著者 : 陳耀昌
一八七四年、日本軍が台湾に出兵した(牡丹社事件)。清朝政府は台湾防衛のため精鋭部隊「淮軍」を派遣する。だが、彼らは日本軍ではなく、原住民と闘うことになったー。「開山撫番」政策下で起こった最初の原住民と漢族の戦争「獅頭社戦役」を描く歴史小説。
17世紀、オランダ統治下の台湾。ハンブルク牧師が原住民族シラヤの集落に家族を連れて赴任した。娘のマリアは父が建てた学校の仕事を手伝いながら、年の近いウーマと友情を育むが、やがて大陸出身の漢人やオランダ東インド会社幹部などとの交流を重ねるなかで、政策のひずみが年々増しつつあることを知る。その頃台湾海峡の対岸では、清軍との戦いで劣勢を強いられている鄭成功が、台湾に活路を見出そうとしていた。 オランダ人から漢民族へと為政者が変わる激動の時代を、オランダ人マリア、原住民族シラヤの女性ウーマ、鄭成功麾下の漢人・陳澤という三者の視点から描き出す歴史小説。「あとがき」では鄭成功の死因について、医師の視点から興味深い考察がなされている。 序 日本の読者へ 凡例/登場人物紹介 第一部 一六四六年 生 第二部 一六四九〜五一年 望 第三部 一六五二年 絆 第四部 一六五三年〜五五年 疫 第五部 一六五六年〜六〇年 祈 第六部 一六六一年 交戦 第七部 一六六一年 包囲 第八部 一六六一年 決別 第九部 一六六二年 運命 注 エピローグ あとがきーー私はなぜ『フォルモサに吹く風』を書いたかおよび医師の視点から論じる鄭成功の精神分析と死因について 訳者解説(大洞敦史)
1867年、台湾南端の沖合でアメリカ船ローバー号が座礁し、上陸した船長以下13名が原住民族によって殺害された。本書はこの「ローバー号事件」の顚末を、台湾原住民族「生番」、アメリカ人やイギリス人などの「異人」、清朝の役人、中国からの移民である「福佬人」「客家」、福佬人と原住民族の混血「土生仔」など、さまざまな視点から、また、移民の歴史、台湾の風土なども盛り込みつつ描いたものである。 序 日本の読者に 本書を読むために 第一部 縁起 第二部 ローバー号 第三部 統領埔 第四部 チュラソ 第五部 瑯嶠 第六部 鳳山旧城 第七部 出兵 第八部 傀儡山 第九部 観音亭 第十部 エピローグ 注 [付録] 楔子 後記一 私はなぜ『傀儡花』を書いたか 後記二 小説・史実と考証 訳者あとがきーー解説にかえて(下村作次郎)