ジェイムズ・ジョイスの殺人
ニューヨークの大学で英文学を教えるケイト・ファンズラーは知的で魅力的な30代女性。ある夏ケイトは、高校時代の同級生に頼まれ、その友人の死んだ父親が生前J・ジョイスやD・H・ロレンスらと交わした手紙や書類を整理しに、保養地として名高いパークシャーヒルズの山荘に赴く。数日後、事件が起きる。同行した甥のリオと家庭教師は毎朝早起きして空の拳銃を隣家に向けて撃っていたが、ある朝、空のはずの銃から弾が飛び出し、隣家のブラッドフォード夫人に命中、死なせてしまう。だれかが密かに銃に弾をこめていた。そしてその犯人は、甥たちの習慣と夫人が早朝いつも庭に出ることを知っていたのだ。ブラッドフォード夫人は嫌われ者ではあったが、殺されねばならないほどの理由があったのだろうか。