著者 : H・G・ウェルズ
アルフレッド・ポリーは貧しい商店主の家に生まれ、服地商の徒弟になる。父の遺産で自分の店を開いたものの倒産寸前。高嶺の花の少女にふられた反動で結婚した従妹の妻との仲もうまくいかず、ある決心をするー自宅に火を放って剃刀自殺をし、生命保険と火災保険を妻に遺して不毛な人生に幕を下ろすのだ、と。一九一〇年に発表された、ウェルズ中年期のコミック・ノヴェル。「SFの父」が自身の若き日を投影し、下層中産階級の苦悩をコミカルかつ哀切に描く。作家自ら、最愛の作品と認める自伝的長篇。人生の「おぞましい穴ぼこ」に嵌まり込んだ男の起死回生の物語。本邦初訳!
19世紀末、英国の町に隕石のようなものが落下した。墜落現場では巨大な円筒状の物体と中から得体の知れない醜悪な生き物が現れた。やがてそれは英国全土を巻きこんだ冷酷非道な侵略戦争へと広がってゆく…。支配する者とされる者の関係を描き、SFのひとつの原型を創ったH.G.ウェルズの不朽の名作を漫画化。
謎を秘めて妖しく輝く火星に、ガス状の大爆発が観測された。これこそは6年後に地球を震撼させる大事件の前触れだった。ある晩、人々は夜空を切り裂く流星を目撃する。だがそれは単なる流星ではなかった。巨大な穴を穿って落下した物体から現れたのは、V字形にえぐれた口と巨大なふたつの目、不気味な触手をもつ奇怪な生物ーー想像を絶する火星人の地球侵略がはじまったのだ! かつてジョージ・パルが映画化し、スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演で再度の映画化が果たされた傑作。初出誌〈ピアスンズ・マガジン〉の挿絵を精選、多数採録して贈る。訳者あとがき=中村融
火星人襲来!虫けらのように無造作に殺されていく群衆のパニックと悲劇的な惨事。そんな極限状態で発揮される勇気と真摯な祈りー。人間性への深い洞察で人類のエゴに警鐘をならし未来の希望を描ききる。今なお新しいSFの金字塔。瑞々しい最高の新訳でおくる決定版。
時空を超えることの出来る機械「タイムマシン」を発明したタイム・トラヴェラーは、80万年後の未来世界に飛ぶ。そこで見た人類の変わり果てた姿に、彼は衝撃を受ける。80万年後の世界、それは知力、体力が退化した地上種族・エロイと、エロイを捕食し光を恐れる地下種族・モーロック、この2種族による原始的な階級社会であったー。最新のVFXによって完全映像化されたSF小説の金字塔「タイムマシン」を含む、ウェルズの傑作短編集。