈の挑戦の物語!
幕末の京都で出会った「世話のやける弟」のような男・坂本龍馬と結婚したおりょう。夫を呼び捨てにし、酒を浴びるほど飲み、勝海舟にも食ってかかる「妻らしからぬ」振る舞いに、龍馬の周囲からは離縁を迫られる始末だった。しかし寺田屋事件で龍馬の命を救ったおりょうの名はとどろき、二人は仲むつまじく薩摩から長崎へ。その旅は、ハネムーンなのか、戦場への門出なのか。いつのまにか英雄になってしまった夫に、自分は何をしてやれるだろう。どんな世話がやけるだろうー龍馬に惚れながらも自立した魂が輝く「門井版おりょう」の物語。最旬エンタテインメント歴史長編!
初代内閣総理大臣、伊藤博文。幼名、俊輔。周防国の百姓の家に生まれた彼は、武士に憧れ、無謀にも一国の宰相となることを夢見た。幕末の動乱期を持ち前の明るさと好奇心で駆け抜ける俊輔に、吉田松陰、高杉晋作、桂小五郎、坂本龍馬ら多くの志士たちは次第に魅了されていく。英国に留学し、早んに世界へ目を向けた俊輔がたどり着く、あるべき「日本」の姿とは?歴史小説の新鋭が贈る、爽やかな一代記。
物語の主人公・宇野辺叡古(うのべえーこ)は、東京帝国大学法科大学の教授である。大著『日本政治史之研究』で知られる彼は、法律・政治などの社会科学にとどまらず、語学・文学・史学など人文科学にも通じる“知の巨人”である。その知の巨人が、連続殺人事件に遭遇する。時代は明治。殺されたのは帝大の教授たち。容疑者は夏目漱石!?事件の背景には、生まれたばかりの近代国家「日本」が抱えた悩ましい政治の火種が。日本初!文系の天才博士が事件を解決。事件の真相は、まさに予測不能。ラストは鳥肌モノの衝撃。第一五三回直木賞候補作、待望の文庫化!
「北条家の旧領関東二百四十万石を差し上げよう」天正十八年、落ちゆく小田原城を眺めながら、関白・豊臣秀吉は徳川家康に囁いた。その真意は、水びたしの低湿地ばかりが広がる土地と、豊饒な現在の所領、駿河、遠江、三河、甲斐、信濃との交換であった。愚弄するかのような要求に家臣団が激怒する中、なぜか家康はその国替え要求を受け入れた…。ピンチをチャンスに変えた究極の天下人の、面目躍如の挑戦を描く快作誕生!
新米刑事の三田村豪気が配属されたのは、警視庁捜査二課美術犯罪捜査班。そこは、美術品犯罪に対応する警視庁唯一の部署。やる気と体力は人一倍だが、美術にはとんと疎い三田村は、抜群の鑑定眼をもつ美貌の上司・岸すみれの薫陶のもと、にわか仕込みの知識を駆使して、狡猾な詐欺的ビジネスを続ける美術品販売会社の犯罪を暴こうとするが…。美術ミステリーの新境地!
高名な書家・幽嶺が、山奥の庵から忽然と消えた。後援する大塔印刷では、御曹司の三郎へと捜索の命を下す。だが、工場でも病死者が相次ぐ異常事態が。これは会社の存亡の危機だ!いささか頼りない三郎が、社長秘書・南知子と、史上最速の窓際族・建彦と両方の事件を探りはじめると、一見無関係なふたつが、ある貴重な書物へとつながっていきー。文字と稀覯書をめぐるミステリ。
馬術師範として、近藤を救けた安富才助。粗暴なる英雄芹沢鴨。陸援隊に潜入した密偵村山謙吉。剣ではなく人を自在に操った土方歳三。生真面目な能吏尾形俊太郎。そして若き天才剣士沖田総司。激しい価値変転の時代、内部抗争の嵐を抱えながら、若き隊士たちは、青春の炎をいかに燃やし尽くしたのか。時に爽やかに、時に怜悧に、そして時に凄惨に描きあげた傑作!
最高学府で連続殺人!謎を解くのは天才哲学者「ウンベルト・エーコ」ならぬ天才政治学者「ウノベ・エーコ」。他を圧する「知の巨人」が開示していく事件の真相は、まさに予測不能。ラストは鳥肌モノ!!
人は己の血にどこまで縛られるのか?高名な日本画家の家系に生まれながら、ペットの肖像画家に身をやつす時島一雅は、かつてない犬種の開発中というブリーダーの男に出資を申し出る。血の呪縛に悩みながら、血の操作に手を貸す矛盾。純白の支配する邪悪な世界への憧憬。制御不能の感情が、一雅を窮地へと追い込んでゆく。
三田村豪気は、警視庁捜査二課美術犯罪捜査班に所属する新米刑事。やる気と体力は人一倍だが、美術にはとんと疎い。美貌の上司・岸すみれの薫陶のもと、にわか仕込みの知識を駆使して、違法スレスレの詐欺的ビジネスを続ける美術品販売会社の犯罪を暴こうとするが…。
盗まれた金の仏像をとり返して、駐日アメリカ大使の暗殺計画を阻止せよ、失踪した訪問販売員を捜してくれ。「たしかに、うけたまわりました」大規模ではないけれど、お客様にきわめて上質の時間を提供していると評判の「ホテルポラリス京都」。ベテランコンシェルジュの九鬼銀平が、新人フロント係の坂名麻奈を助手代わりに、持ち込まれる難題を次々に解決していく。
岡倉先生は、いはゆる筆を持たない芸術家でありましたー。近代日本美術の父・岡倉天心の直筆画が発見されたという。天心の実作はきわめて稀だが、美術探偵・神永美有は破格の値をつける。墨絵は果たして本物か?お馴染み神永美有と佐々木昭友のコンビが東西の逸品と対峙する人気シリーズ、待望の第二弾。