ジャンル : ミステリー・サスペンス
たった一人の妖術師の騙し討ちにあい、一族を滅ぼされたアルドリック。生れ育った城も妖術師の手におち、執拗に命を狙われる。だが隠遁した大魔術師に救われて、彼は復讐を誓った。国家間の覇権争いの背後で蠢く企みとは。彼の行く手を阻むのは、五百年の時を越えて甦える今一人の妖術師、次々と繰り出される異形の化物、むくむくと身を起こす死人たち…剣術と魔術の大合戦。
妻のヘレンがひらいた女ばかりのパーティを逃れて、シャンディ授業はメイン州の海岸地帯にやってきた。目当ては名高き巨大ルピナスの観察。この世のものとも思えぬ咲きっぷりに仰天するシャンディだったが、二日めの夜、宿屋の食堂で思いがげない事件が突発する。えらそうに最後のチキン・ポット・パイをかきこんでいた男が青酸カリで毒殺されてしまったのだ。
推理作家同士が果たし合いを。新進作家佐々環が先輩作家若狭いさおを批判したことから、両者は剣呑な間柄となり、とうとう決闘宣言に。心配した編集者たちが小島にある若狭の別荘に駆けつけてみると、密室状態の室内で絶命している若狭を発見した。犯人はやはり佐々なのだろうか。二人の書いた短編ミステリを作中作として織り込むという趣向も楽しい、著者会心の長編推理小説。
「困っちゃった、わたし、人を殺したの」結婚するから別れて欲しい、と言われ、かっとなって相手を突き飛ばしたところ、打ちどころが悪くて死んでしまった、という友人の告白を聞き、内縁関係にある女性で結成したグループの面々が架空の犯人をでっち上げたまでは良かったが、いないはずの人物に瓜二つの人間が実在したから話は混沌として…。予断を許さぬ展開と意外な結末。
その朝教室に入っていったわたしは、数学教師エヴァンズの他殺死体を発見した。格別つきあいのなかった彼がなぜこの早朝わたしの教室で殺されていたのか。まもなく、かつての教え子だったエヴァンズの息子が、時を同じくして姿を消していたことを知らされ、わたしは事件の深みに踏み入ることに…。シカゴ郊外のハイスクールを舞台に、ゲイの英語教師が見た現代の悲劇とは。
山奥に武家屋敷さながらの旧家を構える会社社長が、まさに蟻の這い出る隙もないような鉄壁の密室の中で急死した。その被害者を取り巻く実に多彩な人間たち。事件の渦中に巻き込まれた計理事務所所員の主人公は、果たして無事、真相に辿り着くことができるだろうか。本書は、不可能状況下で起こった事件を、悠揚迫らざる筆致で描破した才人天藤真の、記念すべき長編デビュー作。
開館の準備が進む博物館で、任命されたばかりの館長さんが墜死するという椿事が発生した。あやまって屋根裏部屋から落ちたのかと思いきや、窓が小さくてそれは無理。ならば屋根に登って飛び降り自殺を決行したのか。ところがどっこい、故人は高所恐怖症だったらしく…。摩訶不思議な事件をむこうにまわしてディタニーが大活躍。マクラウドが別名義で贈る、好評ユーモア第二弾。
軍楽隊の演奏が山場にさしかかったとき、ふいにトロンボーン吹きの軍曹が射殺された。数日後、今度は同姓の大佐が墜死を遂げる。曰くありげなこの事件に挑むのは四人。新聞記者、詩人、弁護士、中国人ーいずれ劣らぬ個性派が、ドミノの卓を囲みながら謎の核心に迫っていく。革命の記憶さめやらぬ1922年のメキシコシティを舞台に男たちの闘いと友情を活写するユニークな冒険譚。
殺人の疑いのある死に際会した場合、検視審問を要求すべきか否か。とある料理屋でピーター卿とパーカー警部が話し合っていると、突然医者だという男が口をはさんできた。彼は以前、診ていた癌患者が思わぬ早さで死亡したおり検視解剖を要求したが、徹底的な分析にもかかわらず殺人の痕跡はついに発見されなかったのだという。奸智に長けた殺人者を貴族探偵が追いつめる第三長編!
うちのニワトリ小屋を荒らしているやつがいる。ショットガンを手に飛びこんだ農夫の前に、そいつが立ちはだかった。巨大な爬虫類のような頭部、鋭い鉤爪のついた前肢、太く長い尻尾。デイノニクス、はるか太古に滅びたはずの恐竜。やがて、次々に現われた恐竜たちはイギリスの片田舎の町を襲いはじめた…彼らは、いったいどこから。正真正銘、恐竜パニック小説の決定版。
なにか、おかしい。壁にかかった懐かしいこの写真も、愛読していたベッドの上のこの本も、覚えてるのとは違ってる。まるで、記憶が二重になってるみたい。そう、ことの起こりはたしか十歳のとき。大きな屋敷にまぎれこんだら葬式をやってて、そこでひょろっとした男の人、リンさんに出会って、そして、なにかとても恐ろしいことが始まって…少女の成長と愛を描く現代魔法譚。
クリスマス・タイム。わたしはある高級レストランのオーナーから店の警備状況を調べるよう依頼を受けた。零下15度のなか敢行した調査がもたらしたものは、凍えそうな子猫と、ゴミ缶を漁る牧師との出会いのみ。あっさり首を切られたわたしだったが、数日後依頼人射殺の報が届けられた…。事件の裏に見え隠れするホームレスの影。モノクロームの街に探偵が見た、衝撃の真実とは。
雲や虫など奇妙な写真を専門に撮影する青年カメラマン亜愛一郎は、長身で端麗な顔立ちにもかかわらず、運動神経はまるでなく、グズでドジなブラウン神父型のキャラクターである。ところがいったん事件に遭遇すると、独特の論理を展開して並外れた推理力を発揮する。作家・泡坂妻夫のデビュー作「DL2号機事件」など全8話を収録した。解説=権田萬治 ■目次 「DL2号機事件」 「右腕山上空」 「曲った部屋」 「掌上の黄金仮面」 「G線上の鼬」 「掘出された童話」 「ホロボの神」 「黒い霧」
夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々-江神部長や有栖川有栖らの一行を、予想だにしない事態が待ち構えていた。矢吹山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、一瞬にして陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われでもしたように出没する殺人鬼。その魔の手にかかり、ひとり、またひとりとキャンプ仲間が殺されていく…。いったい犯人は誰なのか。そして、現場に遺されたyの意味するものは何。
セントラル・パーク動物園で、レッサーパンダが殺された。現場に残された一枚の大きな羽根。やったのは猛禽類。刑事トリノの疑念は、女性鳥類学者アントニアの協力を得るうちに確信へと変わってゆく。そして、ついに人間の犠牲者が…。そのころ、一人の鷹匠が大都会をめざしていた。ブルンヒルト。妻と幼い息子の命を奪って逃げた狗鷲。刻一刻、宿命の対決が近づいていた。
傷ついた心を癒す旅に出た香島紀子は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。ロープを投げ、救いあげてくれた埴田晃二という青年とその夜結ばれるが、翌朝晃二の姿は消えていた。村祭で賑わう神社で、紀子は晃二がひと月前に殺されたと知らされる。では昨日、晃二と名乗っていた人物はだれか。読む者に強烈な眩暈感を与えずにはおかない泡坂妻夫の華麗な騙し絵の世界。
「ドルフから聞いてないんですね。施設の拡張計画のこと」セーラの従兄夫婦が創設した高齢市民リサイクル・センターに、下宿屋を付設し、困っているお年寄りに提供しようという企画が持ち上がった。ところがその折も折、センターの会員が殺され、所持していた紙袋からヘロインが見つかるという事件が発生する。一族挙げての探偵騒動が始まる中、セーラは出産寸前。好評第七弾。
キャットが殺された。喉を切り裂かれ、手首を切断されて。マクレアリがもっともかわいがっていた末の妹。ずば抜けた才能と天性の明るさで、舞台女優としての道を着々と歩んでいたのに…。悲しみと怒りを胸に秘めて調査を始めた夫のもとへ、クィンも幼い娘をかかえて駆けつけた。だが事件は、兄も知らない妹の、秘められた素顔まであぶりだしてしまった。シリーズ第七弾。