著者 : T.ジェファソン・パーカー
1968年10月、カリフォルニア州南西部の都市タスティン。オレンジの出荷工場の廃屋で、頭を切り落とされた若い女性の死体が発見され、保安官事務所の部長刑事ニック・ベッカーは現場に急行した。被害者が誰かを知って、ニックは愕然とする。子どもの頃から知っているジャニル・ヴォンだったのだ。愛らしかったジャニル、ミス・タスティンにもなった彼女がなぜ?現場には新聞記者として活躍するニックの弟アンディも駆けつけていた。容疑者として、現場近くにいたホームレスの男が捕らえられたが、その取り調べをするかたわら、ニックは別の手がかりを求めて捜査を始める。この事件は、彼が初めて指揮をとる殺人事件だった。一方、アンディも独自に調査を開始した。やがて、ジャニルが麻薬捜査に関わっていたことや、妊娠していたことなどが判明し、事件は複雑な様相を呈し始める。ニックとアンディは、牧師である長兄のデイヴィッドの助力を得て、時に協力しあいながら、込み入った人間関係を調べていく。そして、ある人物が有力な容疑者として浮かんでくるが…。変動する1960年代のカリフォルニアを背景に、兄弟の絆、家族の崩壊、男女の愛憎を情感豊かに描き出す。『サイレント・ジョー』に続き、二度目のアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞した俊英の感動作。
赤ん坊の頃、実の父親から硫酸をかけられ顔に大火傷を負ったジョーは、施設にいるところを政界の実力者ウィルに引き取られた。彼は愛情をこめて育てられ、24歳になった今は、保安官補として働いている。その大恩あるウィルが、彼の目の前で射殺された。誘拐されたウィルの政敵の娘を保護した直後のことだった。ジョーは真相を探り始めるが、前途には大いなる試練が…アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞に輝く感動作。
女性記者レベッカが射殺された。彼女の「婚約者」と「恋人」は容疑者を突き止めるが、その人物は元FBI捜査官だった。狂信的な秘密組織を率い、「自由の砦」に住む男のもとに潜り込んで復讐の機会を狙う「恋人」は、仇の娘を愛し始めるー夢のように美しい大地を舞台に、追憶と哀愁が全篇に漂う傑作サスペンス。