著者 : 高見浩
幼い弟が犠牲となった十代の姉による放火殺人事件。フロリダ中が注目する事件の判決を委ねられた7名の陪審員は、個人情報を伏せ交流も禁じられ、郊外のモーテルに隔離される。老齢の夫のいる52歳の写真家「C-2」は裁判に忠誠を誓いながらも、42歳の解剖医「F-17」と“人生最後の火遊び”に溺れていくー。NYタイムズ「今年の百冊」に選出された衝撃作。
1830年、東カリブ・バルバドス島。親を知らない11歳の黒人少年「ワッシュ」ことワシントン・ブラックは、大農園の奴隷として過酷な日々を生きていた。ところがある日、農園主の弟ティッチに見込まれ科学研究の助手となる。ティッチから文字や科学の知識を学び、絵の才能を開花させるワッシュ。やがてある事件を機に二人で作った気球で島から脱出し、北極を目指す…。
マイアミに暮らす美貌のカリ・モーラは25歳。故国のコロンビアでの凄惨な過去を背負い、移民として働きながら、獣医になることを夢見ている。彼女は麻薬王の邸宅管理のバイトがきっかけで、屋敷に隠された金塊を狙う犯罪集団の作戦に巻き込まれ、彼らと対立する臓器密売商の猟奇殺人者シュナイダーの妄執の的にもなってしまいー。極彩色の恐怖と波乱の展開に震える傑作サイコ・スリラー。
19世紀半ば、英国。北極海を目指し捕鯨船ヴォランティア号が出港した。乗組員は、アヘン中毒の船医サムナー、かつて航海で大勢の船員を犠牲にした船長ブラウンリー、そして凶暴な銛打ちのドラックスら曲者揃い。やがて船内で猟奇殺人が起きるが、それは過酷な運命の序章に過ぎなかったー。想像を超える展開と圧倒的な筆力で、人間の本性と自然の脅威を描き尽くすサバイバル・サスペンス。
1930年代後半、スペイン内戦。共和国側の義勇兵であるアメリカ人ジョーダンは、山峡の橋の爆破を命ぜられる。協力するゲリラ隊には、腹の読めないパブロ、女傑ピラール、そして敵側に両親を殺された娘、マリアらがいた。無垢なマリアと恋に落ちたジョーダンだが、死を賭した作戦決行が数日後に迫っていた。内戦取材を元に、激動する運命と愛を生々しく描き切る、ヘミングウェイ畢生の大作。
マリアとの愛とゲリラ隊の面々への理解を深めていくジョーダンは、華やかで享楽的なマドリードにマリアを伴う未来を夢想する。だが、仲間のゲリラ隊がファシスト側との凄絶な闘いを経て全滅し、戦況は悪化。ジョーダンは果たして橋梁爆破の任務を遂行することができるのかー。スペインを愛し、その過酷な現実を直視したヘミングウェイが書き上げた、戦争の意味と人間の本質を問う渾身の傑作。
NYイースト・ヴィレッジに建つエレベーター無しのアパートメント。四十五年間、五階の部屋に住み続けるアレックスとルースの夫婦は、十二歳の愛犬ドロシーと隠やかな日々を送っていた。ただひとつ、大きな問題が。足腰の弱ってきた彼らにとって、階段の上り下りが年々辛くなってきたのだ。そこで二人は住み慣れた部屋を売り、エレベーター付きの物件を購入する計画を立てていた。ところが内覧会の前夜、ドロシーが急病に。さらに近くのトンネルでテロ騒ぎが勃発する…。結婚生活五十五年史上、最もスリリングな週末を過ごしたチャーミングな夫婦の物語。
みんなは“内側”の人間だけれど、自分は“外側”の人間だからー心を閉ざすアンナ。親代わりのプレストン夫妻のはからいで、自然豊かなノーフォークでひと夏を過ごすことになり、不思議な少女マーニーに出会う。初めての親友を得たアンナだったが、マーニーは突然姿を消してしまい…。やがて、一冊の古いノートが、過去と未来を結び奇跡を呼び起こす。イギリス児童文学の名作。
若き日のヘミングウェイと、彼を物心両面で支えながら共にパリに渡った最初の妻ハドリー。1920年代のパリ、ふたりは貧しくとも愛に溢れた日々を送っていた。だがフィッツジェラルド夫妻らをはじめ、裕福で奔放な友人との交遊の中で、ふたりの絆はやがて葛藤と裏切りに塗れてゆく…。運命の出会い、出産、そして背信…。史実と大胆な想像力をもって描かれたスリリングな恋愛長編。
冷戦下のドイツ。アメリカの最新鋭攻撃機A-10Fが演習中にミグ25に襲撃され、東ドイツ領内に不時着した。A-10Fにはパイロットと機を一体化させる極秘装置が搭載されていた。現場に赴いたアメリカ軍事連絡部“奪還チーム”のマックス・モスは装置を回収する。が、高度にチューンナップされた彼のフォードを、東ドイツ人民警察のBMW、ベンツとソ連の攻撃ヘリが追ってきた。緊迫のカーチェイスを描く冒険小説の名作。
1920年代、パリ。未来の文豪はささやかなアパートメントとカフェを往き来し、執筆に励んでいた。創作の苦楽、副業との訣別、“ロスト・ジェネレーション”と呼ばれる友人たちとの交遊と軋轢、そして愛する妻の失態によって被った打撃。30年余りを経て回想する青春の日々は、痛ましくも麗しいー。死後に発表され、世界中で論議の渦を巻き起こした事実上の遺作、満を持して新訳で復活。
深更に響くノックの音ー。それはキャスリンを絶望の淵へと追いやる序奏だった。夫が操縦する旅客機の墜落。ひとり娘と悲嘆に暮れる間もなく、不穏な情報が次々と彼女を苛む。さらに、夫が遺したメモからは耐えがたい現実が浮き彫りにされてゆく。平凡な暮らしを営んできた妻に問いかけられる家族の絆、そして“人を知る”ということの意味。全米で280万部を突破した痛切な長篇。
いつか、出逢った二人。どこかで再び会えるなんて-。男の事業は崩壊に瀕していた。女は夫との距離を感じはじめていた。そして、運命は31年ぶりの再会へと二人を誘った。純真と激情が結びつき、感情と官能が交錯する恋愛長篇。
あの血みどろの逃亡劇から7年ー。FBI特別捜査官となったクラリスは、麻薬組織との銃撃戦をめぐって司法省やマスコミから糾弾され、窮地に立たされる。そこに届いた藤色の封筒。しなやかな手書きの文字は、追伸にこう記していた。「いまも羊たちの悲鳴が聞こえるかどうか、それを教えたまえ」…。だが、欧州で安穏な生活を送るこの差出人には、仮借なき復讐の策謀が迫っていた。
レクター博士はアメリカに帰還する。執念を燃やす復讐鬼は、クラリスを囮に使って博士をおびき出す計画を整えつつあった。その先には、究極の美食家に対する究極の屈辱となる報復が用意されている。かくして、“怪物と天使”の運命は凄絶に交錯するときを迎えた…。スティーヴン・キングをして「前作を凌ぎ、『エクソシスト』と並んで20世紀に屹立する傑作」と言わしめた問題作、登場。
衝撃のベストセラー『ホット・ゾーン』から3年。プレストンが放つのは、エボラ・ウイルスを超えた戦慄。想像を絶する恐怖が、いまそこに!アメリカ、イラク、ロシアにおける生物兵器開発の恐るべき機密を暴露。
インドネシア・スマトラ島で謎のウイルスが猛威!女性ジャーナリスト、ホリー・ベッカーは現地にいる双子の娘の身を案じて、アメリカ陸軍のカーメン・トラヴィス中佐はウイルス殱滅を期す探査隊を率いて、それぞれ“災厄の島”へ向かう。そして、カーメンのもとに送られてきた一通のアメリカ軍極秘文書のコピー…。幾重にも錯綜した謎が、スマトラのジャングルとアメリカの時空を越えて、結びついたとき、正体不明のウイルス“九日目の悪魔”の真実が明らかになる…。