著者 : H・G・ウェルズ
三百年余の長い眠りから目覚めた男が、23世紀の未来世界で見たものはーー H・G・ウェルズのディストピア小説を、黒岩涙香が翻案した名作が、現代かな遣いによる読みやすい形で復刻! 明治末期〜大正初期のSFマインドを知る、貴重な1冊。 西暦2230年、長い眠りについていた男が目を覚ました。三百年後の社会はテクノロジーによって一変し、彼自身は地上の土地をすべて所有する皇帝となっていた! だが、そこは理想の国ではなかった。政治闘争にくすぶる革命の機運と、人びとに迫る危機を知った彼は、二十世紀人の覚悟をもって命がけの行動に出るーー 科学技術への洞察と、人間社会への痛烈な批判を込めたH・G・ウェルズの名編を、作家に共鳴する黒岩涙香が大胆に翻案。『八十万年後の社会』(『タイム・マシン』翻案版)とならぶ、いまこそ注目のディストピア小説!【電子オリジナル版】
時間を旅する「航時機」を発明した博士は、はるか八十万年後の世界へ飛びたつ。そこは、華奢で美しい「人形人種」と、獰猛で危険な「土蜘蛛人種」とが棲みわける、奇怪な社会であったーー ウェルズの名作『タイム・マシン』を、原著刊行から二十年を経ずして日本に紹介した、黒岩涙香の『八十万年後の社会』が復活! 19世紀末、科学文明発達のかげで貧富の格差が増大する社会への批判もこめて、奔放な想像力で書かれたH・G・ウェルズの『タイム・マシン』。 この名作は、遠く日本で、やはり経済と科学万能の世を慨嘆する黒岩涙香の目に留まる。『噫無情』『鉄仮面』等、さまざまな名作を紹介してきた涙香は、『タイム・マシン』を『八十万年後の社会』と題して翻案する…… SFの古典的名作をいきいきと訳述した涙香の名調子をそのままに、現代かな遣いで読みやすく復刻。【電子・PODオリジナル版】
百年を経ても心揺さぶる、自伝的長篇 アルフレッド・ポリーは貧しい商店主の家に生まれ、服地商の徒弟になる。父の遺産で自分の店を開いたものの倒産寸前。高嶺の花の少女にふられた反動で結婚した従妹の妻との仲もうまくいかず、ある決心をするーー自宅に火を放って剃刀自殺をし、生命保険と火災保険を妻に遺して不毛な人生に幕を下ろすのだ、と。 『タイム・マシン』『モロー博士の島』『透明人間』『宇宙戦争』などの小説で「SFの父」と称されるウェルズだが、フェビアン協会に参加し、国際連盟の提唱、人権の遵守、英国の社会問題に取り組んだ社会活動家でもあった。 1910年に発表された本書は、徒弟身分の苦労を描いた『キップス』同様、自身の若き日を投影し、下層中産階級の苦悩をコミカルかつ哀切に描いている。人生の「おぞましい穴ぼこ」に嵌まり込んだ男の起死回生の物語であり、作家自ら、最愛の作品と認める自伝的長篇。 英『ガーディアン』紙は本書を「古今の名作小説100」に選出し、ウェルズを主人公にした伝記小説『絶倫の人』を書いたデイヴィッド・ロッジは、ウェルズ作品のトップ・テンに選んでいる。
19世紀末、英国の町に隕石のようなものが落下した。 墜落現場では巨大な円筒状の物体と中から得体の知れない醜悪な生き物が現れた。 やがてそれは英国全土を巻きこんだ冷酷非道な侵略戦争へと広がってゆく……。 支配する者とされる者の関係を描き、SFのひとつの原型を創ったH.G.ウェルズの不朽の名作を漫画化。
謎を秘めて妖しく輝く火星に、ガス状の大爆発が観測された。これこそは6年後に地球を震撼させる大事件の前触れだった。ある晩、人々は夜空を切り裂く流星を目撃する。だがそれは単なる流星ではなかった。巨大な穴を穿って落下した物体から現れたのは、V字形にえぐれた口と巨大なふたつの目、不気味な触手をもつ奇怪な生物ーー想像を絶する火星人の地球侵略がはじまったのだ! かつてジョージ・パルが映画化し、スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演で再度の映画化が果たされた傑作。初出誌〈ピアスンズ・マガジン〉の挿絵を精選、多数採録して贈る。訳者あとがき=中村融
タイム・トラベラーが冬の晩、暖炉を前に語りだしたことは、巧妙な嘘か、それともいまだ覚めやらぬ夢か。「私は80万年後の未来世界から帰ってきた」彼がその世界から持ちかえったのは奇妙な花だった……。