著者 : 鯨井あめ
天才ランナーと小説家志望。人生の分岐路で交差する2人の女子高生の友情物語。 ただ、走っていた。 ただ、書いていた。 君に出会うまではーー。 立ち止まった時間も、言い合った時間も、無力さを感じた時間も。無駄だと感じていたすべての時間を掬い上げる長編小説。 「あなたをモデルに、小説を書いてもいい?」 ケガをきっかけに自分には“走る理由”がないことに気付いた陸上部のエース、定本風香。「物語は人を救う」と信じている小説家志望の明戸類。梅雨明けの司書室で2人は出会った。 付かず離れずの距離感を保ちながら同じ時間を過ごしていくうちに「自分と陸上」「自分と小説」に真剣に向き合うようになっていく風香と類。性格も好きなことも正反対。だけど、君と出会わなければ気付けなかったことがある。 ハッピーでもバッドでもない、でも決して無駄にはできない青春がここに“在る”。
真っ白な沙に埋もれゆく世界での理想はレールに乗る人生。芸術は機械にお任せ。「クリエイター」という機械が好きなものを創ってくれる。それでも音楽が好きな少女・ロピは第9オアシスでパパと二人で暮らしている。親友のエーナや周りの大人に止められながら、自分の音楽を追い求める。特にやりたいこともない少年・ルウシュは、母と同じ気象予報士になるため日々勉強していた。いっぽうで好きなことに一生懸命な友人への劣等感は強まり、夢中になれるものを探しはじめ…
特別じゃない僕が、かけがえのない憧れに出会った。キラキラだったり、くすんでいたり。青春を万華鏡でのぞくような、色とりどりの6編。あめ、ときどき、勇気。カラフルな青春短編集。
自分に何の期待もせず無気力に過ごす大学生、敷石和也。ある日駅のホームで、女性が線路に転落するのを目撃。右往左往しているうちに意識が遠のきー見知らぬ子どもの姿となって目覚める。目の前には、小学生時代の自分が…!不可解なタイムスリップの謎を追いながら、小学生時代の自分を客観的に見つめる和也。はたして、自分の身に起こった「奇跡」とどう向き合っていくのか。
父親を亡くしたあと、他者と関わりを持たず、毎日をこなすように生きてきた「僕」。僕はある日、屋上で「クラゲ乞い」をする奇妙な後輩と出会った。世界は理不尽で、僕たちは無力だから。世界をちょっとだけ変えたかった、「僕」と「彼女」と「僕たち」の物語。第14回小説現代長編新人賞受賞作。