著者 : 飛田茂雄
戦時中、日本精神を鼓舞する作風で名をなした画家の小野。多くの弟子に囲まれ、大いに尊敬を集める地位にあったが、終戦を迎えたとたん周囲の目は冷たくなった。弟子や義理の息子からはそしりを受け、末娘の縁談は進まない。小野は引退し、屋敷に籠りがちに。自分の画業のせいなのか…。老画家は過去を回想しながら、自らが貫いてきた信念と新しい価値観のはざまに揺れるー著者序文を収録した新版。
第二次世界大戦末期。中部イタリアのピアノーサ島にあるアメリカ空軍基地に所属するヨッサリアン大尉の願いはただ一つ、生きのびることだ。仮病を使って入院したり、狂気を装って戦闘任務の遂行不能を訴えたり、なんとかして出撃を免れようとする。しかしそのたびに巧妙な仕組みをもつ恐るべき軍規、キャッチ=22に阻まれるのだった。強烈なブラック・ユーモアで、戦争の狂気や現代社会の不条理を鋭く風刺する傑作小説。
昇進のために部下の出撃回数を増やす大佐。兵士を救わない軍医。身内にも敵がいるなか、仲間はあっけなく戦闘で死んでいく。ヨッサリアン大尉はあらゆる手段を用いて自分のいのちを守ろうとするも、キャッチ=22の壁が立ちはだかる。誰もが正体をつかめないのに、誰をも支配する軍規は、逃れられない悪夢を生み出し続ける。アメリカ文学に新たな地平を切り開き、今なお熱狂的な支持を得る戦争文学の名著。
両親の離婚、新天地を求める旅の日々、継父の容赦ない仕打ち-。逆境にあっても活力に満ち、逞しく成長していく〈現代のトム・ソーヤ〉を生き生きと描く。現代アメリカ文学界を代表する実力派作家の自伝的長篇小説。
現代アメリカ文学随一の実力派作家が描く「ヴェトナム以後」。「アメリカの夢」が崩れ、道を見失いかけた時代。ひたむきで、不器用にしか生きられない心優しい人びとの、孤独と不安、ひそかな願いを、深い共感をこめて描く10篇。
家庭さえも仮の宿にすぎず、もはや安らぎの場所はどこにもない。きびしい現実のなかで幸福を求める、アメリカの女たちのさまざまな心を鮮やかに描く、短編小説20編。