ジャンル : SF・ホラー
犠牲者ゼロの奇妙な自爆テロ事件がすべての始まり!?テロ現場に遭遇してから精霊が見えるようになった青年、探偵に憧れてテロの謎を探る少年、政府の安全保障シンクタンクに招かれた老経済学者、一大ガス市場詐欺を企むトレーダー、伝説の蜜漬けミイラ「蜜人」を探す美術商、ナノテク企業の売り込みと家宝探しに奔走する新米マーケッターの6人が、近未来のイスタンブールを駆け回る。キャンベル記念賞・英国SF協会賞受賞、魅惑の都市SF群像劇。
一攫千金を目前に窮地に陥るトレーダー。少年探偵はテロリストのアジトを突き止め、47年ぶりの元恋人のイスタンブール来訪に心揺れる老経済学者は、テロの真相に迫る。新米マーケッターはナノテクが世界にもたらす大変革を夢想し、美術商の蜜人探索行は帝都の秘史をあぶり出す。そして幻視能力を持った青年は、新たなテロ計画に巻き込まれ…魅力的な謎と矛盾に満ちた都市で、6人の行動は思いもよらない壮大な絵図を描き出す!
かめくんは自分がほんもののカメではないことを知っている。クラゲ荘に住みはじめたかめくんは模造亀。新しい仕事は特殊な倉庫作業。リンゴが好き。図書館が好き。昔のことは憶えていない。とくに木星での戦争に関することは…。日常生活の背後に壮大な物語が浮上する叙情的名作。日本SF大賞受賞。
アメリカ次期大統領候補の若き議員が、教会で眩い光に打たれ謎の死をとげた。議員には死霊が憑いていたとの話もあり、事態を重く見た政府はバチカンに調査を依頼。平賀とロベルトは、旧知のFBI捜査官ビル・サスキンスと共に、悪霊を閉じ込めているという噂のゴーストハウスに潜入する。そこでは、政財界の要人しか参加できない秘密の降霊会が開かれていて、さらに驚愕の事件が発生する。天才神父コンビの事件簿、第6弾。
2069年2月、19年間の人工冬眠から覚醒させられた英国陸軍の元兵士ビセサは、世界が驚くべき状況下にあることを知らされた。2042年に魁種族によって引き起こされた太陽嵐を、人類は壮大な計画を実行に移して、なんとか生き延びた。だが、その27年後、人類の文明を凌駕する知識と力をもつファーストボーンが新たな攻撃をしかけてきたというのだ。Q爆弾と名づけられたファーストボーンの武器は、何年も前に太陽系外から地球をめざして進みつづけており、21カ月後には地球に到達する予定なのだった。この非常事態に対処するべく、世界宇宙評議会などの組織が動きはじめていた。冷凍睡眠施設から出たビセサは、娘マイラとともに地球外をめざす。いっぽう、過去200万年の歴史上のさまざまな時代の断片がつなぎあわされている、もうひとつの地球ミールにある神殿でも、異変を告げる事件が起こっていた。ビセサが残していったフォンが呼びだし音を鳴らしはじめたのである。バッテリー切れを起こしていたはずのフォンに、いったいなにが起こったのか…?太陽系に住む人類を襲う苛酷な試練と、その苦難に立ち向かう人々の活躍、ふたたび旅だったビセサの壮大な冒険行を、英国SF界の新旧ふたりの巨匠が練達の筆致で描く長篇SF。巨匠クラークとバクスターが、『2001年宇宙の旅』に始まる“宇宙の旅”シリーズを新たな角度から描いた“タイム・オデッセイ”三部作、待望の完結篇。
美貌の科学者・平賀と、古文書と暗号解読のエキスパート・ロベルトは、バチカンの『奇跡調査官』。2人が今回挑むのは、1年半前に死んだ預言者の、腐敗しない死体の謎。早速アフリカのソフマ共和国に赴いた2人は、現地の呪術的な儀式で女が殺された現場に遭遇する。不穏な空気の中、さらに亡き預言者が、ロベルトの来訪とその死を預言していたことも分かり!?「私が貴方を死なせなどしません」天才神父コンビの事件簿、第2弾。
天才科学者の平賀と、古文書・暗号解読のエキスパート、ロベルト。2人は良き相棒にして、バチカン所属の『奇跡調査官』-世界中の奇跡の真偽を調査し判別する、秘密調査官だ。修道院と、併設する良家の子息ばかりを集めた寄宿学校でおきた『奇跡』の調査のため、現地に飛んだ2人。聖痕を浮かべる生徒や涙を流すマリア像など不思議な現象が2人を襲うが、さらに奇怪な連続殺人が発生しー。天才神父コンビの事件簿、開幕。
雷の季節に起こることは、誰にもわかりはしないー。地図にも載っていない隠れ里「穏」で暮らす少年・賢也には、ある秘密があったー。異界の渡り鳥、外界との境界を守る闇番、不死身の怪物・トバムネキなどが跋扈する壮大で叙情的な世界観と、静謐で透明感のある筆致で、読者を“ここではないどこか”へ連れ去る鬼才・恒川光太郎、入魂の長編ホラーファンタジー。文庫化にあたり新たに1章を加筆した完全版。
国民学校初等科に通う堀川真樹夫と中沢大吉は、ある時同級生の月ノ森雪麻呂から自宅に招待された。父は町で唯一の病院、月ノ森総合病院の院長であり、権勢を誇る月ノ森家に、2人は畏怖を抱いていた。〈ヘルビノ〉と呼ばれる頭部が蜥蜴の爬虫人に出迎えられた2人は、自宅に併設された病院地下の死体安置所に連れて行かれた。だがそこでは、権力を笠に着た雪麻呂の傍若無人な振る舞いと、凄惨な事件が待ち受けていた…。
すべては、若き古美術商アレックス・ベネディクトと、その相棒の美人宇宙船パイロット、チェイス・コルパスのところに持ちこまれた、ひとつのカップから始まった。一見したところありふれたカップだったが、コンピュータの解析によれば、およそ9000年前に造られたものと判明したのだ。しかもそこに描かれている古代文字から、抑圧的だった当時の地球を脱出してユートピアを築くべく出発したものの、その後消息を絶ち、いまでは伝説と化している宇宙船“探索者”の備品であることが確定したのである!もし、いまも銀河のどこかを漂っているこの宇宙船を発見できれば、巨万の富は約束されたようなものだ。しかも“探索者”が見つかれば、彼らが移住したといわれる植民星マーゴリアも発見できる可能性はきわめて高い。そうなれば、史上空前の大発見だ!かくて調査を開始したアレックスは、かすかな手掛かりから次々に新事実を手繰りだしてゆく。そしてアレックスの指示のもと、チェイスは愛機“ベルマリー”を駆ってリムウェイを飛び出し、テレパシー能力を持つアシユール人の惑星や、人類の故郷である地球にまで赴いて調査を続けるが…!?2007年ネビュラ賞最優秀長篇部門受賞作。
ー死ぬのか、俺はー!?生命をかけた熾烈な死の遊戯。生き残りたければ、勝つしかない!!ブレーキを踏むと囚われた幼なじみが処刑される。彼女を救うためには、時速100キロで走る車を操りながら、ブレーキを踏まずに20キロの死のコースを走りきらなければならない…。圧倒的な死の状況に強制的に巻き込まれた反逆者の運命はー!!絶体絶命究極の状況を5編収録。ノンストップ・サバイバル・ノヴェル。
子供たちは、大人になるために「呪力」を手に入れなければならない。一見のどかに見える学校で、子供たちは徹底的に管理されていた。いつわりの共同体が隠しているものとはー。何も知らず育った子供たちに、悪夢が襲いかかる。
八丁標の外に出てはいけないー悪鬼と業魔から町を守るために、大人たちが作った忌まわしい伝説。いま伝説が、「実体」となって町に迫る。新しい秩序とは、おびただしい流血でしか生まれないのか。少女は、決死の冒険に身を投じる。
数学者チューリングが基礎を築いた数学的魔術により、平行宇宙から魔物じみた異生物が侵入してくる怖れがあることが判明した。この魔術的災厄の防止を目的として、英国政府が設立した組織が“ランドリー”である。ボブ・ハワードはこの秘密組織の新米エージェント。初の現場任務は、アメリカからの帰国を希望する大学教授との接触だった。哲学教授で赤毛美人のモーは、自分では気づかぬうちにオカルト的国防にかかわる研究をしていたため、アメリカ政府から帰国を許されなかったのだ。たんなる調整だけの初級任務のはずだったが、中東系テログループに彼女が誘拐されたことから事態は一変する。SWATチームの突入により彼女は無事奪還されたが、テログループの目的は謎だった。リーダーらしき人物がドイツ語を話していたことから、背後にナチス・ドイツの魔術研究機関アーネンエルベとの関連も推測された。真相究明のため、ボブとモーの二人は、アーネンエルベの資料があるアムステルダムの残虐行為記録保管所へと向かうが…!?表題作「残虐行為記録保管所」と、その続篇で2005年ヒューゴー賞ノヴェラ部門受賞作の「コンクリート・ジャングル」の2篇を収録したSF+クトゥルー+スパイスリラー。
2019年、海洋工学の専門家ラッセルは、海軍提督ハリバートンから奇妙な仕事を依頼された。太平洋の深海で発見された謎の人工物を、軍や政府と関わることなく密かに調査したいというのだ。ラッセルは百万年以上も海底にあったと推測される卵形の物体を、サモア島に引き上げることに成功する。だがそれは、これまでに発見されたどんな物質よりも重い謎の金属でできており、いかなるドリルやレーザーを使っても、構造を調べるどころか、傷ひとつつけることができなかった…。やがて、謎の人工物発見のニュースは、ある人物をサモア島へと引き寄せることになった-どんなものにも自在にその姿を変えることができる異星人「変わり子」を。百万年前、ただひとりM22星団から地球へとやってきた「変わり子」は、これまでさまざまな海洋生物に変身して過ごしてきたが、1931年、はじめて陸にあがり、人間として生活を始めていたのだ。この物体が、曖昧になっている記憶を呼び覚まし、自らの出自を知る手がかりになると直感した「変わり子」は、若い女性に変身し、ラッセルの調査チームに入りこむ。だが地球にはもう一体、異星生命体-「カメレオン」が存在した。「彼」もまた、この人工物を自らのものにすべく…。2006年ネビュラ賞、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞に輝く、ノンストップSFアドヴェンチャー。
絶世の美女ヘレネをめぐって始まったトロイア戦争を戦っていたギリシア神話の英雄たちは、圧倒的な力をふるう神々に対してついに叛旗をひるがえした…これまで、地球化された火星のオリュンポス山の神殿に住む神々は、トロイア側あるいはギリシア側につき、英雄たちとともに戦争をしていた。その戦いは、まさにホメーロスの書いた『イーリアス』そのままの展開だった。だが、神々にナノテクで復活させられ、戦争の経過を観察させられていた学師ホッケンベリーの行動が、トロイア戦争を英雄たちの神々への挑戦に変えてしまったのだ。木星の衛星系に住む半生物機械モラヴェックたちは、地球化された火星近傍での量子活動異常の真相を探るべく、調査隊を送りこんだ。やがて、調査隊の一員だったエウロパ属のマーンムートとイオのオルフの活躍で、大挙して火星に到着したモラヴェックの援軍が、英雄たちと手を組み、ともに神々との戦いに挑んでいく。圧倒的な力を持つ神々と戦争をはじめたギリシア神話の英雄たちとモラヴェックの運命は…ローカス賞を受賞した『イリアム』に続く、待望の完結篇。