著者 : 呉勝浩
無差別爆破テロ。動機も目的もわからない。爆弾の在り処の手がかりは、容疑者と思しき中年男が出す“クイズ”のみ。限られたヒントしかない状況で、警察は爆発を止めることができるのか。狭小な取調室の中で、最悪な男との戦いが始まる。
刑事事件化されなかった交通事故に隠された真実(「上級国民」)。東京オリンピックの裏で起きた悲劇(「許されざる者」)。街で頻出する落書き犯の驚愕の意図(「Vに捧げる行進」)。バディを組む上野署の刑事が抱える秘密(「クローゼット」)。性犯罪の捜査に乗り出した女刑事が見たもの(「見えない刃」)。半グレたちのトラブルに巻き込まれた謎の女(「シスター・レイ」)。ヤクザに憧れ事務所に出入りする少年が目指すもの(「聖(あきら)」)。大注目のミステリー作家たちの豪華な警察小説アンソロジー。
真っ白な雪と、死体。遠ざけたはずの過去ー40年前のあの日、本当は何があったのか。いまになって届いた友からの謎かけが、元刑事の魂を、揺り動かす。長野県上田市と松本市、そして東京を舞台に紡がれる暗号ミステリーは、40年の時を経て、真実へとひと走る。友情をあきらめなかった男たちの物語。
獅子追交番に勤務する制服警官・長原が拳銃を持ったまま姿を消した。同期の耀司は獅子追への異動を志願、真相を探ろうとする。やがて町のゴミ屋敷から出火し、家主の毛利が遺体で見つかった。事件性なしとされるが、数週間後、警ら中に発砲音を耳にした耀司はヤクザの金居の銃殺死体を目にする。さらに現場に落ちていた凶器が、長原の持ち去った拳銃だと判明しー。乱歩賞作家渾身の警察ミステリ。短編「蛇の作法」特別収録。
巨大ショッピングモール「スワン」で起きた無差別銃撃事件。死者21名を出した悲劇の渦中で、高校生のいずみは犯人と接しながら生き延びた。しかし、同じく事件に遭遇した同級生・小梢により、次に誰を殺すか、いずみの指名によって犯行が行われたという事実が週刊誌で暴露される。被害者から一転、非難の的となったいずみ。そんななか、彼女のもとに招待状が届く。集められたのは事件に巻き込まれ、生き残った5人の関係者。目的は事件の中のひとつの「死」の真相をあきらかにすること。その日、本当に起こったこととはなんだったのか?
強い殺人願望を抱く高校生。かつて残虐な連続強姦事件を起こした鬼畜。二人が至近の距離に住むことを知ったスクールカウンセラーの千早は、不吉な胸騒ぎを覚える。その動揺は奇妙な連鎖を生み、千早は混沌の渦中へ。得体の知れない他人と共に生きるとは。緊迫の会話劇と展開に目を見張る。第二十回大藪賞受賞作。
「ここじゃないどこか」に行きたい幼なじみのワタルとタカトは、5年前に地元の島にできた総合カジノ施設「レイ・ランド」の恩恵など受けることすらなく、ヤクザの下働きをするチンピラ。兄貴分の蓮に振られた「チャンス」=ただの「荷物運び」のはずが一転、気づくと目の前には額に穴があいた3つの死体がー。乱歩賞・大藪賞W受賞作家が魂込める、ノンストップ・ギャンブル・ミステリー。
あらゆる不幸を背負い込んだ二人の最凶女子が、この世のすべての理不尽に、マシンガンをぶっ放す!“青たんだらけのビルドゥングスロマン”、ついに解禁!!
陣馬山で発見された白骨死体の傍らにはマトリョーシカが埋められていた。被害者は5年前、行方不明とされていた男だった。神奈川県警刑事・彦坂は、青ざめる。その男こそ、5年前、組織ぐるみで隠蔽した事件の関係者だったのだ。県警に激震が走るさなか、八王子で、第二の惨殺死体が発見される。現場には第一の事件との関連性を示すマトリョーシカが残されていた。事件そのものを隠したい神奈川県警と、反目し合う警視庁の捜査班。組織の論理がもたらす闇に、はぐれ刑事たちが誇りをかけて、合同捜査を始める。大藪春彦賞受賞第一作!
県警本部捜査一課の番場は、二回りも年の離れた身重の妻コヨリを愛し、日々捜査を続けるベテラン刑事。周囲の人間は賞賛と揶揄を込めて彼のことを呼ぶー現場の番場。ルーキー刑事の船越とともに難事件に取り組む中で、番場は自らの「正義」を見失っていく。江戸川乱歩賞作家が描く、新世代の警察小説。
無断欠勤が続く村瀬梓が勤めるコールセンターに営利誘拐の犯行電話が。身代金の要求額は一億円、輸送役は百人の警官。なぜ、村瀬の家族ではなく、会社に。なぜ、百人も必要なのか。警察と「関係者」たちは、犯人に翻弄されていくー。罪に期限はあるのか。乱歩賞作家が圧倒的な読み味で描く王道ミステリー。
道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?-有名陶芸家の死亡現場で、殺人をほのめかす落書きが見つかる。同じ頃、VJの伏見にかつて町の小学校で起きた殺人事件の映画撮影のオファーが。伏見はふたつの事件の奇妙なリンクに搦め捕られていく。選考会も紛糾した江戸川乱歩賞受賞作を完全リニューアル。
生まれ故郷である田舎町の交番に異動した澤登耀司、30歳。過疎化が進む町で、耀司の同期・長原が姿を消した。県警本部が捜査に全力をあげるも、長原の行方は分からなかった。事件に巻き込まれたのか。それとも自らの意志なのか。耀司は先輩警官・晃光の言動に不審を抱きながらも、長原失踪の真相を探っていく。やがて、町のゴミ屋敷が放火され、家主・毛利淳一郎の遺体が見つかった。耀司は、長原が失踪直前に毛利宅を訪ねていたことを掴むが…。乱歩賞作家が放つ衝撃の交番警察ミステリ!
小中高一貫校でスクールカウンセラーとして働く奥貫千早のもとに現れた高校1年の生徒・野津秋成は、ごく普通の悩みを打ち明けるように、こう語りだす。「ぼくは、人を殺してみたい。できるなら、殺すべき人間を殺したい」千早の住む町に、連続一家監禁事件を起こした入壱要が暮らしていることがわかる。入壱は、複数の女子高生を強姦のうえ執拗に暴行。それでも死には至らなかったことで、懲役15年の刑となり刑期を終えていた。殺人衝動を抱える少年、犯罪加害者、職場の仲間、地域住民、家族…そして、夫婦。はたして人間は、どこまで「他人」を受け入れられるのか。「孤人」に向き合うことはできるのか。社会が抱える悪を問う、祈りに溢れた渾身の書き下ろし長編。
江戸川乱歩賞作家による五つの警察連作小説。県警本部捜査一課の番場は、二回りも年の離れた身重の妻コヨリを愛し、日々捜査を続けるベテラン刑事。周囲の人間は賞賛と若干の揶揄を込めて彼のことをこう呼ぶー現場の番場。ルーキー刑事の船越とともに難事件の捜査に取り組む中で、番場は自らの「正義」を見失っていくー。
「ムラセアズサを預かっている。これはイタズラではなく、正真正銘の営利誘拐だ」無断欠勤を続けていた村瀬梓が勤めるコールセンターにかかってきた犯行電話。身代金の要求額は1億円、輸送役は100人の警官。なぜ、家族ではなく、会社にかけてきたのか。なぜ、1億円なのか。なぜ、100人も必要なのか。警察と“関係者”たちは、ピュワイトを名乗る犯人に翻弄されていくー。