著者 : 黄ソ暎
動物や死者の魂の声を聴き取ることのできる不思議な少女・パリ。飢餓に苦しむ北朝鮮を逃れて国境を越えたパリは、家族全員を失いたった一人で世界に投げ出される。行き着いたロンドンは、移民、難民が世界中から吹き寄せられる街。テロや暴力に苦しむ世界中の声が、パリの耳に響く。そこで出会ったのは、パキスタンから来た一人の男…。韓国随一の作家黄〓(せき)瑛は、89年、国禁を犯して北朝鮮に渡り、帰国後五年間、獄に投じられた。その後はパリ、ロンドンに居を移し、世界中を渡り歩いた。「パリデギ」はその経験を踏まえ、移民、難民の側から現代世界の苦しみ、哀しみを描いた小説である。
故郷への旅の途中で次々と現れる亡霊たち。彼らが呟くのは、半世紀前、朝鮮半島で起きた凄惨な戦争の生々しい姿である。それは南北米中の軍同士の戦いであっただけでなく、村人同士、隣人同士の血で血を洗う殺し合いでもあったーピョンヤン、ニューヨーク、ベルリンで実在の人物に取材し、ソウルの獄中で構想した、衝撃の小説作品。
その孤独で真っ暗な壁の中で、あなたは何を見つけましたか?一九八〇年代の軍事独裁政権の時代、政治犯として収監された男と、獄中の男へ宛てた手紙を残してこの世を去ったひとりの女の、暗い時代に咲いた切ない愛。現代韓国をリードする作家、黄〓暎が描く、80年代韓国民主化運動の青春。
あの時代を無名のまま生きた人々の堂々たる青春を、どうして忘れることができようか。一九八〇年光州民衆闘争ー。「みんなは光州での無慈悲な良民虐殺を見たり聞いたりしており、それは炎の時代である八〇年代の始まりだった」。軍事独裁政権の時代、民主化への道を模索しつづけた、「386世代」(現在30歳代で、80年代に大学生として民主化運動に関わった、60年代生まれの世代)の原点。