小説むすび | うちの旦那が甘ちゃんで

うちの旦那が甘ちゃんで

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出版社

講談社

発売日

2018年8月10日 発売

はっきり言って月也は「ぼんくら」である。月也とは、南町奉行で風烈廻方同心を拝命している、沙耶の旦那のことだ。のほほんとした性格から、盗人を取り逃がすことが多く、付き人である小者たちは愛想を尽かして次々に辞めていった。小者は捕り物の補助や身の回りの世話をする重要な存在で、小者がいなければ同心は能力の半分も発揮できない。次の小物をどうやって手当てすればいいのか。沙耶が思いついたのは、なんと自分だった!


はっきり言って月也は「ぼんくら」である。月也とは、南町奉行で風烈廻方同心を拝命している、沙耶の旦那のことだ。のほほんとした性格から、盗人を見つけても取り逃がすことが多く、付き人である小者たちは愛想を尽かして次々に辞めていった。小者は同心が私費で雇い、捕り物のときの補助や身の回りの世話をしてもらう。一心同体で捜査にあたり、小者がいなければ同心本来の能力の半分も発揮できないと言える。次の小物をどうやって手当てすればいいのか。考えあぐねていた沙耶が思いついたのは、なんと自分だった。「御用だ!」。

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最近江戸で「九両強盗」というものが流行っていた。情報は奉行のもとに届くが、盗難届は出ない。「十両以上の盗み」は打ち首、九両なら遠島。ぎりぎりの線を狙った強盗である。しかも、盗みに入るのは繁盛している料理屋ばかりらしい。風烈廻方同心の月也は、沙耶と料理屋を開いて囮捜査をすることに……。  最近江戸で「九両強盗」というものが流行っていた。「らしい」という情報が奉行のもとに届くが、盗難届がない。とはいえ、奉行所としては対応しておきたい事件だった。江戸の刑罰では、「十両以上の盗み」は打ち首である。九両なら遠島。ぎりぎりの線を狙った強盗である。いつか凶悪事件になるかもしれない、ということで、奉行は「雲を掴む」ような事件を月也に命じる。奉行所が調べたところによると、この強盗は「繁盛している飲食店」を狙って月に1,2回強盗をしているらしい。最大で九両。四両くらいのときもあるらしい。売掛金が入るときを狙ってするりと入り込むという手口である。しかし、江戸には料理屋は多い。繁盛している店といっても千軒はある。そこで沙耶が考えたのが、「評判になる店」を自分で作ることであった。沙耶と牡丹を中心として「若衆料理」屋を始めることにしたのである。従来の「若衆茶屋」は、従業員は夜の相手をする。が、沙耶の店は「いい男」を集めた料理屋であった。手軽に若衆が見物できるということで、沙耶の店は一気に話題になる。そのうえで、沙耶たちは「九両強盗」を待ち受けるのだった……。 2019/03/15 発売

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