著者 : 間山靖子
ローラとひとつ年下の弟のクレイは14歳の時に両親を交通事故で亡くした。異父兄のベンは幼い二人にも盗みを教えた。泥棒稼業もこれが最後と、ホテル一族のサリンジャー家に住み込むローラとクレイ。ホテル王サリンジャー・オウエルは孫娘以上にローラを愛し信頼し、彼女を後継者にと遺言して急死した。いま彼女の過去が暴かれた。愛しい婚約者ポールも失ったローラの運命は…。
サリンジャー家から追放され、裁判にも敗訴したローラは、オウエルの遺志を実現させようと立ち上がった。国際的金融王のウェスとの出会いがローラに、ホテル・ウーマンを確実に約束させていく。しかし、彼女はウェスの愛情に応じない。冷酷なまでのローラの権謀術数は成功し、オウエルの夢のホテルの所有を目前に窃盗事件が彼女を襲う。そしてポールとの再会に心が震えるローラ…。
十歳の少女だった〈私〉がみつめた高校生シェリルとリックのひたむきな恋。あれから数十年、自らの結婚に苦い思いをかみしめる〈私〉がいまいちど、あの愛を甦らせる。60年代初めのニューヨーク郊外の街を背景に、うつろいゆく愛のきらめきを結晶させた現代小説の秀作。
ラルフ・ベア(36歳)は、マンハッタンを中心にビルを幾つも建ててきた。富と名声と美貌の恋人アマンダに支えられて華麗な人生を送る彼は、いま世界最高の住空間ベア・センターをニューヨークに建設しようとしている。それは、祖父からのベア家の夢である。そんな折、突然の父親の過去の告白を受け、父の友人の娘ゲイルとの2年間の結婚を懇願された。彼は術もなく承諾したが…。
ゲイルの父親は20年間ラルフの父親の罪を被り身代わりとなって服役した。離婚の際には莫大な財産がゲイルに入るとはいえ、ふたりの偽りの結婚生活は、憎しみ以外の何物でもなかった。しかし、ニューヨーク市長の陰謀に嵌められながらもベア・センター建設のために奔走するラルフの情熱と誠実さに、いつしかゲイルは彼を愛し始め、ラルフもまた彼女の中に真実の妻をみていた…。
ユダヤ系の巨大財閥クラウネンゴールド家の養女として育てられたデボラ。一族の長サミュエルは、後継者たるべき息子レスリーの経営能力を疑い、この孫娘に莫大な遺産を相続させて銀行家として育てようと決意した。しかし、サミュエルの死後、レスリーの策略によって、デボラはその権利を奪われてしまう。怒りと悲しみに包まれたデボラは復讐に燃え、英国からニューヨークへ渡った。
生き馬の目を抜く大都会ニューヨークでの苦難を経て、金の投機で巨額の利益をあげるという幸運に恵まれたデボラは、保険会社を買収し、国際金融界への足がかりをつかんだ。アメリカ金融界の大物たちの策謀、ふたりの男との灼熱の恋ー。波乱は絶え間なくデボラを揺り動かすが、養父レスリーへの復讐は着実に成就へと向かっていた。そんな彼女に、ある日驚くべき事実が知らされる。