ジャンル : ミステリー・サスペンス
老練の船長が体験した、あまりにもおぞましい晩餐会での出来事を語る「胸像たちの晩餐」、12人の求婚者から1人選んで結婚する毎に相手が死ぬという悲劇を繰り返す美女の物語「ノトランプ」、かつての惨劇の舞台であり、現在は観光名所となった《血の宿》に泊まった男女を見舞う絶体絶命の危機「恐怖の館」など、『オペラ座の怪人』で知られる文豪の手腕が発揮された恐怖綺譚集。
イングランドの町で引退した医師が失踪した。三分ほど前には、くつろいで新聞を読んでいる姿を妻が見ているというのに。誘拐か? それとも数日前、彼が密かに会っていた女性と駈け落ちしたのか? 彼が書いていた原稿とは何か? そしてまた失踪者が一人……。フレンチ警部が六十四の手掛かりをあげて連続失踪事件の真相を解明する。
何が起こるかだれにも予測できない謎の地帯、ゾーンーーそれこそ、地球に来訪し地球人と接触することなく去っていった異星の超文明が残した痕跡である。ゾーンの謎を探るべく、ただちに国際地球外文化研究所が設立され、その管理と研究が始められた。だが警戒厳重なゾーンに不法侵入し、異星文明が残していったさまざまな物品を命がけで持ちだす者たち、ストーカーが現われた。そのストーカーの一人、レドリック・シュハルトが案内するゾーンの実体とは? 異星の超文明が来訪したその目的とは? ロシアSFの巨匠が描くファースト・コンタクト・テーマの傑作
【星雲賞受賞作】 若き天才科学者クリフォードは、政府機関で統一場理論の研究を進めるうち画期的な成果をあげた。物質、電磁気力、重力の本質を解き明かしたのだ。この理論を応用すれば、宇宙のエネルギーを自在に操ることができる。これを究極兵器に利用できると判断した軍部は、非協力的な彼を辞職に追いやった。彼は私的研究機関で細々と研究を続けるが。巨匠作家の本格SF大作。星雲賞受賞。
シャーロック・ホームズを模して書かれた贋作、偽作の類は、天文学的な数字に上っている。中でもダーレスの創造したソーラー・ポンズは〈プレイド街のシャーロック・ホームズ〉といわれるほど生き写しのキャラクターだった。その全70編の作品中から、「アルミの松葉杖」「ファヴァシャム教授の失踪」等、聖典中の〈語られざる物語〉を取り上げた短編など13編を収録した。解説=戸川安宣
開拓時代のアメリカを舞台に、無法と悪に挑戦するアブナー伯父。彼は岩のような良識のかたまりで、厳格な篤信家──しかし、悪に対して忍従したりしない、軍神に仕える探偵であった。私刑に対し警鐘を鳴らす「私刑」をはじめ、「不可抗力」「ナボテの葡萄園」など特異な作風を誇る名作に加え、中編「〈ヒルハウス〉の謎」等作者生前の短編集に未収録の作品全編を収録している。
旅行社の社員ハリー・モリソンは、ある男から豪華船を用いたイギリス列島巡航の事業計画を聞かされ、協力を申し出る。紆余曲折の末、賭博室を設けた観光船エレニーク号がアイルランド沿岸の名所巡りを開始した。だが穏やかな航海は、モリソンが船主の死体を発見したことで終わり、事件捜査にフレンチ首席警部が名乗りをあげる。アリバイトリックの妙で読者を唸らせる傑作長編。
丸顔の、いかにも美食家然とした風貌の蔭に、鋭い直感力を秘めた犯罪捜査部顧問レジー・フォーチュン──クロフツ、クリスティと同年にデビューを飾った巨匠H・C・ベイリーの生み出したこの名探偵は、ホームズ時代の古き良き香りを残しながら、社会に向ける眼差しに新しい時代を感じさせ、来るべき風潮を予知する先取の才能をも秘めていた。「聖なる泉」等、傑作七編を収録する。
一九〇五年に「十三号独房の問題」でデビューした奇妙な超人探偵《思考機械》は、本名をオーガスタス・S・ F・X・ヴァン・ドゥーゼンといい、哲学博士PH.D.、法学博士LL.D.、王立学会会員F.R.S.、医学博士M.D.、 そして歯科博士M.D.S.──肩書と名前とでアルファベットのほとんどを使ってしまうという驚くべき人物である。 この第一集には、不可能興味溢れる傑作十一編を収録。 ■収録作品 「《思考機械》調査に乗り出す」 「謎の凶器」 「焔をあげる幽霊」 「情報洩れ」 「余分の指」 「ルーベンス盗難事件」 「水晶占い師」 「茶色の上着」 「消えた首飾り」 「完全なアリバイ」 「赤い糸」
第三次大戦後、放射能灰に汚された地球では生きた動物を持っているかどうかが地位の象徴になっていた。人工の電気羊しかもっていないリックは、そこで火星から逃亡した〈奴隷〉アンドロイド八人の首にかかった賞金を狙って、決死の狩りをはじめた! リドリー・スコット監督の名作映画『ブレードランナー』原作
十五歳の娘を抱え夫に先立たれたジュリアは、打算の再婚に踏み切った。愛はなくともチョールフォント荘の女主人として過ごす日々は、隣人との抜き差しならぬ恋によって一変する。折も折ジュリアの夫が殺され、家庭内の事情は警察の知るところとなった。殺害の動機または機会を持つ者は、ことごとく容疑圏外に去ったかに見えたが……。終局まで予断を許さぬフレンチ警部活躍譚。
●浅倉久志氏推薦ーー「アンソロジーはSFの華。選りぬきの秀作ぞろいの本書は極めつけの定番」 SF作家/評論家であると同時に、卓抜なアンソロジストとして知られるジュディス・メリル。本書は、彼女の名を不動のものとした年次SF傑作選から、さらに27編を選りすぐった、“傑作中の傑作”を収録した決定版アンソロジイである。上巻には、フリッツ・ライバー「跳躍者の時空」、ゼナ・ヘンダースン「なんでも箱」、デーモン・ナイト「異星人ステーション」ほか全11編を収録。