著者 : 降田天
「神」とまで呼ばれた天才少女はなぜ、自身の手がける舞台の上演中に死んだのか? 演劇女子学校に入学した結城さやかは、劇作家を目指している。同学年には同じく劇作家志望で、学内一の天才と謳われる設楽了がいた。了は俳優の能力を引き出し、観客を魅了する舞台を作り上げる卓越した才能をもっていた。了の手がける舞台に上がりたい、了に認められたいと俳優志望の生徒達はこぞって渇望する。次第に周囲から「神」とまで崇められた了は、横暴な振る舞いをしても良い舞台を作るためだと許された。しかしそんな了は突然、自分の手がける演劇の上演中に舞台から転落死する。不幸な事故だと片づけられたが、翌年の春に入学してきた新入生・藤代貴水は全校生徒の前で高らかに宣言した。「わたしは、設楽了の死の真相を調べに来ました」--さやかは貴水に巻き込まれる形で、了と生前の関わりのあった生徒を調べることになり・・・・・・演劇を愛する生徒達が内に潜んだ「殺人者」を暴き出す、眩く鮮烈な学園ミステリー!
突然、男は刃物を振り回し、妊婦を切りつけ、助けに入った老人を刺殺した。年の瀬に起きた“地下鉄S線内無差別殺傷事件”。時は過ぎ、それぞれに日常が戻ってくるはずだった。『このミス』大賞&日本推理作家協会賞受賞作家が贈る、事件が終わって始まった、少し不思議でかなり切ない“その後”。会社員の和宏は、一目散に逃げ出したことをSNSで非難されて以来、日々正体不明の音に悩まされ始め…(「音」)。切りつけられた妊婦の千穂は、幸いにも軽傷で済んだが、急に「霊が見える」と言い出して…(「水の香」)。事件発生直前の行動を後悔する女子高生・響が、新たな一歩を踏み出すために決心したこととは(「扉」)。人生に諦念を抱える老人が、暴れる犯人から妊婦を守ろうとした本当の理由とは(「壁の男」)。など、全6編。
あなたの自死を見届ける“よりそいプラン”。あなたの自死を物理的にお手伝いする“もろともプラン”。お申し込みの際にいずれかをお選びください。QRコードにスマホをかざすとたどり着く“さんず”のホームページ。死にたいと願う人々が“さんず”の導きで、どのような結末にいきつくのか。生きづらさを抱えた人々の人生が交錯する5篇の連作短編集。
別々の人生を歩み、10年ぶりに再会したアサヒとユウヒの兄弟。ふたりはある目的のため、狂言誘拐を実行に移す。その犯罪は成功したかに見えたが、思いもよらない結末を迎えることになった。それから8年後、神倉駅前交番の警察官・狩野雷太は、マンションの一室で衰弱した男児を保護する。男児の傍らには、餓死した妹の亡骸があった。神奈川県警捜査一課の烏丸靖子は兄妹の母親を取り調べるが、彼女がかつて誘拐事件に巻き込まれていたことがわかり、状況は一変する。悲劇的な事件の裏に横たわる、さらなる衝撃とはー。二転三転の真相、驚愕必至のミステリ!日本推理作家協会賞受賞シリーズ、初の長編。
あなたは5回、必ずだまされる。「落としの狩野」と呼ばれた元刑事の狩野雷太。過去を抱えて生きる彼と対峙するのは、一筋縄ではいかない5人の容疑者で…。第71回日本推理作家協会賞短編部門受賞作。
雑誌編集者の楓は、娘の衣装を自作する人気ブロガーに批判的なコメントをしたことから、自身の過去のブログを匿名掲示板で晒され、陰湿なストーカー被害に遭うようになった。一方、寝たきりの妻を抱える官僚の棚島は、家庭や職場でのストレスを解消するため、ブログで執拗に絡んできた女を破滅に追い込もうとするー。ネット上の二人が現実で交叉したとき、驚天動地のどんでん返しが炸裂する。『このミス』大賞シリーズ。