ジャンル : ミステリー・サスペンス
合衆国の陸軍基地で奇妙な事件が続発した。何人かの従軍僧が姿を消し、ついで兵士たちがゾンビーと化した。宗教の力でアメリカ軍をわがものにせんとする伝道者とレモの対局。
徹夜の訊問明けに舞いこんだ手紙を読んで、ウェクスフォード首席警部は怒りに震えた。十六年前にヴィクターズ・ピースという名の屋敷で発生した女主人殺し。初めて担当した殺人事件ながら、彼が絶対の自信をもって解決したこの事件に、手紙の主である牧師は真っ向から疑問を投げかけたのだ! 過去の殺人をめぐる意外なドラマを鮮やかな筆致で描いた、レンデル初期の傑作長編。解説=都筑道夫
悪徳警官狩りを専門としたデトロイト市警保安特捜隊、人呼んで〈ヘッドハンターズ〉。銀行強盗のショットガンの犠牲となって死んだのはその一員、襲撃したのはヘロイン中毒の黒人三人組だった。数あるヒーロー・ペイパーバックの中でも、極め付けの残酷シーンで知られる本書は、大都市の暗部をハードボイルド・タッチで描破したアクション巨編。
密室状態での恋人の死に始まり、その調査を依頼した素人探偵まで、衆人環視のもとで殺された蓑浦は、彼に不思議な友情を捧げる親友諸戸とともに、事件の真相を追って南紀の孤島へ向かうことになった。だが、そこで2人を待っていたのは、言語に絶する地獄図の世界であった…!『パノラマ島奇談』や『陰獣』と並ぶ、江戸川乱歩の長編代表作。
純日本的な家屋における密室状況下の殺人事件を、心理的盲点を衝いて見事に解決してみせるのが、後にわが国を代表する名探偵といわれるようになった明智小五郎である。本書には、その「D坂の殺人事件」をはじめ、大乱歩の短編における傑作を集大成した。「赤い部屋」「白昼夢」「毒草」「火星の運河」「お勢登場」「虫」「石榴」等全10編を収録した。
地球人技師アンドリュー・カーの搭乗する帝国籍航空機は突然の嵐に遭難、ヘラーズ山脈に墜落する。雪嵐の中、生死の淵をさまよう彼の前に、いざなうように現われる少女の幻影…。その頃、7大家系のひとつ、ライドナウ家のデーモンは、オルトン家の所領へと急行していた。ひとりの〈監視者〉が失踪したというー少女の名を、カリスタといった。
アンという女が殺された。犯人はジェフ・スミスだーそんな匿名の手紙がキングズマーカム署に届いた。ウェクスフォード警部は調査を開始したが、死体さえ発見されない状況に困惑せざるを得ない。本当に殺人はあったのか?混迷する捜査陣の前に、やがて事件は意外な真相を明らかにする!巧みなプロットを駆使した、レンデル初期の傑作長編!
ケイスは、コンピュータ・カウボーイ能力を奪われた飢えた狼。だが、その能力を再生させる代償に、ヤバイ仕事をやらないかという話が舞いこんできた。きな臭さをかぎとりながらも、仕事を引き受けたケイスは、テクノロジーとバイオレンスの支配する世界へと否応なく引きずりこまれてゆく。話題のサイバーパンクSF登場!
犬、猫、駱駝(らくだ)、象、鼬(いたち)、……。彼らが人を殺してしまったのには、やはりそこにいたるまでの事情というものがあったのです。最新式の養鶏場を舞台に悲劇と狂気が描かれる「総決算の日」、滑稽にしてブラックな、少年の日の物語「ハムスター対ウェブスター」など、13種類の動物たちの物語を収録。毒とユーモアの組み合わせが、ハイスミスならではの独特の妙味を生み出す傑作短編集。
百万年の昔、故障を起こした異星の自動工場宇宙船が土星の衛星タイタンに着陸し、自動工場を建設しはじめた。だが、衛星の資源を使ってつくった製品を母星に送り出すはずのロボットたちは、故障のため独自の進化の道をたどりはじめたのだ。いま、タイタンを訪れた地球人を見て、彼ら機械生物は? ホーガンSFの真髄! 訳者あとがき=小隅黎
あのH・P・ラヴクラフトが多大な影響を受けた鬼才ホジスンは、異界への憧憬と恐怖を大海原に求めた。本書には、闇の海から聞こえる奇妙な声が、キノコに覆われたとある島の怪異を語る傑作「夜の声」をはじめ、死の海サルガッソーや海に浮かぶ石の船、さらにはカビに?みこまれた廃船などにまつわる海洋奇譚全七編に、〈カーナッキ〉シリーズの先駆「水槽の恐怖」を併録した。
火星開発を司る〈カンパニー〉は、入植者たちの実情を無視した強引な植民計画を立案した。実施されれば、多数の死者が出ることはまちがいない。計画を知ったジムとフランクは、これをを阻止せんと奔走し入植者たちの決起を促(うなが)す。だがカンパニーの対応は素早く、彼らは学校の建物に追い込まれ、包囲されてしまった! 局面打開の方法はあるか? 巨匠ハインラインの初期名作登場。解説=高橋良平
手違いで惑星基地から締めだされた探検隊の一員。融通の利かないロボットを言いくるめなければ命が危うい。彼のとった奇策とは? 表題作ほか、気弱な男の突拍子もない人格改造術「コードルが玉ネギに、玉ネギがニンジンに」、大戦以後失われた文学の〈記憶〉を売る男と村人の交流を描く「記憶売り」など、黒いユーモアとセンチメントが交錯する、奇想作家の佳作16編。
証券業界の大立者ハリスンの持ち船、シグニット号の船室は密室状態だった。ベッドではハリスン本人が死んでいる。死因は炭酸ガスによる中毒。ベッド脇のテーブルには、ガスの発生源となる塩酸入りデカンターと大理石の入ったボウルが載っていた。フレンチ首席警部の入念な捜査の結果、事件は自殺の線が濃厚になる。だが……。企業ミステリの先駆者でもあるクロフツ、渾身の力作! 解説=紀田順一郎
●都筑道夫氏推薦ーー「この本をもっと若いうちに読んでいれば、結婚なんかしなかったのに。」 エミール七十三歳、マルグリット七十一歳。再婚同士だった二人が式を挙げて八年、会話が途絶えてから四年になる。相手の存在を痛いほど意識しながら互いに無視しあい、一つ屋根の下で際限のないゲームに飽かず興じる。理解しがたいようでいて妙に頷ける夫婦の執念。屈折した愛と呼べなくもない二人の駆け引きは、飼い猫の死に始まった。訳者あとがき=三輪秀彦
空にはすさまじい赤光があった。イギリスは片田舎の山奥の、その赤光に燃えたつ古代ローマ人砦に独り遊ぶルシアン・テイラーは、作家になる夢を紡いで暮らしていた。だが、こんな田舎にいて何ができよう。夢に憑かれた彼は故郷をあとにする。牧神が逍遙する山々からサバトの街ロンドンへ……。一人の青年の孤独な魂の遍歴を描く、神秘と象徴に満ちた二十世紀幻想文学の金字塔。
〔ヒューゴー賞受賞〕第二次世界大戦が枢軸国側の勝利に終わってから十五年、世界はいまだに日独二国の支配下にあった。日本が支配するアメリカ西海岸では連合国側の勝利を描く書物が密かに読まれていた……現実と虚構との間の微妙なバランスを、緻密な構成と迫真の筆致で描いた、D・K・ディックの最高傑作!