著者 : 霜島ケイ
「これは、わたしが小学校の、高学年だった頃の話です」--少女が雑誌に投稿した、ある家族を襲った不気味な怪異の記録。悪化していく一方の父の怪我、何者かに乗っ取られ不気味な笑い声をあげる妹。そして親類たちの死。霊能者“マツシタサヤ”によって怪異は鎮められ、記録は締めくくられる。だが、この投稿を皮切りに、マツシタサヤを巡る不可解な記録が世に溢れはじめ……(澤村伊智「サヤさん」)。 同窓会をきっかけに、故郷の実家に泊まることになった「私」。すでに実家には誰も住んでおらず、何も無い家に過ぎないはずなのに、「私」以外の何者かの気配が段々と濃くなっていく。鳥籠の中で邪悪な笑みをたたえた阿弥陀如来像、座敷の蒲団の中で蠢くモノ、そしてーー。忌まわしい記憶とともに、何かが迫ってくる(三津田信三「何も無い家」)。 ホラー界の巨星、三津田信三が、屈指のホラー小説の名手六人それぞれに相応しいテーマで「自分が最も怖いと思う怪談を」と依頼して編まれた戦慄のアンソロジー。 澤村伊智「サヤさん」 加門七海「貝田川」 名梁和泉「燃頭のいた町」 菊地秀行「旅の武士」 霜島ケイ「魔々」 福澤徹三「会社奇譚」 三津田信三「何も無い家」
古都・鎌倉で起こる連続殺人事件。犯人は、般若の面をつけたセーラー服姿の少女だという。千年もの時を生き抜いた現代の鬼、戸倉聖と志島弓生が想起したのは、二百年前の哀しい出来事ー。二人に、かつて何があったのか…。今度こそ、と意気ごむ鬼たちだったが、二人には、別の使命もあった。鬼たちの活躍を描く傑作短編「蠱持ち」を同時収録。
時代は平安。愛し抜いた女を喰らい、鬼となった大江山の酒呑童子は、自らが年をとらず、若いままでいることに苦しんでいた。そんな時、逢魔が辻で晴明と出会ったのだ。不老不死となった鬼が、いかにして生きる術を得たか。安倍晴明との運命的な出会いを描く「鳴弦の月」と、同じく平安時代末期に材をとった「影喰らい」、明治時代の鬼二人を描いた「幻戯師」の三本を収録。新編集による封殺鬼選集第二弾。
“鬼の血族”の家系に生まれ、身の内に、火鬼、水鬼、風鬼、隠形鬼の“四天鬼”を抱え、その処し方がわからず、悶々としていた成樹の前に現れたのは二人の鬼ー。遠い平安時代に人を喰らい、不老不死の生命を得、千数百年の時を経て、現代に生きる二人の鬼こそ、成樹に声をかけてきた戸倉聖と志島弓生だった。“鬼”の系譜をひく成樹をめぐって、今、闇の戦いが始まる。
四百年の時を越えて甦った伝説の黒魔道術士オーガスタ・ディーがついに動きだした。ザーン皇室の皇帝が急死し、オーガスタ・ディーの魂を宿すカミル皇子が次の皇帝に即位する、というのである。時を同じくして、シェスタの盟友アムスィル率いる小国エリアルが、突如近隣諸国に攻め入り、領土の拡大を始めた。シェスタ自身、商業都市ヴァリの三分の一が失われるほどの、炎魔バルログの激しい襲撃を受ける。その赤い瞳に予言された乱を呼ぶ“蛍星”の運命が今、成就しようとしていた。
リィアン皇室を滅ぼしたザーン皇室の背後には、四百年の時を越えて甦った伝説の黒魔道術士オーガスタ・ディーと彼が操る魔族の存在があった。乱を呼ぶ“蛍星”の運命を知りながら、シェスタは彼らの野望との対決を決意する。そんなとき、奴隷商人に追われる少女アージュラを助け、彼女の話から、砂の荒野「大砂地」の奥に失われた「土の神霊」に仕えた聖者の子孫が暮らしていることを知る。早速、リヤド達とともに「大砂地」へと向かうシェスタだったが、彼女を狙うオーガスタの魔手が…。
大伴糠手率いる大和朝廷軍の侵攻により、須羽の地を追われた出雲神族の血を引く少女・クマリは、国津神・ミシャグジのお告げを頼りに、須羽の神宮の息子アタテヒコ、土グモの夏羽たちと共に筑紫へと旅立った。翌年の春、吉備に辿り着いたクマリたちは、そこで大王の直轄領である屯倉を襲う温羅という不思議な男と出会うのだった。朝廷に屈したはずのこの地で吉備の王になるとうそぶく温羅の真意は何か?一方夏羽は、出雲の神宝を継ぐクマリの最終目的地である吉備の隣国、出雲の情勢を探るため、一人国境を越えるのだが-。圧倒的な大和朝廷の勢力の前に滅びゆく国津神。はたした出雲にクマリの安住の地はあるのか?新鋭が書き下ろす大型歴史ファンタジーロマン第二弾。
妖怪の生まれ変わりである生徒ばかりを集めた、私立神堂学園。闇使いにして唯一フツーの高校生神無木良太は、あいもかわらず能天気な彼らに振り回されっぱなしである。新宿で、若い女性ばかりが惨殺されるという事件が起こった。犯人は大江山の酒呑童子。1000年の時を経て、人間への凄まじい恨みと復讐心に燃えて甦ったこの鬼は、ついに学園都市に姿をあらわした。時同じくして、学園の生徒たちに異変が起こり始める。次々に姿を消した彼らを操る、少年の目的は何か。良太の下を訪れた陰陽師・水柿源佐は、都市周辺の結界が緩み始めたこと、狂った妖怪たちを封印しろという『上』からの命令を、彼に告げるのだが…。妖怪アクション人気シリーズ第2弾。
6世紀後半の倭国。出雲王朝の血を引く継体大王が、謀殺されてから約四十年の後。大和の豪族三輪氏に、その血を引く媛が誕生した。久麻里媛と名付けられたその子は、朝廷の迫害を恐れた父、稚見磨呂により、三輪氏に仕えるサンカの手に密かに預けられた。そして9年の月日が過ぎ、12歳となった少女クマリは、大和を遠く離れた須羽の地で、自らの運命も知らず、サンカの長、白火の娘としてすくすくと成長していた。朝廷の奉じる天津神と国津神の対立、そして新たな神「仏」を巡る蘇我氏と物部氏との争い。騒然とした時代を背景に、出雲の神宝、龍鱗の勾玉を継ぐべく運命の少女クマリは、大きな歴史のうねりに巻き込まれていく-。新鋭が活写する大型歴史ファンタジーロマン。
花の高校一年生、神無木良太が入学した私立神堂学園は、“日本の頭脳中枢”といわれるS学園都市にある。創設者は良太のおじいちゃんで、理事長は伯父さんという、小さな学校だ。ところがそこの学校ときたら、教室の扉を開ければカッパが立ってるし、クラスメートの美少女は二階の窓からヘーキで出入りするし、一体こいつらなんなんだ!?実は彼らの正体は、あるプロジェクトのために、全国から密かに集められた妖怪たちだった…。ハイテク都市を舞台にモンスターたちが駆け巡る、新鋭・霜島ケイのスーパーアクション。