ジャンル : 外国の小説
あなたの笑顔に、眼差しに、声に、 もう触れられなくなるなんて……。 3年前、逆境にいたところを、さる伯爵に救われて以来、 伯爵夫妻が主のグレイストーン城に身を寄せている19歳のキャサリン。 そこに集まったうら若き令嬢たちを前に、彼女は気後れしていた。 伯爵の弟で、キャサリンが唯一心を許せる幼なじみのジェフリーが今、 6人の花嫁候補と会うために、この城へ向かっているという。 令嬢たちのように着飾ってもいないし、気の利いた会話もできない彼女は 居たたまれず、以前いた修道院に今すぐ戻りたいとさえ願った。 でも、もう少し耐えよう。ジェフリーの顔を最後にもう一度見るまでは。 彼が結婚したら、キャサリンは修道誓願を立てるつもりだったーー 大好きなジェフリーの笑顔も、もう見納め。私は修道女になる……。 1年ぶりに会うジェフリーが花嫁候補たちと踊る姿を廊下から見つめるキャサリン。しかし、さらに彼女を苦しめたのは、ジェフリーからのお願いでした。「だれを妻にしたらいいか、きみに相談にのってほしい」大人気作家が描く、甘酸っぱくて切ない珠玉の名作!
「君が妊娠するなんて、あり得ない。少なくとも僕の子ではない」23年前、学生だったアビーは6歳年上のサムと恋におちて結婚したが、ほどなくして新しい命を身ごもったことを知らせると、彼は別の男との間にできた子供だろうと一方的に彼女を責めた。信じてくれない夫に深く傷つけられたアビーは離婚の道を選び、独りで娘を産んで、娘のために身を粉にして働いてきた。今、その娘が婚約し、両親揃って結婚式に出てほしいと言い始めたので、アビーは激しく動揺したー娘の幸せのためならなんでもしたいけれど、別れた冷たい夫と顔を合わせることだけは避けたい!だがある夜、以前より男らしく魅力を増したサムが目の前に現れ…。
昼間は秘書。午後5時からは恋人。 傲慢なボスとの、偽りの恋……。 秘書のアビーが高名な富豪弁護士グレイの下で働き始めて1年。 ボスは傲慢で実に扱いにくい反面、とても優秀で魅力的な男性だ。 そんな彼が求める秘書であろうと、アビーはしかつめらしい服に 眼鏡とひっつめ髪のスタイルで、まじめに働いてきた。 だがある日、ボスの予定帳に書かれた取引相手の名に、激しく動揺する。 二度と会いたくないと思っていた、卑劣で薄情な元恋人……。 やむをえずグレイに事情を話し、もうここにはいられないと告げると、 ボスは僕たちが公然と同棲すれば、相手は手出しできなくなると言う。 二人で寝食をともに……? 戸惑いを見せるアビーに、彼は釘を刺した。 「ベッドの心配なら無用だ。君は僕の好みじゃないから」 アビーは客用寝室を与えられ、グレイと一つ屋根の下で暮らし始めます。彼から、地味なスーツをやめ、髪を下ろして眼鏡も外すよう言われて従うことに。さらに、二人が恋人同士であることをまずは職場の人間に信じさせなければならないと、オフィスでキスを……。
生か、死か、死のない死か アメリカの大富豪ロス・ロックハートは、難病に冒された愛する妻の身体を凍結し、未来の医療に託そうと目論んでいた。 プロジェクトに巨額を投じる父に招かれ、中央アジアの地下研究施設を訪れた息子ジェフリーが見たものとは……? 科学技術の進歩は肉体の復活と人類の更新、永遠への到達を約束しうるのか。 そして愛は絶対零度の世界でも生き長らえるのか。 極限状況において人間の限界を問う、異色の恋愛小説。 人体凍結による永遠の生の獲得、ロシア・ウクライナ問題、隕石落下による大災害、惑星規模で頻発するカタストロフィ、世界の終わり、歴史の超越によるアセンション…… これは予言の書か、希望の書か、黙示録か? 『ポイント・オメガ』と『沈黙』を架橋する後期デリーロの新たなる傑作長編、ついに翻訳完成!! 第一部 チェリャビンスクの時代に アーティス・マーティノー 第二部 コンスタンティノフカの時代に 訳者あとがき
1945年1月、終戦間近なオランダの夜間外出禁止の夜に鳴り響く6発の銃声。親ナチス警視殺害の報復で家族を失った少年が、戦後に知る衝撃の事実とは何か。暴力に屈する裁判所書記の父、警官のピストルを奪って逃走した兄、慈愛に満ちた母のぬくもり、警察署の独房で遭遇した女性の柔らかい声…戦後、医師として働くアントンのもとに、忌まわしい事実の波紋が押し寄せてくる。対独協力者の父とユダヤ人の母から生を享け、「わたしが第二次大戦だ」と発言した巨匠が、戦争や罪や運命について精緻に織りあげた静かなる傑作、ついに邦訳!!!アカデミー外国語映画賞受賞『追想のかなた』。
「ピカソ、ジョイスら芸術家の特徴が同時代の詩人に凝縮されている」とR・ヤーコブソンによって激賞されたポルトガルの生んだ代表的詩人ペソアの65篇の詩を編む。 現代人の「無力」をその根源まで見抜き、詩に定着させた作品。
韓国発ベストセラー、傑作Kヒーリング小説 【2024年本屋大賞翻訳小説部門第3位】 【韓国で100万部超、シリーズ累計150万部超】 【ソウルで舞台版ロングラン上演。ENAにてドラマ化進行中】 ソウルの下町。亡き夫の遺産で建てたコンビニ「Always」を細々と営む元教師のヨムさんは、駅で無くした財布を拾ってくれたホームレスの男「独孤(トッコ)」と知り合う。記憶を失い言葉はたどたどしいが、誠実そうな独孤を見込んだヨムさんは、彼を深夜シフトの店員として雇う。近隣のコンビニに押され気味で品揃えが悪く、近所住人からは「不便なコンビニ」と呼ばれている「Always」の店員や客たちは、謎だらけで怪しげな独孤を警戒しつつ、一方でそれぞれに問題を抱えていた。 韓国でシリーズ累計150万部(2023年6月現在)、世界各国で出版され、舞台化、ドラマ化も進行中の大ベストセラー。誰もが生きづらさを抱えて生きるコロナ前夜のソウルを舞台に、人と人との関わり、罪と赦しを優しくユーモラスに描いた、8篇からなるKヒーリング小説の傑作。 【編集担当からのおすすめ情報】 本書は2021年春に韓国で刊行された小説の邦訳版です。著者は2013年の『望遠洞ブラザーズ』で世界文学賞を受賞しながらも、その後はずっとヒット作に恵まれませんでした。そんな中で細々と発表された本作は、電子書籍プラットフォームから火がつき、またたくまに大ベストセラーとなり、2022年には大型チェーン書店「教保文庫」と大型電子書籍店「YES24」でもっとも売れた「今年の一冊」に選ばれました。2022年夏に刊行された続編『不便なコンビニ2』と合わせて150万部(2023年6月現在)を売り上げ、本書に似せた装画の本が次々と刊行され、「Kヒーリング小説」という新たなジャンルを生むなど、社会現象となっています。 そのような華々しい道を辿っている作品ですが、描かれるのはむしろ普通の人々のささやかな営みと、痛みや優しさ、人との関わりから生まれる何かです。それぞれに小さな生きづらさを抱えている登場人物にも、どこかしら共感していただけるのではないかと思います。本書を読むことで、ひとときの癒しや救いを感じていただければ幸いです。
1918年、日本統治下の朝鮮。山間の小さな村で育った18歳のポドゥルは、ハワイで暮らす朝鮮人男性のもとへ嫁ぐため故郷をあとにした。結婚相手とはお見合い写真を交換しただけで一度も会ったことはなく、ハワイがどこにあるかもわからない。けれど、楽園と呼ばれるその島へ行けば、何不自由ない生活が送れるうえに、女性でも勉強ができると聞いたのだ。一枚の写真だけを頼りに、同じく「写真花嫁」となる同郷のホンジュとソンファと共に海を渡る。だが三人を待っていたのは、波のように押し寄せる試練の連続で……。激動の時代に痛みを背負いながらも明日を信じた彼女たちの、勇気と愛情に満ちた半生とは。国際アンデルセン賞・韓国候補作家が贈る、希望を捨てない女たちの愛と連帯を描いた傑作長編小説。
父に連れられ、宮中に足を踏み入れた少女ソン・ドギム。宮仕えに出された彼女が最初に命じられたことは、父を亡くしてからふさぎこんでいる世孫の話し相手となることだった。以来、世孫の目はいつも楽しそうに笑っている見習い宮女の姿ばかりを追うようになり…。この感情はなんなのか?運命の愛が始まる!
1930年代米国南部。スカウトは弁護士である父のアティカスと暮らしていた。ある日、白人女性への暴行の嫌疑がかけられた黒人男性の弁護に父が就き、周囲の白人たちから反発を受けるがーー。少女の無垢な瞳を通して当時の黒人差別を克明に記した不朽の名作の新訳
蒸気機関が導入され発達した、もうひとつの李氏朝鮮王朝。あるときは謎の旅人として、またあるときは王の側近として、歴史の要所要所で暗躍した蒸気駆動の男=汽機人〈都老〉の500年間にわたる彷徨を描いた、5篇を収録した異色のスチームパンクアンソロジー
生前も死後も、デンマークの庶民から「トーヴェは私だ」と共感をもって読まれ、愛されつづける詩人・小説家トーヴェ・ディトレウセン(1917-1976)。 コペンハーゲンの貧しい労働者地域、西橋(ヴェスタブロー)地区に、火夫で文学青年崩れの父親、美人できまぐれな母親、美男で内向的な兄の妹として生まれた。「母の女の子」として育てられるなか、真の安らぎを得られるのは、父親が大切にしている本の中にいるときだけだった。トーヴェは決意する、「私も詩人になる」(『子ども時代』)。 高校進学を諦め、メイドやタイピストの仕事を転々とする生活がはじまる。憧れの恋愛と求める愛の間で揺れ動く日々。そんなある日、子どもの頃からノートに書き溜めていた詩の導きで、文芸誌『野生の小麦』の編集者ヴィゴー・Fとの運命的なめぐり会いをはたす(『青春時代』)。 詩集出版の夢が叶い、作家としての道が開かれてゆく。だが、有名になるにつれ、私的な生活は混乱をましてゆく。四度の結婚、薬物依存ーートーヴェは自滅へと向かってゆく(『結婚/毒』)。 自らの経験の全てを題材として、女性のアイデンティティをめぐる葛藤をオートフィクション/回想記として世に出したトーヴェ。自分に正直にあろうとする人間の生きるむずかしさを、文学と人生で表した。 ナチス・ドイツの影が迫り来る時代のコペンハーゲンを舞台に描かれる、記念碑的三部作を一巻にして贈る。 子ども時代 Barndom 青春時代 Ungdom 結婚/毒 Gift 訳者あとがき
三百年余の長い眠りから目覚めた男が、23世紀の未来世界で見たものはーー H・G・ウェルズのディストピア小説を、黒岩涙香が翻案した名作が、現代かな遣いによる読みやすい形で復刻! 明治末期〜大正初期のSFマインドを知る、貴重な1冊。 西暦2230年、長い眠りについていた男が目を覚ました。三百年後の社会はテクノロジーによって一変し、彼自身は地上の土地をすべて所有する皇帝となっていた! だが、そこは理想の国ではなかった。政治闘争にくすぶる革命の機運と、人びとに迫る危機を知った彼は、二十世紀人の覚悟をもって命がけの行動に出るーー 科学技術への洞察と、人間社会への痛烈な批判を込めたH・G・ウェルズの名編を、作家に共鳴する黒岩涙香が大胆に翻案。『八十万年後の社会』(『タイム・マシン』翻案版)とならぶ、いまこそ注目のディストピア小説!【電子オリジナル版】
若くより世界から注目を集める女性作家が、独創性溢れる筆致で描く、スターの炎上、姉妹団と兄弟団のバトル、日記に閉じ込められた声ービガリュールな想像力を無数の鍵が繋ぐ9のストーリーコレクション。ペン・オープン・ブック賞選出作。
戦後30年以上経てもなお、アメリカ合衆国司法省特別調査員がかつての個人の戦争犯罪を追求する「二つのスーツケース」、キリスト教からユダヤ教に改宗したドイツ人女性ヴェロニカが、結婚前夜に夫になるウリヤに宛てた手紙「でも、音楽は守ってくれない」、イスラエル建国当時の世界各地に出自をもつ移民同士の距離感を子どもの目線で描く「ルル」、1942年の強制連行から約3年間の収容所生活とロシア軍による解放を綴った表題作「ガラスの帽子」など、9篇を収録。
なぜ人間は戦争を繰り返すのか? わたしたちは戦争のない未来をつくることができるのか? 雑誌『ニューヨーカー』で活躍した著者が、第二次世界大戦開戦時に戦争のない未来を願って描いた名著を、村上春樹の新訳で復刊。 戦争が起こってしまう「今」を生きるわたしたちに託された平和への願い。 大人から子どもまで読める、戦争を考える本。 【内容紹介】 第十二次世界大戦が起きた世界。文明は破壊され、町も都市も、森も林も消え去った。残された人間たちは、ただそのへんに座りこむだけの存在になってしまった。ある日、ひとりの若い娘がたまたま世界に残った最後の花を見つけます。その花をひとりの若い男と一緒に育てはじめます。すると……。 【ニューヨーク・タイムズ紙絶賛!】 「戦争に関する作品のなかで、最もシリアスで、最も皮肉とユーモアを感じる一冊である」 【村上春樹氏による訳者あとがきも収録】 世界では今でも、この現在も、残酷な血なまぐさい戦争が続いています。いっこうに収まる気配はありません。それはあとになったら、当事者の将軍たちでさえ「何のための戦争だったかもう思い出せない」ような戦争であるかもしれません。そんな中で「世界で最後の花」を守るために、多くの人が力を合わせています。この本も、そんなひとつの力になるといいのですが。(「訳者あとがき」より抜粋)
いくら親でも、わたしの同意なしに写真をのせるのは、まちがってるってことだよね? ダルムのママはインフルエンサー。ダルムが生まれてからのほぼすべて日々が、ママのSNSにのせられている。 インフルエンサーのママをもつばかりに、いつも「ほんとうの自分」でいられないダルム。 しかし、クラスメートのアラの言葉がダルムを変える。 SNSに勝手にだれかの写真をのせることは、なぜいけないのか? 自分がいやだと思ったときにどう行動できるのか? 韓国発、SNSを使うすべての人必読のものがたり。 ママは#インフルエンサー 最初はそうじゃなかった みんなとちがうナム・ダルム 今日のコンセプト へいぼんなユン・アラ だれにも言えないひみつ 消えたぼうし うそのパレード いやだと言う勇気 わたしはわたし! インフルエンサーのママを告発します 善良な影響力