小説むすび | 著者 : 陳耀昌

著者 : 陳耀昌

フォルモサを照らす月 山脈を越えた帝国フォルモサを照らす月 山脈を越えた帝国

出版社

東方書店

発売日

2025年10月20日 発売

ジャンル

19世紀後半の台湾を舞台に、原住民族と外部勢力(主に清軍)との衝突を描く歴史小説「花シリーズ三部作」の最終第三作。「奇密花 奇密社の故事」「大庄阿桃 大庄村の阿桃の物語」の短編2篇と「戯曲 苦楝花(Bangas) 苦楝の花」を収録。 「奇密花」:花蓮県南部の瑞穂を訪れた小君はアミ族の村・奇密社の虐殺現場にタイムスリップする。 「戯曲 苦楝花(Bangas)」:サキザヤ族の大部落、タクブワン部落の頭目・Pazikとその妻・カナサウの受難を戯曲形式で描く。 「大庄阿桃」:台東市に駐屯する清軍への包囲攻撃(大庄事件)に参加した夫を亡くしたタイボアン族・阿桃の物語。 原題『苦楝花』(INK、2019年)。「花シリーズ三部作」第一作『フォルモサに咲く花』(原題『傀儡花』)、第二作『フォルモサの涙』(原題『獅頭花』)。 著者のことば サキザヤ族の物語は実際には昨年のうちに書き上げていた。しかし、自分で納得できないと感じた。なぜならサキザヤ族の故事は本来とても悲壮であり神聖なものなのでそこに手を加えることができないからだ。手を加えるべきではないと思うものの、そのままでは小説として成立しづらい。そこで私は身の程をわきまえず、シェークスピアばりの劇本形式に書き換えるという、新たな手法への挑戦を試みた(「戯曲 苦楝花」)。「大港口事件」「大庄事件」はそれぞれ「奇密花」「大庄阿桃」として短編小説の形式で描いた。私は司馬遼太郎の歴史短編小説『幕末』と藤沢周平の『隠し剣孤影抄』『たそがれ清兵衛』に感服しており、これらは私が作家としての殻を破るために「西施の顰に倣う」つもりで挑んだ作品である。(「後記」より) 本書を読むために 奇密花 奇密社の故事 戯曲 苦楝花(Bangas) 苦楝の花 大庄阿桃 大庄村の阿桃の物語 後記 訳者あとがき

フォルモサの涙 獅頭社戦役フォルモサの涙 獅頭社戦役

出版社

東方書店

発売日

2023年8月7日 発売

ジャンル

1874年、日本軍が台湾に出兵した(牡丹社事件)。清朝政府は台湾防衛のため軍隊を派遣するが、彼らは日本軍ではなく、原住民と闘うことになったーー。「開山撫番」政策下で起こった最初の原住民と漢族の戦争「獅頭社戦役」を描く歴史小説。原題『獅頭花』(INK、2017年)。本書は『フォルモサに咲く花』(原題『傀儡花』)に続く「開山撫番」三部作(あるいは「花シリーズ三部作」)の第二部にあたる。 本書のテーマのひとつは、牡丹社事件による清朝政府の危機感から生まれた「開山撫番」に誘発されたこの最初の原漢(原住民と漢民族)戦争、獅頭社戦役が、近代台湾の歴史を大きく変えたことを描く点にあり、本書によってはじめて取り上げられた。その意義は極めて大きく、こうしてはじまった「開山撫番(剿番)」は、その後清末から、さらに日清戦争後新しく統治者となった日本の「理蕃政策」に引き継がれていったのである。(「【解説】沈葆テイの「開山撫番」と最初の原漢戦争ー獅頭社戦役ー」より) 日本の読者の皆さまへ、『フォルモサの涙 獅頭社戦役』作者のことばー「開山撫番」から「和解共生」へー 本書を読むために 楔子 第一部 日本軍 刀を牡丹に揮い、風港を望む 第二部 大亀文 世と争いなく、かえって擾に見(まみ)える 第三部 清国兵 雄師〔精兵〕、海を渡り、倭軍を拒む 第四部 莿桐脚 争議の是非、総じて評し難し 第五部 沈幼青〔沈葆テイ〕 開山撫番、変音を惜しむ 第六部 王玉山〔王開俊〕 民を護るといえど、かえって仁を傷(やぶ)る 第七部 アラパイ 英雄、姫と別れ、内文を護る 第八部 上瑯嶠 原漢、今日仇恩〔恩讐〕泯(つ)きる 第九部 獅頭花 三千里の外で、かえって君に逢う 第十部 胡鉄花 涙を鳳山の昭忠祠にそそぐ 注 附録 淮軍と大亀文からの呼びかけと探究ーー私が『獅頭花』を書いた心の歴程 神霊任務の一 「鳳山武洛塘山淮軍昭忠祠」の探訪と再現 神霊任務の二 枋寮「白軍営」のほかにも淮軍の墓地がある? 「台湾の淮軍」の歴史と遺跡を尋ねて 台湾淮軍史(一八七四ー一八七五) 【解説】 沈葆テイの「開山撫番」と最初の原漢戦争ー獅頭社戦役ー(下村作次郎)

フォルモサに吹く風 オランダ人、シラヤ人と鄭成功の物語フォルモサに吹く風 オランダ人、シラヤ人と鄭成功の物語

出版社

東方書店

発売日

2022年9月22日 発売

ジャンル

17世紀、オランダ統治下の台湾。ハンブルク牧師が原住民族シラヤの集落に家族を連れて赴任した。娘のマリアは父が建てた学校の仕事を手伝いながら、年の近いウーマと友情を育むが、やがて大陸出身の漢人やオランダ東インド会社幹部などとの交流を重ねるなかで、政策のひずみが年々増しつつあることを知る。その頃台湾海峡の対岸では、清軍との戦いで劣勢を強いられている鄭成功が、台湾に活路を見出そうとしていた。 オランダ人から漢民族へと為政者が変わる激動の時代を、オランダ人マリア、原住民族シラヤの女性ウーマ、鄭成功麾下の漢人・陳澤という三者の視点から描き出す歴史小説。「あとがき」では鄭成功の死因について、医師の視点から興味深い考察がなされている。 序 日本の読者へ 凡例/登場人物紹介 第一部 一六四六年 生 第二部 一六四九〜五一年 望 第三部 一六五二年 絆 第四部 一六五三年〜五五年 疫 第五部 一六五六年〜六〇年 祈 第六部 一六六一年 交戦 第七部 一六六一年 包囲 第八部 一六六一年 決別 第九部 一六六二年 運命 注 エピローグ あとがきーー私はなぜ『フォルモサに吹く風』を書いたかおよび医師の視点から論じる鄭成功の精神分析と死因について 訳者解説(大洞敦史)

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