著者 : 鳥羽亮
江戸・本湊町の料亭に用心棒として住み込む流想十郎は、花見の帰り、品川宿近くで武士団に襲われた小藩の姫君一行を助ける。気が進ままない中、姫の護衛を引き受けた想十郎は、熾烈な抗争に巻き込まれる…。権力者・水野忠邦を父に持ちながら、その愛情を知らず、また剣術の師との密通の末に、ともに上意討ちで果てた母への情も捨てた孤高の剣士は、無敵の蝴蝶剣を誰がために振るうのか?書き下ろし時代小説、新シリーズ始動。
男ふたりに痛めつけられていた母子を助けた与三郎。母子は、与三郎が岡っ引き銀次の手先となる前に住んでいた町で瀬戸物問屋を開いていた御内儀と娘だった。その二日後、明神下の空き地で、刺し殺された店者が見つかった。どうやら下駄屋の主人らしい。銀次とともに探索にあたった与三郎は、殺しと母子には、何らかのかかわりがあると睨む。
徳川家宣、重篤!六代将軍の急を知らせる報に吉宗が天下盗りに動いた。紀州藩の奪取から七年、いままさに悲願の時がきたのだ-。着々と家宣の後への礎を固める吉宗一派。しかし、その前に立ちはだかる暗殺者集団・御土居下衆。唸り迫る豪剣の激突、大気を破る手裏剣の嵐。そして、冷徹な智略の応酬。将軍の座をめぐる熾烈な暗闘の行方は!?正徳二年、江戸城を舞台に、亡き真田幸村が描いていた、最後の天下分け目の戦いが始まった。
玄次は、商い途中に出くわした検屍の場で、地まわり風の男に目をとめた。岡っ引きを勤めていたときに救ってやった女と、一昨日、逢い引きしていた男だった。その頃、安兵衛の許には、老舗の包丁人が殺されたという報せが舞い込んできた…。
大坂夏の陣から七〇年、天下は徳川綱吉の下、泰平の世にあったが、御三家のひとつ紀伊徳川藩で覇権奪還をうかがう者がいた。大番組頭・加納平次右衛門である。彼こそ大坂夏の陣で死んだとされる真田大助の孫・幸真であった。豊臣秀頼とともに炎上する城を逃れた大助は紀州に潜み、虎視眈々とその時を待っていたのだ。ついに豊臣の血を引く若君が誕生。幸真の策略は動き出したのだが、その前に立ちはだかる敵が…。真田一族の悲願は成るのか!?豪剣、秘剣、忍術が入り乱れる興奮の時代小説。
安兵衛の酒飲み仲間で、小普請の旗本が殺された。定廻りによれば、ちかごろ大川端に出た辻斬りと同じ手口だという。その後、なぜか安兵衛は町方に尾けられることに。しかも妙なことに、知り合いの八卦見、笑月斎も尾けられているらしく…。
下谷の泥溝板横丁で夜鷹が殺された。十日前に料理屋の女中が斬り殺された時と同じ手口だった。金目の物を身に着けていないことから、物盗りや辻斬りの仕業ではないとみた岡っ引きの銀次は、神道無念流の達人向井らと探索をはじめるが…。
子持ちの女将が切り盛りする料理屋に居候の安兵衛は、実は旗本の三男坊。気ままな暮らしぶりから、極楽とんぼと呼ばれているが、ひとたび剣を抜けば、遣い手に。義理人情に厚く、嫌と言えない安兵衛は、毎度持ち込まれる難題に奔走して…。
数年前に巷を騒がせた盗人、土蜘蛛一味が再び姿を現したという噂を銀次が耳にして間もなく、米問屋が押し込みに遭った。奉公人を殺害した畜生働きなのだが、義賊と呼ばれた土蜘蛛一味と盗みの手口が同じなのが銀次は気にかかり…。
薬種問屋の娘が行方知れずになった。「二百両を出せば勾引した連中と話をつけてやる」と売り込んできた、元御用聞きの常蔵を怪しいと睨んだ銀次。手下の松吉と探索を続けていると、なぜか昵懇である神道無念流の達人、向井に突き当たり…。
料理屋の女将が襲われ、奉公人が殺された。同じ頃、材木問屋の主が川で謎の転落死を遂げる。事件を追う宗二郎ら始末人だが、魔手は始末屋の元締・文蔵にまで伸びる!陰に見え隠れする謎の老武士は何者か?宗二郎の秘剣“鱗返し”を突き崩す“風来の剣”とは?始末人に最大の危機が迫る。
『死霊の手』-旗本の三男坊、波之助の釣り船に女の土左衛門が流れ着いた。首筋の痣は相対死の名残か…。『検察捜査・特別篇』-県警本部に男が乱入し、横浜地検の岩崎紀美子に「たれ込み」電話がかかってきた。『920を待ちながら』-神業の腕を持つ伝説のスナイパー。防衛庁情報局の男たちは、姿なき彼に追い詰められ-。『放蕩息子の亀鑑』-「冷たいカルテ」を書いた病院長・童子女の前に現れた不意の訪問客。『脳男』の鬼才が描く「本格」ミステリー。
神田の呉服屋が襲われた。五百両のほかに、反物がごっそり持ち去られ、手代の姿が消えたのだ。奉公人を仲間に引き入れるという盗みの手口から、岡っ引きの銀次らは上州党と目星をつけるが、三年前に江戸から行方を晦ましたままだった…。
岡っ引きにして、一角流十手術に伝わる特殊な小武器“まろほし”の遣い手・銀次は今、咲きほこる紅梅と見紛う痣が花叢のように肌に浮く娘の死骸を目の前にしていたー。先頃から追っている別の事件と同じ筋と直感した銀次は、急ぎ下手人を挙げようと奔走するが、ほとんど手掛かりが得られぬまま、料理屋へ通いで勤めている器量良しの十七、八の町娘たちが次々と失踪してしまう…。書下し時代長篇。
江戸後期の文政年間、社会不安の高まりをうけて、八百八町では武芸熱が高まり、多くの道場が剣名を競っていた。千葉周作門下の柘植恭之介も、友人勝小吉の薦めで、自らの道場を持ちたいと思うようになる。道場破りで名を上げた恭之介は、尾島藩のお家騒動に助太刀し資金を得ようとするが、敵が雇った無敵の剣客と死闘を繰り広げる。
幕府転覆を狙う謎の組織が深川を襲う。始末人たちの命がけの死闘が始まった!斬らなければ殺られる-始末人・蓮見宗二郎一撃必殺の剣がうなる!民家に炎を放ち、大店を襲う-。“閨魔党”を名乗る一派が深川を恐怖に落とし入れた。深川の安寧を陰で支えてきた蓮見宗二郎たち始末人と、閨魔党の死闘が始まる。宗二郎の渋沢念流、謎の老剣客が操る実貫流…。必殺の剣と剣が深川の闇を舞台に火花を散らす。