著者 : 高橋美友紀
悪い伯爵のままでいて。 叶わぬ恋に落ちてしまうから。 「君はそうとう変わった小娘だ。自覚はあるのかい?」 伯爵に見つめられ、オリビアは逃げ出したい衝動を懸命にこらえた。 物憂げな黒い瞳と漆黒の髪。危険な魅力にあふれた強烈な存在感。 彼がシンフル・シンクレアーー罪深きシンクレア伯爵と呼ばれるのは、 名字の語呂合わせと黒い噂のせいだけではないらしい。 オリビアは勇気をかき集め、ある私的な調査に行きづまったこと、 その調査で先代伯爵の汚名を晴らせる可能性があることを説明した。 一笑に付されながらも必死に協力を仰ぐオリビアだったが、 ふいに伯爵は身をかがめ、彼女の柔らかな唇に指をすべらせた。 「帰ってくれ。夜の楽しみを台無しにした償いをさせたくなる前に」 おびえて逃げるように帰ったオリビアに、後日伯爵は協力を申し出ます。ともに謎を追ううちに冷酷非情なはずの彼の優しさに触れ、心ならずも強く惹かれていくオリビアでしたが……。人気作家L・テンプルの真骨頂、愛と癒やしのノンストップ・リージェンシー!
貧しい家に生まれ、身持ちの悪い母と姉を見て育ったアイリーン。彼女はただ一つ、自分に誓っていることがあったー愛する人とめぐり逢い結婚するまで、純潔を守り通すこと。だが親友の結婚式で彼を見たとき、一瞬その決意が揺らいだ。プレイボーイとして知られ、異国の王族の血を引くシャリフが、あまりに美しく、あまりにセクシーで、あまりに尊大だったから。彼は無垢なアイリーンを誘惑し、強引にベッドへ運ぼうとするが、生まれて初めて女性に拒絶されて驚き、困惑して立ち去った。翌朝現れたシャリフは態度を一変させ、予想外の提案をする。挙式間近の妹の世話係になってくれたら高額の報酬を支払う、と。
なぜ私を騙したの? 最愛の夫の答えは虚しいだけだった。 タラはかつて恋人に裏切られたあげく、根も葉もない噂を流され、 ひどいバッシングを受けて、どん底の苦しみを味わった。 以来、彼女は化粧をやめ、体のラインが出ない服を着て、 男性を遠ざけて地味に慎ましく暮らすようになった。 ところが、そんなタラに誘いをかけてくる男性が現れた── アンジェロ・ゴードン。タラの会社の経営者で気鋭の実業家だ。 彼は時間をかけ、優しさと誠実さで彼女の凍った心を溶かし、 結婚へとこぎつけた。やがてタラが妊娠。すべてが順調で、 完璧に思われたとき、残酷な真実がタラの耳に飛びこんだ。 嘘よ! 愛する夫が最初から私を欺いていたなんて……。 今もたくさんの読者からのアンコールが鳴りやまない人気作家、ルーシー・モンローが描く、心を揺さぶる珠玉の名作をお贈りします。心に深い傷を負ったヒロインがようやく出会った運命の人。つかみかけたはずの幸せは、思わぬ形でひび割れて……。
勇猛な男が乙女に施したのは、 驚くほどやさしい愛の導きだった。 両親を亡くし天涯孤独となった王女エルフィンは、 非情な叔父に故郷を追い出され、修道院へ向かっていた。 道中、突然目の前に筋骨たくましい長身の男が立ちはだかる。 「その女をいただきに来た」男は高らかに宣言し、彼女を連れ去った。 ソールブランドという名の彼は王女を遠くへさらい、 無垢な彼女を妻にするつもりだった。 だが、無理やり純潔を奪うつもりはない。ゆっくり教え込むのだ……。 一方、エルフィンはソールブランドの考えなど露知らず、 自分は彼の奴隷になったものと思い込む。しかし、心は乱れていた。 私をかごの鳥にした彼を嫌ってもいいはずなのに、胸が甘く疼いて……。 ハーレクイン・ロマンスの大人気作家にしてUSAトゥデイのベストセラー作家、ケイトリン・クルーズが満を持してヒストリカルに初登場! 若きヒロインに心を奪われるつもりはなかったヒーローが、純真な彼女を溺愛せずにいられなくなる様子が巧みに描かれます。
誰にも知られてはならないーー 皇太子の子を宿したなんて。 サリーはテレビ画面を見て凍りついた。間違いない。エドワードだわ。 彼は婚約間近の皇太子だった! けれど、5週間前は違ったーー 同じこのシンガポールの地で出会ったビジネスマンだったのに。 サリーは出張中で、ホテルのプールで溺れかけたところを彼に助けられ、 びしょ濡れで最上階のペントハウスに運ばれ、手厚い看護を受けた。 あくまで紳士的に、優しく接してくれる美貌の彼に惹かれてしまい、 彼も思いは同じで、一夜限りという同意のもと、情熱的な夜を過ごした。 エドワードとサリー。ただ名前を教え合っただけで。でも今、 再びこの地を訪れて彼の素性を知った。もう一度会って確かめたい。 彼があのエドワードだと。おなかに宿る幼い命のことは伝えずに……。 『泣きぬれたシンデレラ』の関連作、ジェームスの妹サリーのロマンスをお届けします。エドワードには、たしかに政略結婚の相手がいました。彼が妊娠を知ったのと同時にマスコミにも嗅ぎつけられ、エドワードはサリーを豪華な別荘にかくまうことにしますが……。
社交界の落ちこぼれ娘が惹かれたのは、 どこまでも完璧な、公爵の御曹司。 リバティは、妹の社交界デビューのためロンドンに出てきた。 もっかの悩みは、ある貴族の影響で妹に悪い評判が立ちそうなこと。 ここは姉として抗議しなければ、と件の人物の屋敷へ向かうが、 悲しいかな、田舎娘の彼女は貴族の顔に疎く、相手を間違えてしまう。 そこにいたドミニクは、英国随一の家柄を誇り、ハンサムで品行方正、 社交界でいま最も理想的な結婚相手と目される公爵家の御曹司だった。 「君の訪問や見当違いな抗議はレディの作法にもとる」と切り捨てられ、 リバティは落ち込むが、彼はそんな彼女の評判まで気にかけてくれた。 まるで貴族の鑑のような紳士だわーー思いがけずリバティの胸が疼く。 彼が妻に求めるのは、きっと完璧なレディでしょう……私とは正反対の。 『隠れ公爵と清らな花』の関連作です。妹のために奔走する健気なリバティが惹かれたのは真に模範的な貴族ドミニクでした。ですが完璧な“未来の公爵夫人”を見つけることを使命とする彼にとって、彼女は候補にすらなりえずーー。せつない身分差ロマンスです。
二人に未来はないとわかっていながら、 料理番は、貴族の誘惑に身を捧げた。 ナンシーはマサートン伯爵の娘だが、それは誰も知らないことだった。 冷酷な父親に虐げられて育った彼女は家も名も捨て、料理で身を立てた。 平民でかまわないーーレディの身分に未練などないから。それなのに、 ナンシーは貴族のガブリエル・レイヴンショーに恋をしてしまった。 大怪我をして雑木林に倒れていた彼を見つけ、寝ずの看病をし、 滋養のある食事を作り続けた。会話ができるほど回復した頃には、 ガブリエルはナンシーにとって、ただ一人の愛する男性になっていた。 活力を取り戻した彼に「身分差など関係ない」と熱く求められ、 ナンシーは無垢な身を捧げたが、このときまだ、彼女は知らなかった。 ガブリエルと、彼女の秘密の生家マサートン伯爵家との関係を。 ガブリエルが大怪我をして倒れていた理由と、マサートン伯爵家との関係が明らかになっていきます。ナンシーは彼の助けになりたい一心で危険な生家に戻ることを決意しーー。一途なヒロインの健気な愛と献身に胸が熱くなる、サラ・マロリーの感動作!
孤高の富豪に捧げた夜は、 無垢な乙女に思わぬ誤算をもたらした。 リアは友人のバレエ公演会場のロビーで途方にくれていた。 チケットが見つからない……。と、現れた美貌の黒髪の男性に チケットを譲られ安堵する。いったい誰なのかしら? その夜、公演後の祝賀パーティで偶然再会した彼は テオドロス・サバスーーギリシアの富裕な銀行CEOだった。 身長が高すぎるのがコンプレックスで恋に臆病なリアだったが、 彼の巧みでセクシーな誘惑に、初めての情熱をかきたてられ、 気づけば熱く応えていた。ああ、彼は明日帰国してしまうのに。 なぜこんなにも彼に惹かれるの? 純潔を捧げたリアは、 やがてテオの銀行を訪ねるーー妊娠を告げるために。 リアが銀行の受付で追い返されかけたとき、現れたテオは、妊娠を知ると、子供のための別居結婚を提案。リアは愛のないプロポーズにショックを受けますが、おなかの子を思うと拒めなくて……。セクシーな作風で人気のN・アンダーソンが綴るピュアな初恋物語。
伯爵家を継ぐ貴公子にとって、 私は不都合な花嫁でしかないのに……。 テンパーは恋多き母のせいで、上流階級の口さがない人々から、 どうせ娘も同類だろうと、いわれなき噂を立てられていた。 男性に対してトラウマのある彼女は、母とは違うのに。 ある日、テンパーは父に強いられて社交界デビューが決まり、 兄の親友で伯爵家子息のギフが護衛を務めることになった。 手が触れただけで甘い衝撃の走る彼が、そばにいるなんて……。 戸惑うテンパーだったが、舞踏会が開かれた屋敷の寝室で、 期せずしてギフと二人きりでいるところを他人に目撃され、大騒動に。 テンパーの評判を守るため、ギフはやむなく彼女に求婚した。 夫婦の契りを結ばない、白い結婚ならとテンパーは答えるがーー 妻にするなら成熟した上品で穏やかな淑女でなければならないと考えていた貴公子ギフ。それが蓋を開けてみれば、じゃじゃ馬のテンパーを娶ることに。しかも、彼女は夫となるギフに、ベッドをともにしない代わりに、よそで自由に遊んでいいと言うのでした……。
“非常手段でいっきに解決”-- それが公爵からのプロポーズだった。 「デューク! 待て!」ソフィーは逃げ出した犬に鋭く命じた。 すると歩道を歩いていた男性が突然立ち止まり、 大おばの愛犬デュークは磨き上げられたブーツに激突した。 「止めてくださって助かりました。この子が行方不明になったら、 大おば様のお世話係を首になり、田舎に送り返されるところでしたわ」 彫像のように美しくたくましい男性と言葉を交わすうち、 彼の物憂げで苛立たしげな様子に気づいたソフィーは頬を赤らめ、 しゃべりすぎたことを悔やみながら逃げるように立ち去った。 このハンサムで陰のある紳士がデュークーー公爵の称号を持つ大貴族で、 ほどなく彼と愛なき婚約をすることになるとは夢にも思わずに。 人目のある道端でトラブルに巻き込まれたソフィーを助けるため、とっさに彼女との婚約を公言した公爵。嘘から始まる身分違いの婚約劇の、思いがけない結末とは……。心を閉ざした公爵と、愛を夢見る健気な乙女のドラマチックなシンデレラ・リージェンシーです。
その娘との出会いは、完璧な公爵にとって まったく正しくないものだった。 聖職者の娘ながらおてんばなヴェリティは、 色気漂う唇の美青年が現れた瞬間、それが誰なのかすぐにわかった。 第4代アイルシャム公爵ウィルーー人呼んで、“品行方正卿”。 最近爵位を継ぎ、彼女の家の隣に位置する領地へ越してきたのだ。 先代である祖父から英才教育を受けた彼は、しきたりを重んじ、 礼儀も非の打ち所がなく、つねに正しい行動をすると評判だった。 快活なヴェリティの淑女らしからぬ言動に呆れ返る公爵と、 公爵の完璧なふるまいをどうにか突き崩そうとするヴェリティ。 彼の鉄壁は難攻不落に思えたが、ある日ヴェリティが池に落ちかけ、 助けた公爵がどういうわけか、彼女の無垢な唇に口づけをして……。 いきなり唇を奪っておいて、すぐに間違いだったと軌道修正を図る公爵。そんな彼に対し、ヴェリティは反感を覚えると同時に、胸の奥がきゅんとして苦しくなるのでした。正反対の性格のふたりが繰り広げる、もどかしくてキュートなシンデレラ・リージェンシー!
けがれなき乙女の純情は、 心なき伯爵に踏みにじられて……。 「あなたーーあなたがアシャースト伯爵ですの?」 優雅で荘厳な伯爵邸の書斎に通されたローザは愕然とした。 書き物机から立ち上がった背の高い男性も驚いたように動きを止めた。 つい先日最悪の出会いを果たした、あまりにも傲慢で魅惑的な男性ーー 祖母が姉と結婚させようとしているのが、この人だったなんて。 ローザは勇気を振り絞り、姉には愛する男性がいるのだと告げた。 「わたしはここに……姉の代わりになるつもりで来ました。 あなたがわたしとの結婚を考えてくださらないかと思って」 身をこわばらせて頬を染めるローザを、伯爵は嘲るようにあしらった。 「きみは自分にかなりの自信があるんだな。だが、答えはノーだ」 愛や家庭に興味はないと冷たく言い放ち、ローザを追い返した伯爵。しかし程なく事情が変わり、彼は便宜結婚を申し出ます。淡い想いと傷心を押し隠し、愛なき結婚を受け入れたローザでしたが……。『高慢と偏見』を彷彿とさせる、情感豊かな身分差ロマンスです。
身分卑しき捨て子のわたしが、 公爵とワルツを踊るなんて……。 「ぼくと踊っていただけませんか?」 憧れの公爵が不意に現れ、ローズの心臓は跳びはねた。 彼が所有する紳士クラブのメイドとして働くローズは、 繕い終えたばかりの美しいドレスにほんの出来心から袖を通し、 夜中にひとりハミングをしながらワルツを踊っていたのだった。 貴族の足元で床磨きをしている娘だとは、まだ気づかれていないらしい。 夜ごと夢に見ていた公爵の腕に抱かれて天国のようなキスをされ、 秘密の逢瀬に誘われたローズは、ひどくうろたえて逃げだした。 貧しい捨て子のわたしには、彼に恋する資格なんてない……。 しかし後日、彼はローズを見つけるやいなや公爵の館に連れ去った。 公爵に祖母の付き添い役を頼まれ、ローズは華やかな貴族の世界に怯えながらも懸命に務めを果たします。やがて公爵が抱える心の闇に触れ、秘めた想いが溢れだして……。イギリスの人気作家が繊細かつ情熱的な筆致で描く、心震えるシンデレラ・リージェンシー!
マリアンナは、名家の御曹司セバスチャンと熱烈な恋におち、 子供も授かって幸せな結婚をした。 だが、ハネムーン中に流産し、 子供のできない体になるという悲劇に見舞われる。 つらい現実を忘れたくて仕事にのめりこむうち、 夫との心の距離は取り返しがつかないほど離れてしまった。 最悪の結論に達し、離婚協議を進めていたある日、 思いがけない欲望にとらわれた二人は、車の中で情熱を交わす。 その後、彼女の身に奇跡が起こったーーああ、私はどうすればいいの? 離婚成立の日、マリアンナはセバスチャンの目の前で倒れてしまい……。 大スター作家レベッカ・ウインターズの作品がお好きな方に、特におすすめ! 愛する夫の子を産めない苦しみを隠し、彼のもとを去ろうとしたヒロインに、運命は味方してくれるのでしょうか? スター作家キャサリン・マンが描く、感動ラブストーリー。
傷ついた醜いあひるの子は、 白鳥になっても臆病なまま……。 秘書のキアは直属の上司に頼まれて恋人役を演じなければならなくなり、 そのときから、社長ブラントの侮蔑と欲望のまなざしを感じていた。 直属の上司の元恋人を妬かせるための偽りの関係とは知る由もなく、 ブラントはキアを金目当てで男に近づく女狐だと思い込んでいるのだ。 密かにブラントを慕うキアは、潔白を証せないのがもどかしいと同時に、 彼のような、もてる男性を避けたい理由もあった。 母を傷つけた女癖の悪い父と同類に思えるのだ。 幼い頃、父に醜いと疎まれた心の傷のせいで、男性と距離をおいてきた。 そんなキアの複雑な思いなど知らず、自分が迫ればいちころとばかりに、 ブラントは熱い瞳に蔑みの色をにじませ、誘惑の魔手をのばすがーー 巧みな心理描写と起伏に富んだストーリー、とびきりセクシーな愛の表現が持ち味のマクシーン・サリバン。臆病だから恋ができないのか、恋をするから臆病になるのかーーそんな恋の謎を楽しみつつ、最後まで一気読みしてしまう面白さを、ぜひご堪能ください。
海辺にある親戚の領地を取り仕切るタムシンには、秘密の日課があった。それは、人目を盗んで裸で泳ぐこと。ある日タムシンが泳いでいると、突然海の中から男性が現れて彼女の両肩をつかんだ。そして生気を求めるようにキスをした。男性はタムシンを抱き上げて砂地を横切り、そのまま意識を失った。大天使を彷彿とさせる、たくましく美しい金髪の男性ーどこか冷徹な雰囲気のある彼は、とびきりのハンサムだ。冷えきった彼を屋敷に運ばせ、風呂に入れて介抱していると、悪態をつきながら青い目を見開いた彼がふとタムシンを見つめた。そのときタムシンは恋に落ちた。彼が侯爵だとは夢にも思わずに。
トニーは高校時代の友人の訃報を受け、急遽故郷に戻った。友人はミリセントという悪女のせいで、自殺に追い込まれたという。猛烈な怒りに駆られたトニーは、弔問に現れたミリセントを罵倒し、憤怒の形相で詰め寄った。とたんに彼女の顔は青ざめ…(『指輪はイブの日に』)。3人の子供に手を焼く実業家ニックの屋敷に派遣された、天使のベス。子守をすることが使命だと思ったが、ひどく不幸せそうな彼を見て、自分は彼の心を救うために天上から遣わされたと気づく。ベスはニックの心に人間らしい感情をよみがえらせるが、いつしか彼に恋をしてしまう(『地上に降りた天使』)。5年前、ヘレナは憧れの子爵カールトンと結婚したが、翌朝夫は失踪した。その後妊娠がわかり、夫の家族に財産目当てと冷遇されながらも懸命に息子を育ててきた。ある日、みすぼらしい姿の男が現れ、ヘレナの前で倒れる。それは死んだと思っていた夫だった!(『帰ってきた子爵』)。アリーはクリスマス休暇を過ごすため、スペインのピレネー山脈にやってきた。宿泊先のホテルで出会ったのは、巨大ホテルチェーンの経営責任者デス。女性不信に陥っているデスは、アリーに対して何かと不機嫌な態度をとった。ところが彼女の暗い秘密を知るや…(『アリーの秘密』)。
見知らぬ伯爵の匂い立つ魅力に、 乙女の胸はざわめいて……。 「君たちに関することはすべて把握するのが僕の役目だ」 ロンドンに出てきたばかりのテッサとその妹たちは、 傲慢な伯爵ペイトン・ラムスデンを前に戸惑いを隠せなかった。 生前の父が、私たちが全く知らない男性に後見役を頼んでいたなんて。 比類なく美しい伯爵は姉妹の日常にたやすく溶け込み、 寄る辺なきテッサの疲れた心を巧みに解きほぐしていく。 舞踏会で彼とワルツを踊ったあとに物陰で唇を奪われ、 生まれて初めての喜びに漂うテッサは夢想だにしなかった。 彼の唇からこぼれる言葉はすべて偽りだということをーー 甘い愛の囁きも、彼が後見人であるという話も。 特殊な事情により極秘の任務を帯びて姉妹を守護するペイトンと、そんな彼への恋心を密かに募らせるテッサ。制約に縛られながらもどうしようもなく惹かれあう二人に、やがて命の危機が訪れて……。2018年RITA賞ファイナリストが描く激動の愛をご堪能ください!
両親から惜しみない愛情を受けて育ったアニカの人生は一変した。反対を押し切って看護師をめざしたとたんに家族から見放され、今は介護施設で働いて生活費を稼ぎながら実習をこなす身の上だ。唯一の心の慰めは、実習先の小児科医レイエスをひそかに眺めること。浅黒い肌に黒い髪と瞳を持つ彼には野性的な魅力がある。ある日、話がしたいとレイエスに言われて天にも昇る心地になるが、彼はすげなく告げた。「きみの兄さんから、見守るよう頼まれたんだ」レイエスにとってわたしはただの友人の妹…。アニカは意気消沈した。じつのところ、純真無垢な彼女に自分のような男はふさわしくないと、彼がどうにか気持ちを押し殺しているとも知らずに。
弟と暮らすジェインはゆくゆくは独り郊外で生きていくつもりだった。ところが、さる令嬢のつき添い役を務めることになり、令嬢の後見人である富豪貴族ポールと出会って心境が変化し始める。彼は異国の地で巨財を成し、社交界デビューする令嬢を後見するためにイギリスへ帰国したといい、ジェインと過ごす時間は自然と多かった。やがて気づけば、ジェインは優しい彼を愛するようになっていた。しかし募る想いとは裏腹に、彼を信じていいものか迷っていたーポールは彼女に求婚する一方、婚約のことは内密にと念を押したのだ。これが本物の愛ならば、なぜ秘密にしなければならないの?そんななか風の噂で、異国に彼の妻子がいるのではないかと耳にし…。