人間の弱さと愚かさを清冽な筆致で描き、愛の本質と可能性を追求する恋愛小説の傑作。アメリカ東海岸の小さい港町、東品川の倉庫街、そして神話の里出雲を択び、時空を越えてこれらの海沿いの街を繋ぐ、はかないけれど確かに存在する「虹」を描いた。
幼女の自分を日本に置いたまま、国際結婚で渡米し、謎の死を遂げた母。その死の周辺を知りたくて潤子はアメリカ東海岸の港町を歩く。そして彼女にとって義弟にあたるアメリカ人青年が、母の故郷出雲に来ているとわかる…。日米ふたりの男との間で愛に揺れる三十代女性の姿を精緻に描き上げた長編。 1991/04/01 発売