著者 : 高野優
ヴィオレットは、ブルゴーニュにある小さな町でたったひとりで墓地管理人をしている。彼女が住む管理人用の家の一階には、墓地に来る人の待合室ーのような空間がある。墓参者はここで悲しみに浸り、故人との思い出を語り、死にまつわる秘密を打ち明ける。そして二階には、ヴィオレットだけの部屋があり誰も踏み入ることはなかった。彼女の過去と同じようにー。そんなある時、一緒の墓に入ると決めた男女の存在が、彼女の人生を大きく揺るがし、あきらめていた感情に血が通い始める。フランスで130万部のベストセラー長篇。
ヴィオレットが管理する墓地は美しい。通路には樹齢百年になる菩提樹が並んでいて、多くの墓が花で飾られている。誰も訪れなくなった墓が淋しく見えないよう、ヴィオレットが花を手向けているから。墓地管理人の仕事は、そこに眠る者たちの世話をするということなのだ。ある日、ジュリアンという警視が母親の遺言をもって突然やってきた。母親が、家族には秘密で愛人と同じ墓に入ると約束していたのだという。50歳を間近にして、何度も絶望に襲われ、新しい人生をあきらめていたヴィオレットにとって、この男女の物語は大きな衝撃を与える。花が新鮮な水で生き返るように、彼女の人生もまだ終わってはいないのだ、とー。
パリの路地裏で、両頬を耳まで切り裂かれ、喉には石を詰められたストリッパーの死体が発見される。パリ警視庁警視のコルソはこの猟奇殺人の捜査を進めるが、ほどなく第二の犠牲者が出てしまう。被害者二人の共通点は、残忍な殺され方、同じ劇場で働いていたこと、そして元服役囚の画家ソビエスキと交際していたこと。この画家を容疑者と考え、追い詰めるコルソを待ち受けるのは、名画をめぐる血塗られた世界と想像を絶する真相だった…!『クリムゾン・リバー』の巨匠が放つ戦慄のサスペンス!
魅惑的な美貌と肉体を持ったアリシアを運命に恋人としたエウォルド卿は、やがて彼女のあまりの軽薄さに幻滅してしまう。絶望の淵にあった彼に手をさしのべたのは、エジソンだった。偉大な発明家はついに、アリシアを完璧に模した肉体に高貴な魂をそなえた機械人間を生み出すが…
さあてお立ち会い。人類史上最高のスーパーヒーローをご紹介しよう。かの三銃士を父に持つその名も“三銃士の息子”だ。なにしろダルタニャンの機知、アトスの気高さ、ポルトスの精力を一身に受け継いでいるのだから天下無敵も道理。そんなヒーローが、美しくも無垢で薄幸のヒロインを救うべく、悪の権化の公爵殿と闘うんだから、コレを見逃す手はない!かのチャップリンも脱帽したとかしないとかいう、ユーモアの神様カミが放つ冒険巨篇。
謎の暗号文を苦心のすえ解読したリーデンブロック教授と甥の助手アクセル。二人は寡黙なガイド、ハンスとともに地球の中心へと旅に出た。そしてそこで三人が目にしたのは…。前人未到の地底世界を驚異的な想像力で自在に活写したヴェルヌの最高傑作を、圧倒的な臨場感あふれる新訳で。
突然命を絶ったレルヌ公が美しい娘コラに残した遺書には、四人の男友達のなかにいるはずのリュパンの正体を突きとめて彼に頼るようにとあった。折しも彼女と英国の王位継承権を持つ公爵との縁談が持ち上がり…。リュパン最後の、真実の恋の物語。遺族の序、ルブラン自身のエセー、リュパン研究の第一人者J・ドゥルアール「モーリス・ルブラン、最後の小説」を併録した完全版。
歴史小説『かくも献身的な王妃』がベストセラーとなった後、パリに引っ越してきたジョゼフィーヌ(ジョー)と娘たち。しかし、ジョーを待っていたのは一筋縄ではいかないことばかり。姉のイリスは入院し、母には責められる。娘たちもどことなく冷たい。そこに事件が起きた。夜道でナイフを持った何者かに襲われたのだーフランスでシリーズ累計400万部を突破した人気作、急展開の第二弾が登場。
パリ郊外、低家賃団地が建ち並ぶ街サルセル。団地の人びとは誰もが鬱屈した思いを抱き、少しずつ常軌を逸していた。異常なまでに秩序にこだわる刑事シュナイダー、二重人格のその妻フランス、1日中、ラジオやテレビをつけっ放しにしている「ニュース狂い」の青年、九官鳥に人種差別的な言葉を教えこむ老人、巨大な双頭の鯉と格闘する下水道の掃除人、そして軍隊からごっそりと手榴弾を持ち出した志願兵のジャン・イヴ。パリの街に次々と手榴弾が炸烈する。事件を追うシャナイダー刑事の胸に抑えがたい暴力への衝動が突きあげる。そして妻のフランスの心の中では、別人格「娼婦のマギー」が死に、「ブラッディ・マリー」が現れる…。病めるフランスの現代社会を映し出した衝撃の作品。仏ミステリー批評家大賞受賞。
パリ効外の団地で、結婚式をあげたばかりの花嫁が射殺される。純白のウエディングトレスの胸を真っ赤に染めた花嫁が握りしめていたのは一枚の紙切れ。そこにはこう書かれてあった。「ネエちゃん、おまえの命はもらったぜ」。シャポー刑事はその下に記された署名を見て愕然とする。ビリー・ズ・キック。それは彼が娘のために作った「おはなし」の主人公ではないか。続けてまた一人、女性が殺される。そして死体のそばにはビリー・ズ・キックの文字が…。スーパー刑事を夢見るシャポー、売春をするその妻、覗き魔の少女、精神分裂病の元教師。息のつまるような団地生活を呪う住人たちは、動機なき連続殺人に興奮するが、やがて事件は驚くべき展開を見せはじめ、衝撃的な結末へ向かって突き進んでゆく。
十二月のパリ、雪の夜。いつものように78番線のバスは市内を北上している。乗客十六人を乗せてカルポ公園の停留所に停まったとき、三人の男が乗車してきた。一瞬の出来事。機関銃が掃射され、バスの中は肉片飛び散る血の海と化した。-この残忍無比な無差別テロにパリ中が凍てついた。警察内では司法警察局のヴェルネ警視を中心に特別班が犯人逮捕に全力をあげ、一方、大手新聞のニューズ紙もいち早く事件をスクープすべく独自の捜査をはじめる…。現役ジャーナリストがテロに怯える現代社会と警察の実像を描き出す衝撃の犯罪サスペンス!