著者 : 鳥羽亮
江戸・深川の町で、人知れずもめ事を闇に葬る男たち。その“始末人”の一人が全裸で殺された。裏稼業の覇権を狙う男たちと繰り拡げられる凄絶な闘い。謎の一味の正体は何か。渋沢念流の達人・蓮見宗二郎の刃が妖しくきらめき、人斬り忠左の「追切りの太刀」と火花を散らす。痛快剣豪ミステリ。
江戸後期の文政年間、社会不安の高まりをうけて、八百八町では武芸熱が高まり、多くの道場が剣名を競っていた。千葉周作門下の柘植恭之介も、友人勝小吉の薦めで、自らの道場を持ちたいと思うようになる。道場破りで名を上げた恭之介は、尾島藩のお家騒動に助太刀し資金を得ようとするが、敵が雇った無敵の剣客と死闘を繰り広げる。
幕府転覆を狙う謎の組織が深川を襲う。始末人たちの命がけの死闘が始まった!斬らなければ殺られる-始末人・蓮見宗二郎一撃必殺の剣がうなる!民家に炎を放ち、大店を襲う-。“閨魔党”を名乗る一派が深川を恐怖に落とし入れた。深川の安寧を陰で支えてきた蓮見宗二郎たち始末人と、閨魔党の死闘が始まる。宗二郎の渋沢念流、謎の老剣客が操る実貫流…。必殺の剣と剣が深川の闇を舞台に火花を散らす。
深川で起きるさまざまな面倒を引き受け、解決する始末屋・鳴海屋。蓮見宗二郎は渋沢念流の遣い手で腕のたつ始末人である。鳴海屋の始末人たちが命を狙われ始めた。新たな大きな力が深川の闇の中で蠢めいている-。宗二郎の剣は、この陰謀を切り裂けるか。
秩父郊外の鬼島家。その屋敷跡で右手に首をぶら下げた死体が発見された。調査した結果、なんと胴体と首は別人だった。数日後、新聞社に「怨みの首一つ一億円也」の怪文と女性の髪が首屋の名前で送られてきた。この一帯を牛耳る政治家の下にも同じものが…。犯人の狙いは何か。猟奇殺人の謎を巡る推理小説。
血なまぐさい風が吹く居合道場、一心館。完全な密室状態の中で、二つの白装束の惨殺死体が発見された。覚悟の自刃とみなされた事件の容疑者に浮び上ったのは、全日本剣道選手権優勝者…何者かが仕組んだ罠か。三十年余の時空をこえていま甦る怨念の復讐劇。江戸川乱歩賞受賞第一作の剣道長編推理。