著者 : 高橋美友紀
コリーヌは裕福な会社経営者のアレックスと結婚して12年になる。だが、今や億万長者となったというのに、夫は仕事一筋で家庭を顧みようとしない。ふたりの心はすれ違い、このところは別居生活が続いている。明日のクリスマスイブさえ一緒に過ごせないと言ってきたら、彼女は離婚する覚悟だったが…。(『億万長者とクリスマス』)。誤って自分に届けられたクリスマスカードを手に、オリビアは真上に住むイーサンを訪ねた。女性関係の派手なプレイボーイの彼とはあまり交流がない。そこに突然、若い女性が現れ、腕に抱いた赤ん坊を彼に渡して走り去った。プレイボーイには当然の報いと愉快に思うオリビアだったが、その赤ん坊に隠された秘密を知って…(『天使がくれたクリスマス』)。病院で栄養士の助手として働くシアドシアは、愛猫と屋根裏部屋で暮らしている。クリスマスも、唯一の身寄りである大おばたちと質素に祝うしかない。ある日、憂鬱な雑用をきっかけにハンサムなベンディンク教授と知り合う。彼は病院の理事で雲の上の人だ。かなわぬ恋と知りつつ、いつしか彼女は教授と過ごすイブを夢見ていた。(『聖夜の訪問者』)
ジョアンナは赤ん坊のとき女学校の玄関先に捨てられ、そこで育った。だが19歳になったからには、女学校を出ていき、家庭教師として一人で生きていかなければならないのだ。親友や先生たちと別れるのは悲しくて不安だけれど、派遣先の准男爵家の屋敷で家族の雰囲気を初めて味わえるかもしれない。ところが、待ち受けていたのは一家の娘たちに侮辱される日々。ある日、令嬢の付き添いとして舞踏会に同行したとき、彼女は威風堂々とした貴公子、ルーク・プレストンに窮地を救われる。身分の低い自分にも優しく接してくれるルークに恋心を抱いたものの、伯爵家の跡取りをもうけるための花嫁を探す彼は雲の上の人で…。
父の住む異国で開かれたパーティで、ニッキーは思わぬ人物と再会した。女性たちの目を引きつけてやまないその男性とは、かつて彼女が熱い恋に落ちて結婚したものの、4年前に別れたブレイク。仕事で世界中を飛びまわる彼との生活はすれ違いの連続で、愛されていないと感じた彼女は悲痛な思いで離婚を申し出た。心の中では、“お願いだから、止めて”と叫びながら。しかし必死の祈りもむなしく、彼はあっさりと承諾したのだった。とうに葬ったはずの悲しみに襲われ、その夜、ニッキーは枕を濡らした。だが衝撃はそれにとどまらず、翌日、何者かに誘拐された彼女は、背後から囁かれる声に凍りついたーそれは、冷たい元夫の声だった。
ジェシーは数年来の恋人だった大富豪ネイトの屋敷を訪れたー妊娠したことを知らせるために。ネイトとは出会ってすぐに惹かれ合い、情熱的な関係を続けてきたが、気まぐれな彼はふたりの仲が進展しそうになるたびにジェシーを遠ざけた。彼女がどれだけ傷つくかなど、まったくおかまいなしに。先日、また距離を置こうと告げられ、ジェシーの心は限界を迎えた。ところが、別れを決意した直後に身ごもっているとわかったのだ!彼はわたしを愛していないのだから、結婚はありえない。これを最後に姿を消し、ひとりでこの子を産み育てよう。しかし、ネイトは妊娠のことを聞くとすぐに結婚を迫ってきて…。
ある日、ロザラム公爵グリフィンは馬車で領地へ帰る道中、突然飛び出してきたネグリジェ姿の娘をはねてしまった。泥だらけで地面に倒れた彼女は意識を失っていたため、やむなく公爵邸に連れ帰って介抱することにする。一方、眠りから覚めた娘はいっさいの記憶がないことに戸惑った。このたくましくて美しい男性は誰…いいえ、それより私は誰?「君の名は?」そう尋ねられて答えに窮していると、公爵と名乗る彼に、美しき女性を意味する“ベラ”と名づけられた。思わず胸を高鳴らせるベラだったが、鏡を見てすぐに自戒したーこんなみすぼらしい私を、公爵様が本気で美しいと思うはずがないわ!
『奔放な公爵の改心』-巨万の富を誇るルーファスは数週間前に公爵の称号を受け継いだばかり。領地の管理人が夜逃げしたという知らせを受けて現地に向かったところ、森の池のほとりで若く美しい娘と出会い、思わずキスしてしまう。彼女が教区牧師の品行方正な妹アンナだとは知らずに。『大富豪の逃げた花嫁』-やり手実業家のジャックは、父の会社との合併目的で私に求婚したんだわ!花婿の不実を知ったメロディは式の直前に教会から逃げだし、静かなリゾートホテルにやってきた。心の傷を癒やそうと思ったのもつかの間、追いかけてきたジャックに妊娠を悟られ…。『赤ちゃんがかけた魔法』-シングルマザーのマリッサは育児講座でアレクと出会った。妻を出産時に亡くした彼は1歳の息子を一人で育てているが、仕事との両立は難しいという。アレクに育児の腕を見こまれ、マリッサは彼の家に住みこむことになったー恋愛関係は絶対になしという約束で。
シーリアは元恋人サリムが住む砂漠の国へと赴いた。まさか彼から仕事を依頼されるなんて、夢にも思わなかった。サリムと出会ったのは、ともにアメリカの大学にいたころ。やがて愛し合い、身も心も捧げたシーリアに、彼は無情なほど一方的に別れを告げ、国へ帰っていったのだ。その後、4年前に偶然ビジネスの場で顔を合わせ、再燃した情熱に身を委ねたが、またもやあっさり捨てられた。それでもシーリアがこの地を訪れたのには、ある理由があった。ずっと言えずにいた秘密を、サリムに明かさなくてはいけない。再会した一夜に身ごもり、密かに子供を産んでいたことを。
「僕と結婚してほしいんだ」逞しくセクシーなボス、リアムの突然の言葉に、フランチェスカは困惑した。いったいどういうこと?初めて出会ったときから、リアムに惹かれていた。だが彼はプレイボーイで、結婚には向かない男性だと感じていたのだ。そのリアムが会社の大株主である大叔母に、早く身を固めなければ会社を任せられないと結婚を急かされ、思いついたのが偽装結婚なのだという。悩んだすえ、フランチェスカはプロポーズを承諾し、幸せな婚約者を演じることに努める。二人の関係に愛は必要ないのに、リアムへの愛は増していくのだった。報われない想いを胸に、フランチェスカは偽りの結婚式を迎えるが…。
カジノ王の億万長者の夫コンラッドと別居して3年。ジェインは夫を忘れたくて、悩んだすえ指輪をルーレットに賭けた。プロポーズされたときは幸せの絶頂にいたのに、結婚すると夫は、たびたび理由も告げず長期間家を空けた。私は愛されていないー残酷な事実に気づいて家を出たあの日。すべて忘れてしまえたら…。ルーレットが回り出し、息を詰めたそのときだった。コンラッド!ふらりと現れた夫の姿を見て、体がたちまち熱く反応したことにジェインは愕然とした。もううんざり。気分次第でふいに帰宅する暴君に求められるまま、ベッドの相手をするだけの妻なんて。そんな彼女の思いを見透かしたかのように、コンラッドはあざけった。「残りの人生を、僕とベッドを分かち合わずに過ごす覚悟があるのか?」