ジャンル : ミステリー・サスペンス
実業界の大物、相川操一の娘、珠子は東京で一二を競う美貌の持ち主、そしてその兄、守は探偵好きの大学生だった。だが、その平和な家庭にある日突然、災いが降りかかってくる。大女優、春川月子を惨殺した「赤いサソリ」が、魔の手を珠子に伸ばしてきたのだ。神出鬼没の殺人鬼に対する名探偵三笠竜介は、しかし再三、敵に苦汁を呑まされる。果たして、最後に笑う者はどちらか?
ジム・ピアーズが犯人だ。誰もがそう考えた。男とセックスしている現場を目撃され、さらにはそのことを両親にばらすと脅されたあのウェイター助手が、数週間後、相手の殺害に及んだに違いない。だが、弁護を依頼されたわたしが見たものは、昏い欲望が螺旋を描く、異様な事件の真相だった…。好評『このささやかな眠り』に続いて弁護士リオスの闘いを活写する、待望の第二弾。
ここロベリア・フォールズではアーチェリーが盛ん。その朝、秘書代行サービス業を営むディタニーも矢筒を背負って散歩に出かけたのだがー、突如一本の矢が風を切り、目の前の木に深々と突き刺さった。発射されたあたりに行ってみると、町の水道課長が矢で射殺されている。ディタニーは、ぼやきながらも素人探偵を始めるが…。マクラウドが別名義で贈る奇抜でにぎやかな新シリーズ。
あれから一年が過ぎた。マクレアリとは別居したまま。彼の記憶は大部分が回復したとはいえ、自分と過ごした数年間についてはまだ曖昧だ。その間の記憶が完全にもどれば、ふたりの仲はまた元どおりになる。そう信じていたときもあった。でも、男と女はそんな単純なものじゃない。それがいま、クィンには痛いほどわかっていた。もう、わたしたちは終わり…。ある日、友人夫婦からふたりにカヌー旅行の誘いがかかった。仲をとりもとうという気づかいらしい。しぶしぶ誘いを受けたクィンだったが、この旅が狂気に満ちた事件の幕開けになろうとは、知る由もなかった。シリーズ第五弾。
3000年以上を生きてきたハンノはさまざまな偽名を駆使して世界的な企業を経営し、その情報網を使って各地に隠れひそむ不老不死の仲間を集めようとしていた。さらには不老不死の秘密を解明するために研究所を設立する。だが、ハンノの正体に不審をいだいたアメリカの上院議員モリアーティが、ハンノの身元調査を始めていた。新たなる世界を探し求める不老不死の人々の波乱にみちた冒険を、巨匠が雄大に描く傑作、堂々完結。
ガブリエルのもとにその手紙が届いたのは、聖アン祭の朝のことである。英国国教会の神父として完璧な人生を送る彼に、匿名の差出人は、過去のある事件を材料に聖職を放棄するように迫っていた。苦悩のあげくガブリエルは昔の恋人に助けを求めるが、調査の途上、事態は謎めいた変死事件へと発展した…。皮肉と悲しみ、そして生と死の交錯が感銘を呼ぶ、大型新人のデビュー編。
偶然手に入れた歌川広重の浮世絵が、敏腕TVプロデューサー朝比奈に過去の事件を思い出させた。十数年前、旧長浜駅舎で広重の原板が発見されたが、数日後に偽物との鑑定が下ったのだ。入手した浮世絵は、その一件と関わりを持つものではないか?朝比奈はディレクターの金井恵実と旅番組の取材をかねて、記念館となっている旧長浜駅舎を訪ね、殺人事件に巻き込まれるが…。
グラスが二つ載ったテーブルを挾み、対峙する二人の男。夏の末以来、塩の湯A旅館に居つづけの湯治客だ。それぞれの懐に自殺の遺書を用意し、どちらかに毒の入ったグラスをあおって、生き残ったほうが美しい未亡人を手に入れよう、という奇妙で恐ろしい決闘の真っ最中だった。無気味な唇のない骸骨男の飽くなき執念が、奇々怪々な事件を引き起こす。明智と吸血鬼の壮絶な闘い。
クリスマス休暇を得たマドックは、コンドリック一族のクリスマス・パーティに参加することになった。シャルール湾に臨むお屋敷で宴はにぎやかに進んだが、そのさなか、一つの死体が発見される。これは自然死?いや、入れ歯が紛失して二、三時間後に、その所有者が死亡するなどという偶然のあろうはずがない…。ユーモアと謎解きの興趣あふれる、マドック&ジェネット第二弾。
静まり返った森の一画で、二体の黒焦げの人骨が発見された。司法歯科医による鑑定の結果、かたや中流階級、かたや下層階級出身の少女の骨らしいことが判明する。おそらくはかけはなれた人生を送っていたはずのふたりの少女。それが、どうして同じ場所で、こうした最期を迎えることになったのか?デッカー刑事の悪戦苦闘の日々が始まる。好評『水の戒律』に続く迫真の第二弾。
ベーカー街に奇妙な依頼人が訪ねてきた。年齢不詳のその男は、一年前の嵐のクリスマス・イヴ以来、甥が行方不明なのだと訴える。興味を持ったシャーロック・ホームズは現場に赴くが、そこに待っていたのはなんとも意外な事態だった…。文豪ディケンズが遺した未完の書『エドウィン・ドルードの謎』の真相に名探偵ホームズが挑む。絶妙の着想が光る、異色の贋作ホームズ譚。
1976年5月。8月の民主党全国大会で副大統領候補に推されるはずの上院議員が、行方不明のわが娘を捜し出してほしいと言ってきた。期限は大会まで。ニール・ケアリーにとっての、長く切ない夏が始まった……。元ストリート・キッドが、ナイーブな心を減らず口の陰に隠して、胸のすく活躍を展開する! 個性きらめく新鮮な探偵物語。
心優しい筆致がうれしいミステリ界の人気者シャーロット・マクラウド、本書はそんな彼女が人生の哀歓をさりげなく謳った、軽妙多彩な短編集。セーラさえ知らないマックスの本業の実態とは…?爆笑編「帰り途」、マッドな科学者によるタイムマシン発明譚「時間誘拐」、哀しくも美しい不義の恋を描く「パタレイ夫人の恋人」など、いつでもどこでも楽しめる物語の玉手箱をどうぞ。
故国ガルキスで待つ父王の死を知らされたケリシュとフォロルキン。旅の途中でめぐりあった従妹のグエラスを加え、一行は、次なる魔人のもとへと旅を急ぐ。第四の魔人が待つ砦は、さまざまな罠が仕掛けられた奇怪な迷宮である。そして再びガルキス船に乗って海を渡り、どんな船も近寄れないという呪われた国〈死の王国〉ロアクへと向かうが?好評の異世界ファンタジイ第三弾。
時は未来。限定核戦争後の米国で一人の青年が私立探偵の看板を掲げた。待望の依頼人が現われたのは、うすら寒い十二月のある日。持ちこまれたのはとてつもなく風変わりな内容の相談だった。自らをさる生物学者のクローンと信じる依頼人は、その生物学上の父親を捜し出したいというのだ…。夢と現実の狭間に揺れる若者の葛藤、そして成長。胸がつまる青春ハードボイルドの逸品。
好評を得た『シャーロック・ホームズの秘密ファイル』につづいて気鋭の女流が贈る、正調贋作第二弾。ミュージックホールを舞台にした不可能犯罪物「ハマースミスの怪人」、若き日のホームズが潜入捜査を敢行する「ロシアの老婦人」、ハメルンの笛吹き男を名乗る人物が英国全体を人質にとる「スマトラの大鼠」など、ホームズ譚の妙趣を心ゆくまで味わえる、謎と推理の一級品。