女人源氏物語(第3巻)
冷泉帝の実の父として公には並ぶ者なき権力の座につき、四季になぞらえた館をもつ広大な六条院には紫上、花散里、明石上、秋好中宮と愛する女人たちを配して、今や源氏の栄華は無上のものとなった。かつて愛した夕顔の忘れ形見、玉鬘の帰還。葵上との間に生れた夕霧と雲居雁の幼い恋の成就。そんな折、源氏に朱雀院の皇女三の宮が降嫁されることになり六条院の平隠な暮しに波紋が投げかけられる。
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