ジャンル : ミステリー・サスペンス
情報屋のケンドリックから数枚の写真を見せられたのは、八月の暑い盛りのことだった。上院選立候補中の議員がSM行為?ウェルズは慎ましく情報提供の申し出を断ったが、翌日ケンドリックは死体となって発見された。失職の危機に瀕したウェルズは、職業生命を賭けて卑しき街をさ迷うが…。夏の終わりに、彼が到達した真実とは?アメリカ探偵作家クラブ最優秀ペイパーバック賞に輝く第三弾。
人類だけが常に地球の主だったわけではない。そう、今もなお〈旧支配者〉は世界の何処かに潜み、虎視眈々とわれわれを狙っているーH・P・ラヴクラフトが生みだした〈クトゥルー神話〉。本書は、あのコナンの生みの親がおくるクトゥール神話傑作短編集である。表題作をはじめ、「妖蛆の谷」「獣の影」「闇の種族」「大地の妖蛆」「鳩は地獄から来る」など全十三編を収録した。
兄が死んだのは、ぼくが十三のときだった。線路を渡ろうとして転び、第三軌条に触れて感電死したのだ。いや、それは嘘、ほんとはぼくが…。ぼくは今、ウィーンで作家活動をしている。映画狂のすてきな夫婦とも知り合い、毎日が楽しくてしかたない。兄のことも遠い昔の話になった。それなのにーキャロルの作品中、最も恐ろしい結末。決して誰にも、結末を明かさないで下さい。
女帝オリアナの突然の崩御の報せは、銀河全域を震撼させた。領域に覆権を争う九つの貴家は俄然色めきたつが、故人の遺言状は思いがけぬ人物を後継者に指名していた。ケイラ・ルノーー。女帝の庇護のもとにあった一介のギルドマスターにすぎない。だが野心と才気に満ちたこの若者は、異をとなえる貴家に対等に互して、帝国を自らの手中に収める決意だった。絢爛たる銀河エピック。
どこからともなく供給される麻薬、物質Dがアメリカ中に蔓延していた。覆面麻薬捜査官アークターは、捜査のため自らも物質Dを服用、捜査官仲間にも知らさずに中毒者のグループに潜入し、彼らと日々を共にしていた。だがある日、彼は上司から命じられる。盗視聴機を仕掛け、アークターという名のヤク中をー彼自身を監視せよと。彼はその命令に従うが…。ディック後期の傑作。
イスラエルへの支援を完全に打ち切るまでは、石油の供給を50パーセント削減する。サウジアラビアの新石油・経済相タファクのこの通達は、欧米各国をパニックに陥れた。しかも追い打ちをかけるように、彼は恐るべき計画を押し進めていた。英国の巨大オイル・タンカーを核爆弾を盾に乗っ取ろうというのだ。マクリーンと並ぶ英国の雄が贈る迫真の冒険小説。
「マックス!鱈を失くしちまった!」ジェム伯父がわめいた。由緒正しい〈大鎖〉を着け、新会長として浮かれ鱈同志の会に臨んだというのに、席上、その鎖が忽然と姿を消してしまったのだという。かくして、セーラとマックスは新婚早々真相究明に駆り出される羽目となったが、ことはまだ序の口、捜査のためもぐりこんだクリスマス・パーティでさらなる事件が…。好評第五弾。
大道芸で日銭を稼ぐわたしの前に、以前いかさま読心術を演じて苦杯をなめさせられた男、オズボーンが現れた。ある女子大生がキャンパスから拉致されたのだが、父親が有名超能力者に捜索を依頼したところ、その人物はオズボーンそっくりの人相特徴を犯人のものとして透視したのだどいう。かつての仇敵のためひと肌脱ぐ羽目となった失業奇術師コルダーウッドの活躍。好評の第三弾。
ケインーそれは永年、人々の間で悪魔のごとくその名を囁き交わされてきた死と破壊の化身。そして彼の行くところ、必ず戦乱が巻き起こる。この時代にもまた1人、ケインの並みはずれた力を求める者がいた。ソヴノス帝国の覇者マリルに復讐を誓う妖女エフレルが、傭兵将軍として彼を召喚したのだ。米国幻想文学界の重鎮が描く、波乱万丈の本格ヒロイック・ファンタシー、堂々登場。
シティ選出の下院議員が死体となって発見されたのは七月深夜のこと。事故死であることは明らかと見えたため、検視解剖の手続きは省略されたが、葬儀当日、担当検視官のもとに一通の書簡箋が届くー。“われらが下院議員殿。あれはほんとうに事故だったのだろうか?”様々な思惑入り乱れる中、密命をうけ調査を開始した市警察のブラッグ部長刑事とモートン巡査。時代ミステリ第二弾。
海辺の小さな町に、あのカーニヴァルがやってきた。十二年ごとにめぐりくる〈夏至〉のはじまりだ。巨人の靴が流れ着き、人魚のような生き物が釣りあげられ、ネズミの仮面をつけた小人が走り去る。それは〈夢の国〉が立ち現われる時間、そして少年たちの冒険の季節。過去と現在と未来がひとつになるとき、彼らは…。世界幻想文学大賞作家が贈る。現代マジカル・ファンタジィ。
至高神ゼルディンの血をひく一族が統治する黄金の国ガルキス。その磐石の治政が今ゆるぎつつあった。このとき大司教イゼドンは古来の予言に則り、まだ若き第三王子ケリシュに密命を授ける。太古にゼルディンと契約を交わし、不死を手に入れた七人の魔人から七つの鍵を手に入れよ、と。異母兄の従者フォロルキンと共に一路故国を後にした彼の行手には?ファンタジイ四部作開幕。
核活動を停止させる〈核の毛布〉の発明は、人類に苛酷なエネルギー危機をもたらした。全世界が疲弊し、人々が科学よりも糧を求めた結果、科学者たちは社会から追放された。だがそんな時代にも、星空に耳を傾けることを忘れない一人の天文学者がいた。そしてある日、彼ができあいの個人天文台で受信した天空からの信号は、人類をふたたび宇宙へ船出させる切符となったのである。
人類は極秘裡に、全地球的組織〈パンゲア・コンソーシアム〉を結成していた。彼らは、刻々と太陽系に接近してくる〈送信者〉を出迎えるため、地球軌道上でまったく新しい駆動システムのコンタクト用宇宙船の建造にとりかかる。大宇宙を、ふたたび人間の手に取り戻すのだ。やがて、人類の誇りを賭けた一大プロジェクトは、人類初の恒星間宇宙船を発進させた。迫真の近未来SF。
マンハッタンにその年最初の雪が舞った夜、ウェルズは一人の著名な海外通信員に出会った。何やら奇妙な連帯感を覚えたあげく、ホテルまでつきあい、つぶれるまで呑んだが、翌朝、相手は謎の闖入者の手で殺されてしまう。酩酊して耳にしたエレノアという名を手がかりに、通信員の過去に分け入る敏腕記者ウェルズー。彼が見た、愛と裏切りの記憶とは?傑作ハードボイルド第二弾!
今なお読者を魅了してやまない名探偵シャーロック・ホームズ。彼こそ名探偵の代名詞でありミステリ史上最大のヒーローである。本書は気鋭の英国女流がこの不世出の天才を甦らせたファン必読の傑作集。傘をとりに戻ったきり一切の消息を絶った給仕の秘密から、厳重な監視下ドイツに国家機密を流さんとする天才科学者の奇策まで、胸躍る七つの冒険を収めた贋作ホームズの決定版。
その都市の名はスリン。巨大な〈壁〉を周囲に巡らせて自らを封じこめ、住民たちは幾世代にもわたり外の世界に出ることがなかった。そしていま、腐敗と堕落に蝕まれたスリンは崩壊の瀬戸際にある。ついにある日、二人の青年貴族が〈壁〉を越えた。はるか彼方に聳える聖なる山で、救世主が神の帰還を待ち受けている、そんな伝説の真偽を確かめるために。ハイ・ファンタジィ巨編。
無頼の宇宙船乗りヨアヒム・ボアズは、哲学者コロネーダーたちの手で身体改造された一種の超人だった。彼と機能的にリンクされた「船」とともに宇宙を渡るポアズの目的はただひとつ…。この宇宙は、定められた輪をたどるように、幾度も同じ時を繰り返してきた。その円環構造に楔を打ち込むこと。横溢するアイデアで読者を自在に翻弄する、鬼才のワイドスクリーン・バロック。