著者 : 青波杏
神戸のひとり出版社・EYEDEARがお届けする、文芸ムック第三号! 『嘘』をテーマに、豪華執筆陣が短篇・エッセイを書き下ろし。また、同テーマにて開催し、340作品が集まった『第三回あたらよ文学賞』の受賞8作品を一挙掲載。 徹頭徹尾『嘘』に満ち溢れた、新進気鋭の文芸誌! いつまでも明けることのない素晴らしい夜ーーあたらよを、極上の嘘と共にお過ごしください。 参加作家/作品 【特集】 『うそのつきかた』 小谷杏子/筑前助広/馳月基矢/涼海風羽/百百百百ほか40名以上 【短篇】 青木杏樹『モデルケース 副検事・諭吉龍一郎の黎明』 神木『カタリ』 古池ねじ『かのんちゃんを救いたい』 榮織タスク『思索の涯て』 百百百百『白川』 筑前助広『騙り剣 車螯』 虹乃ノラン『うめにうぐいす』 望月くらげ『AIのいた教室』 夢見里龍『永遠のファタ・モルガーナに捧げる』 【エッセイ】 青波杏『生活と物語、あるいはヤンさんのこと』 伊藤亜和『チクチクする』 海猫沢めろん『Tくんのこと』 寒竹泉美『楽しい噓』 清繭子『きっとそうだね』 けんご『「嘘」という名の衣装をまとって』 市街地ギャオ『ぼくらの境界線』 【コラム】 諸星めぐる『なぜ閻魔様は嘘つきの舌を抜いて回らなければいけないのか』 【第三回 あたらよ文学賞・受賞者】 小山征二郎『犬は吠えているか』 千羽稲穂『秘密主義者たち』 三ツ星みーこ『インディペンデンスデイ』 ちくわノート『ゾウは嘘つき』 橋爪志保『夜を咲く花』 聖『白蛇』 曾根崎十三『真菜ちゃんはかわいそうでかわいい』 梧桐彰『雷電爲右エ門vsフランケンシュタインの怪物』 【座談会】 『第三回 あたらよ文学賞最終選考会』
心臓を引きずり回されながら、少女らの旅を見届けた今、ただ茫然と満ち足りている。 ーー村山由佳(作家) 秘密と嘘と危険のなかで育まれる、友情と愛の確かさに心を掴まれました。 ーー瀧井朝世(ライター) 日本が支配するかの地で出会った二人。 何もかも違う。でもあなたを知りたい。 1936年、日本植民地下の朝鮮。 日本育ちの翠、朝鮮育ちのハナ。 時代にもがき、駆け抜けていった少女たちーー。 「ひとは、民族や、仕事や、性別に関係なく、愛に生きることができる? ほんとうに自由になれるものですか?」(本文より) 戦前の東京、下町の娼婦街で育った翠は、 縁あってかりそめの「お嬢さま」として、日本統治下の京城で念願の女学生になった。 日本人家庭の下宿には、同い年の子守の朝鮮人少女(ハナ)がいたが、 言葉も通じず全然打ちとけない。 しかし、翠は少女がこっそり日本語の本を読んでいる姿を目撃するーー。 不自由に囲まれた切なくも美しい青春物語。
【第35回小説すばる新人賞受賞後第一作】 デビュー作『楊花の歌』 Apple Books 2023年ベストデビュー作 (歴史フィクション) 第12回歴史時代作家協会賞新人賞部門候補 第3回本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞候補 【東山彰良さん推薦!】 本当の自分への逃走はこんなにも輝かしい 25歳のサチコは、不条理な派遣労働から逃れるように亜熱帯の台湾に渡り、偶然再会した在日コリアンのジュリと、台北の迪化街で暮らしていた。 誕生日の晩、サチコが古物商の革のトランクのなかに日本統治時代の台湾を生きた女学生の日記をみつけたことから、ふたりの生活は一変する。 普段は引きこもっていたジュリだったが、その日記を書いた女学生の行方調査に夢中になり、やがて大きな謎につきあたった。 それは、70年以上前、深山に囲まれた日月潭という湖で起こった、ある少女の失踪事件だった。 遠い昔に姿を消した少女を探す旅は、いつしかふたりのアイデンティティを求める旅につながってゆくーー。 【著者略歴】 青波杏 (あおなみ・あん) 1976年、東京都国立市出身。近代の遊廓の女性たちによる労働問題を専門とする女性史研究者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。22年『楊花の歌』で第35回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
1941年、日本占領下の福建省廈門。 大阪松島遊廓から逃走して、上海、広州、香港と渡り歩き、廈門に辿り着いたリリーは、抗日活動家の楊に従い、カフェーで女給として働きながら諜報活動をしていた。あるとき、楊から日本軍諜報員の暗殺を指示され、その実行者として、琥珀色の瞳と蛇の刺青が印象的なヤンファという女性を紹介される。 中秋節の晩をきっかけに強くヤンファに惹かれていくリリーにとって、彼女と過ごす時間だけが生への実感を持てるひとときになっていた。 しかし、楊から秘密裏に出されていた指令は、暗殺に失敗した場合はヤンファを殺せというものだった……。 戦時下の中国・廈門を舞台に流転する女性たちの愛と葛藤を描く、圧巻の熱量を放つ第35回小説すばる新人賞受賞作。 【著者略歴】 青波 杏(あおなみ・あん) 1976年、東京都国立市出身。近代の遊廓の女性たちによる労働問題を専門とする女性史研究者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。