アイルランド、そしてダブリンに生涯こだわり続けたジョイス(一八八二ー一九四一)。「細心卑小な文体」を用いて、閉塞的なダブリンの市民階層の麻痺的な生態を描いた十五篇。『ユリシーズ』等につながる、ジョイス文学の展開の端緒をなす初期短篇集。
陰鬱で閉塞的な地方都市ダブリンから希望に溢れる外界への脱出を夢に描き、挫折していく人々の生きざまを、幼年・思春期・成年・老年という人生の諸相においてとらえた短篇集。自然主義リアリズムと象徴主義、さらには「意識の流れ」の手法が複雑微妙に融け合い、壮大なるタブリン交響楽を奏でている。 1987/09/01 発売