白い衝動
強い殺人願望を抱く高校生。かつて残虐な連続強姦事件を起こした鬼畜。二人が至近の距離に住むことを知ったスクールカウンセラーの千早は、不吉な胸騒ぎを覚える。その動揺は奇妙な連鎖を生み、千早は混沌の渦中へ。得体の知れない他人と共に生きるとは。緊迫の会話劇と展開に目を見張る。第二十回大藪賞受賞作。
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小中高一貫校でスクールカウンセラーとして働く奥貫千早のもとに現れた高校1年の生徒・野津秋成は、ごく普通の悩みを打ち明けるように、こう語りだす。「ぼくは、人を殺してみたい。できるなら、殺すべき人間を殺したい」千早の住む町に、連続一家監禁事件を起こした入壱要が暮らしていることがわかる。入壱は、複数の女子高生を強姦のうえ執拗に暴行。それでも死には至らなかったことで、懲役15年の刑となり刑期を終えていた。殺人衝動を抱える少年、犯罪加害者、職場の仲間、地域住民、家族…そして、夫婦。はたして人間は、どこまで「他人」を受け入れられるのか。「孤人」に向き合うことはできるのか。社会が抱える悪を問う、祈りに溢れた渾身の書き下ろし長編。 2017/01/25 発売